2024.10.25 12:53形式ではなく実質が大事 学生時代にある弁護士さんから聞いた話だが、交通事故の加害者から依頼を受けた場合に、すぐに書類を作成して、お見舞いの品を持って病院へ向かい、平身低頭でお見舞いの口上を述べるそうだ。 被害者が打ち解けて和やかな雰囲気になった頃を見計らって、持参した書類を手渡し、お見舞いに来た証しにサインしてくださいませんか、と口八丁手八丁(くちはっちょうてはっちょう)でお願いするそうだ。 その際、持参した書類のタイトルが「和解契約」や「示談書」というような法的なものを匂わせるものだと、被害者が警戒して、サインをしてくれないので、実際の中身は和解契約(民法第695条)だけど、「お見舞い」というタイトルにして、和解条項を小さい文字で書いたものにサインを求めると、あまり中身を...
2024.10.01 10:11罰則規定がないために解体された指定文化財 10月1日山陰中央新報デジタルの記事によると、「江戸時代の本陣の一つで出雲市指定文化財「山田家住宅」(出雲市大津町)が所有者によって解体されたことが分かった。市文化財保護条例に取り壊しの罰則規定がなかった。現場は更地になり、市は文化財の指定解除の手続きを進める」そうだ。
2024.08.13 07:22臨時適用 行政処分については、行政行為の附款(ふかん)として期限を付けることがあるが、一定期間に限って臨時的に法令を適用する「臨時適用」という行政手法があることを恥ずかしながら知らなかった。 石川県羽咋市(はくいし)の「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」は、日本で唯一自動車やバイクで砂浜を走れる場所として、一部のマニアの間で有名らしい。
2024.08.10 00:46「することができる」と「することがある」1 「することができる」⑴ 国語 「することができる」という表現が生まれたのは、be able toの和訳が背景にあるそうだ。この翻訳調で冗長な表現よりも、端的に「できる」と表現するのが望ましいらしい。
2024.07.19 21:55埋葬又は埋蔵にあらざれば墓地にあらず 墓地、埋葬等に関する法律(以下、「墓埋法」という。)第2条には、次のように定められている。cf.墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号) 第二条 この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。 2 この法律で「火葬」とは、死体を葬るために、これを焼くことをいう。 3 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。 4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。 5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区に...
2024.07.19 07:21本則に置かれた経過規定 7月18日、静岡放送の「「個人」に限った権利なのに実態は「会社」!?条例で禁止されている地域でソープランドを営んだ疑いで男女4人が逮捕=静岡県警」という記事によると、***静岡県の条例で禁止された静岡市葵区内でソープランドを営業していた疑いで、男女4人が警察に逮捕されました。<中略>店舗型性風俗特殊営業では、条例で禁止される以前に営業権を取得した店舗では、営業が許可されていて、会社役員の女は個人経営に限り、今回の場所で風俗店が営業できる権利を持っていましたが、2022年に開店したソープランドは、75歳の男が代表取締役を務める会社が経営していたということです。***とあった(下線:久保)。
2024.07.05 05:17法制執務に対する米国の影響 職員研修では、「前文」と「制定文」の由来については、マニアックなお話なので、省略しているが、今では当たり前のように用いられている「前文」と「制定文」は、いずれも米国の影響によって用いられるようになったものなのだ。1 前文 前文は、題名の後に条文本体の前に置かれ、その法令の制定の目的や理念などを述べた文章をいう。 法令の第1条に目的規定を置くのが通例になっているので、目的規定と内容が重複する前文を置くことにどれほどの意味があるのかと疑問に思わなくもないが、前文は、法令の一部であり、その法令の解釈基準となるので、読み飛ばしてはならない。 前文は、日本国憲法はもちろん、連合国軍に占領されている期間、GHQ(General Headquarters)「連合国...
2024.06.28 11:22肝心の手数料の金額を改正せずに過大徴収 私も、テキスト原稿を作成する際に、入力ミスなどをするので、偉そうなことは言えないのだが、役所でもあるんだね〜 下記の記事によると、島根県の隠岐の島町で、事業系自己搬入ごみの処理手数料について、審議会から50kgを超えた場合には10kgごとに加算される額を130円とするのが相当だとする答申を受け、当該手数料を「130円」とすべきなのに誤って「80円」と記載した条例案が議会で可決された。 担当職員は、議会の委員会等で変更額を「130円」と説明し、議会もそのように理解していたため、条例案の文言の間違いを見過ごしてしまったそうだ。 その結果、条例では手数料が「80円」なのに、2023年4月1日から2024年6月22日の間、実際には「130円」が徴収され、過大...
2024.06.08 05:58契約書解釈心得 明治十年十月十二日司法省丁第七十五號達によって公布された「契約書解釋心得」は、フランス民法第三編第三章第三節第五款「合意の解釈」の翻訳だ。 これは、フランス民法の翻訳をそのまま日本に用いようとした江藤新平の努力が部分的に実現したと言える。
2024.03.12 03:20dead law <追記> 昼間、テレビをつけたら、the Ravenmasterレイヴンマスターが新しい人になった旨が報道されていた。 レイヴンマスターというのは、ロンドン塔を警護する衛兵の中でカラス(ravenは、crowよりも一回り大きなカラス)の世話をする役職の人をいう。 昔、国王チャールズ2世(1630年5月29日 - 1685年2月6日)は、ロンドン塔に住み着いた野生のカラスを駆除しようとしたが、占い師が「カラスがいなくなるとロンドン塔が崩壊し、ロンドン塔を失えばブリテン王国が滅びる」と言うので、カラスを飼うことにし、「ロンドン塔のカラスの数を常に6羽以下にしてはならない」と命令し、ロンドン塔の警護にあたる衛兵が7 羽のカラス (王令による 6 羽と予備の 1 羽)...
2024.03.08 06:50岡目八目 私は、おっちょこちょいなので、改正漏れをしてしまった職員さんを責める資格はないが、「岡目八目(おかめはちもく)」(囲碁に由来することわざで、対局している当事者よりも、傍らで見物している人の方がよく展開が見えるという意味)というように、総務省や全国の自治体の誰かが気付くはずなのだが、12年間も改正漏れが放置されていたのは驚きを禁じ得ない。