BLOG夙夜夢寐(しゅくやむび)

 学歴詐称疑惑の伊東市田久保市長が、今後、新たに就任する市長に、学歴証明書などを市に提出させ、市役所職員がこれを確認の上、市のホームページに掲載するほか、広報誌に掲載する基礎資料として利用するなどの新たな要領を定めたそうだ。

 下記のリンク先に『伊東市長就任時提出書類等に関する要領』(PDF)がある。

 この点、三葛敦志(みかつら あつし)弁護士が反対意見を述べておられる。

 現行の公職選挙法の建て付けを前提とする限り、三葛弁護士のご意見に説得力があると考える。


 そもそも「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。」のだが(地方自治法第14条第2項)、当該要領は、条例ではないから、新たに就任する市長を法的に拘束するものではない。


 条例によらずに、新たに就任する市長に各種書類の提出義務を課し、提出書類の取得に要する費用を新市長に負わすことは、地方自治法第14条第2項に反し、違法だ。


 当該要領には、発令形式が示されていないけれども、一般的に大綱的な「要綱」・細則的な「要領」は、訓令の一種だと考えられている。

 訓令は、職務命令の性格を有する。職員は、「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」(地方公務員法第32条)。

 しかし、職員は、重大かつ明白に違法な訓令には従うべき義務がないというのが判例だから、担当課の企画部秘書広報課の職員さんたちは、当該訓令を無視すればよいのだが、職務命令違反による懲戒処分のリスクを職員側に負わせるのは酷だ。

 当該要領が訓令である以上、新市長は、当該訓令を一存で(市長決裁で)廃止することができるから、新市長は、さっさと当該要領を廃止して、当該事務から企画部秘書広報課の職員さんたちを解放してあげてほしい。




 大阪・関西万博の運営収支が、230億~280億円の黒字になるらしい。これを受けて、大阪府の吉村洋文知事は、「多くのみなさんに万博を支持し、参加いただいた大きな結果だ」と述べたそうだ。

 当初、赤字になったら誰がどれだけ負担するのかと批判されていたから、吉村知事としては、「黒字になったぞ!ざまーみやがれ!」と言いたいところだろう。


 ただ、運営収支が黒字になるだけであって、会場建設費は、当初の約2倍に跳ね上がって2350億円になっているわけで、喜んでばかりでいいのかという疑問が生ずる。

 地方自治法の研修でいつも言うことなのだが、高度経済成長期に数多くの公共施設が建設されたが、当時は、建設費等のイニシャルコスト(初期費用)にばかり注目して、建設費の3〜5倍かかると言われる施設維持にかかる経費(ランニングコスト)、事業実施にかかる経費、建設費の10%〜20%かかると言われる解体費は、等閑視された。

 これが公共施設の赤字の主な原因だ。建設から取壊しまでにかかる費用をライフサイクルコストと言い、イニシャルコストとランニングコスト等から構成される。費用対効果を考える上で、ライフサイクルコストを把握することが重要なのだ。


 そうすると、大阪・関西万博の建設費は、2350億円で、解体費は、建設費の10%〜20%だから、2350億円×0.10〜0.20=約235〜470億円の解体費がかかることになり、運営収支の黒字230億~280億円は、吹っ飛び、場合によっては赤字になる可能性がある。


 しかし、下記の記事によると、「今回の大阪・関西万博は、会場の解体を含めた建設費を最大2350億円とし、国、大阪府・市、経済界がそれぞれ3分の1ずつ負担した。」とあり、建設費の中に解体費も含んでいるようだ。

 この報道が正しければ、ひとまず安心だ。

 しかし、会場整備費の8割以上が執行済みで、解体費もこの枠内でまかなう必要があるため、人手不足や物価の高騰を受けて、解体費が当初の想定を超える可能性が残されている。

 建設工事の未払い問題がいまだに解決していないので、解体業者が二の足を踏む可能性もある。


 検索をかけても、そもそも解体費の総額見積もりすらヒットしないなんて、杜撰だ。解体工事が完了した後、いろいろ数字を弄って帳尻合わせをするつもりなのだろうか。




 下記の記事によると、大阪府の豊中市が、本来、一般競争入札で一括発注すべき工事を、少額随契で分割発注していたそうで、5年間で122件、工事費用の総額は3億円あまりにのぼるという。

