消えゆく寺社

 少子高齢化・人口減少の影響は、すさまじく、地域が担ってきた寺社を維持できなくなっているそうだ。


 下記の記事によると、「地域の宗教的な施設の土地は正確に登記されておらず、所有者を調べても分からないケースが目立つ。」

 「手だてとして、所有者不明土地・建物管理制度に基づき、裁判所が弁護士や司法書士などから選任する管理人による土地・建物の処分を挙げる。今回は利用価値の高い市街地にあることから、「土地を売却できれば、建物の解体費に充てられるのではないか」と小林さんは助言する。  

 一方、土地や建物を引き続き利用したい場合は、法人格を持つ認可地縁団体を立ち上げて土地を帰属させる方法があるという。道祖神や筆塚といった碑の立つ土地を、自治会を認可地縁団体として帰属させた例がある。」

 「町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下本条において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動を円滑に行うため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」(地方自治法第260条の2第1項)。

 上記のケースで、この認可地縁団体を活用するのは、良いアイディアだと思う。


 ただ、少子高齢化・人口減少の影響で、認可地縁団体の構成員の減少や役員の成り手不足が深刻化して、現在の認可地縁団体を維持することが困難になっていることから、令和5年4月1日施行された地方自治法の一部を改正する法律により、「認可地縁団体は、同一市町村内の他の認可地縁団体と合併することができる」ことになったことからも明らかなように(地方自治法第260条の38)、過疎化が進んだ地域では、認可地縁団体そのものが危機的状況なので、認可地縁団体の活用にも限界がある。


 共助で対応できなければ、公助で対応してほしいところだが、政教分離の原則(憲法第20条・第89条)から容易ではない。

 自治体が、担い手不足で存立の危機にある寺社を、宗教施設としてではなく、文化財として保存する途を探ってほしいものだ。


源法律研修所

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