土壺に嵌る

 呉江浩駐日中国大使が、Xに「永遠に覇権を追求せず、永遠に拡張せず、永遠に勢力圏を求めない---これが新時代中国の国防の鮮明な特だ」、「新中国成立から70年以上、中国は一度も自ら戦争や衝突を起こしたことがない。」などと投稿したそうだ。

 1949年の建国以後、朝鮮戦争(1950 - 1953)、中印国境紛争(1962)、中ソ国境紛争(1969)、中越戦争(1979 - 1990)など、中国が戦争や軍事衝突に関与した事実があり、少なくとも中印国境紛争と中越戦争は、中国が主導したものである以上、呉大使の主張は、事実に反する。


 中国があらゆるメディアを駆使して発言すればするほど、イメージが悪化し、「土壺(どつぼ)に嵌(はま)る」(「ひどい状態になること、最低の状態であること」『デジタル大辞泉』小学館)様相を呈している。


 土壺というのは、最近見かけないが、各家庭の汲み取り式便所からバキュームカーで集めた人の糞尿を発酵させて、畑に撒く肥料をつくる「肥だめ、くそつぼ」(『精選版 日本国語大辞典』小学館)のことだ。

 

 私も、小学校低学年の頃、ふざけて肥溜(こえだ)めを飛び越えたら、着地に失敗して足を滑らせて、片足を突っ込んだことがある。友達の一人は、肩まで肥溜めに浸かって泣きべそをかいていた。近くに水道がなかったから、ため池の水で大雑把に洗い流して、帰宅した。母に叱られたことは、言うまでもない。土壺に嵌った友達は、泣きべそをかきながら帰宅したのだが、翌日、学校でみんなから揶揄(からか)われて可哀想だったけど、翌々日にはみんなそんなことをすっかり忘れていた。当時、土壺に嵌ったり、ドブに嵌ったり、沼や池に落ちたりすることは、子供の間では珍しいことではなかったからだ。

 この頃、農家から畑を借りて、家庭菜園をしていた。肥溜めから肥料を柄杓(ひしゃく)で掬(すく)って桶(おけ)に入れ、天秤棒(てんびんぼう)を担いで、畑に肥料を撒いた。ちびっこの私には、天秤棒が重くて内出血して肩に痣ができるし、息もできないぐらい臭かった。お百姓さんのご苦労を実感したものだ。

 嘘だと思われるだろうが、この肥料を撒くと、空気が黄色くなるのだ。アニメでオナラを黄色で描くことが多いが、おそらく昔のアニメーターも畑仕事をしたことがあるからだろう。

 収穫した野菜は、「ザ・有機栽培」って感じで、味が濃くて美味かった。あんな美味い野菜を久しく食べていないなぁ〜

 


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