 市は、「これらは本来、一括発注が可能であった」と説明し、要因として職員の契約に関する知識が乏しく、ルールが不明確であったことなどを挙げているという。

 公正の確保と機会均等の保障の観点から、一般競争入札が原則であって、随意契約は、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる(地方自治法第234条第2項)。

 地方自治法施行令で定める額の範囲内において、普通地方公共団体の規則で定める額を超えないときには、随意契約によることができる(地方自治法施行令第167条の2第1項第1号)。これを少額随契という。

 工事又は製造の請負については、市町村(指定都市を除く)の場合、130万円(本年度から200万円)が上限とされ(地方自治法施行令別表第五)、豊中市も上限一杯まで少額随契を認めている(豊中市財務規則第104条第1項)。


 少額な契約についてまで競争入札で行うことは、事務量が増大し、効率的な行政運営を阻害することから認められた例外であるから、一般競争入札による一括発注をせずに、少額随契による分割発注を行うことは、地方自治法第234条第2項の脱法行為であって、違法だ。


 上記の記事にある市の説明からすると、豊中市の職員さんは、脱法行為だということをご存知なかったのだろうか。

 しかし、1件や2件ならばともかく、5年間にわたって122件も分割発注しているということは、本来一般競争入札で一括発注すべきことを知りながら、少額随契で分割発注していたと考えざるを得ない。

 そうだとすれば、少額随契によらざるを得ない何らかの理由があったのではないか。


 そこで、調べてみたら、令和7年10月豊中市総務部契約検査課『契約事務の執行状況調査結果報告書』がヒットした。

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www.city.toyonaka.osaka.jp

 やはりそれなりの理由があったればこそ少額随契で分割発注していたことが分かった。

 最も多かった理由は、「緊急対応」だった。職員研修でいつも触れているのだが、緊急の必要により競争入札に付することができないときには、随契によることができること(緊急随契、地方自治法施行令第167条の2第1項第5号)をご存知なかったようだ。

 他の自治体でもあり得るので、下記に転載しておく(8頁)。

***

○分割して少額随意契約した理由で最も多かったものは「緊急対応」で109件(約 88%)。その他、「競争入札に付しても応札がないと判断」が 9 件(約 7%)、「修 繕場所が異なる」が4件(約3%)、「工種が異なる」が1件(約1%)、「費用を平準 化」が1件(約1%)であった。 

○そのうち「工種が異なる」「費用を平準化」の2件を「合理的理由あり」、残り122 件を「合理的理由なし」と判断した。 

○「緊急対応」については、児童生徒や患者、道路利用者等の安全確保といった理 由で分割しているケースが多かったが、緊急性は認められるものの、分割せずに 緊急の5号随意契約等で対応すべき事案であった。 

○「競争入札に付しても応札がないと判断」については、事前の聞き取りで複数業 者から対応できないという回答があったことを受けて分割したが、まずは修繕 場所とスケジュールを示して競争入札に付し、応札がなかった場合に随意契約 を検討すべき事案であった。 

○「修繕場所が異なる」については、総務省行政評価局が実施した「契約に関する 調査報告書(平成26年1月)」に示されている通り、場所が異なっていても修繕 内容や実施期間等が同じであれば一括して競争入札を実施すべきものであっ た。 

○なお、今回の分割発注において、経済的損失(今回分割した契約金額の合計額が 一括発注していた場合の工事金額(検証工事額)より高くなるケース)は確認さ れなかった。

***


 また、上記の記事によると、「市の規則では「なるべく2社以上から見積書を集める」と定められているものの、1つの業者に「他社分も持って来てください」と依頼するなど、複数の不適切な行為も確認された」という。


 豊中市財務規則第104条第2項には、「主管部課長は,施行令第167条の2の規定により随意契約を行おうとするときは,なるべく2人以上の者を選んでこれらの者から見積書を徴しなければならない。」とある。


 ただでさえ見積書を作成するには、手間と時間がかかるし、見積書を提出しても受注できるとは限らないのに、「他社分ももって来てください」と言われた業者は、なんでライバル企業に頭を下げてライバル企業の見積書まで提出しなければならないのかと途方に暮れるし、業者だからと見下しているのかと怒りさえ覚えながらも、家族のためだと思って歯を食いしばって他社の見積書を集めたのではないか。

 長年、豊中市ではこのようなやり方をしていることが業界で知られていたと考えられ、同業者のよしみで、お互いに見積書を融通し合って受注していた可能性も無きにしも非ずだが。


 この点、上記報告書には、次のようにある(16頁)。

***

○1回目の調査で「依頼したことがある」と回答した職員31人に依頼理由を確認し たところ、「迅速に対応したかったため」が最も多く、適正な契約手続を遵守する という意識が希薄であったことが明らかになった。また、「慣例的であった」「上 司や先輩からの指示」と答えた者が複数あり、課や係単位で慣例的に行われて いたと考えられる。

 ○1回目の調査の結果で「あるかもしれない」など、不確実な回答が一部あった。正 確性を高めるため、1回目の調査で「ある」と回答した職員に対し2回目の調査を 行った。その結果、9人が「ある」と回答した。ただし、それを裏付ける証拠はない との回答であった。また、ヒアリングの結果、9人のうち5人は、分割して、その見 積を特定の業者にとりまとめさせていた。 

○「自社の見積書と合わせて他社の見積書を本市に提出したことがある」と回答し た 5 社については、全て、職員からの求めにより他社の見積書を提出しており、 いずれについても、職員と事業者との間での金品等の授受など、癒着を疑われ る事実は確認されなかった。

***


 上記報告書の総括も転載しておこう(17頁)。

***

 分割発注では、人命や健康、公共機能の維持といった緊急対応を理由としたも のが多数を占めたが、その多くは緊急の5号随意契約などを適用した一括発注が 可能であったと考えられる。 


 見積徴取では、財務規則において、なるべく2社以上の見積書を徴取することを 規定しているが、依頼業者に見積書の作成を断られる、見積徴取に多くの時間を 要するなどの背景から、迅速に業務を進めたいという思いが働き今回の事案につ ながったと考えられる。 


 なお、分割発注も見積徴取も経済的損失や職員と事業者との間での金品等の授 受など癒着を疑われる事実は確認されなかった。


  今回の事案については、契約事務に関する職員の理解、認識の希薄さ、ルール の不明確さ、期限に間に合わせようと焦る気持ちが要因として考えられる。 そういった背景要因はあるものの、今回の事案は、契約事務の原則である競争 性、公平性、透明性に疑念を抱かれるおそれのある不適切な行為であった

***


 再発防止に向けた改善策については、18頁以下を参照のこと。



 下記の記事によると、「首長の不信任決議後の議会解散に疑問」を呈し、「地方自治法の見直しを求める声」が上がっているそうだ。

 地方自治法に対する関心が高まるのは、珍しい。

 まず、ざっくりとおさらいをしておこう。


 普通地方公共団体の長も、議会の議員も、住民の直接選挙によって選ばれた住民代表だから、長も議会も対等独立の関係にある。これを二元代表制、首長制、大統領制と呼ぶ。

 議会は、長に対する不信任議決をすることができるが(地方自治法第178条第3項)、二元代表制の観点から、要件が厳格であって、議員の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の同意が必要だとされている(地方自治法第178条第3項)。


 議会が長に対する不信任議決をした場合には、議長は、直ちに不信任議決を長に通知しなければならず、通知の日から10日以内に長が議会を解散しない限り、長は、失職し(地方自治法第178条第1項)、長の選挙が行われる。

 つまり、不信任議決をされた長には、失職又は議会解散の二者択一が迫られるわけだ。失職を選択して、再選されれば、長の主張が民意であるとして、政治的に優位な立場に立ち、長と議会の対立は、エンドレスになる。


 このように長には、長に対する不信任議決(地方自治法第178条第3項)又はこれを行ったとみなすことができる場合(地方自治法第177条第4項)の対抗手段として、議会解散権が認められており(地方自治法第178条第1項後段)、長が解散権を行使すると、全ての議員が任期満了前にその職を失う。

 議会が解散された後、議員選挙が行われ、初めて招集された議会で、議員数の3分の2以上の者が出席し、その過半数の者の同意により、再度の不信任議決がなされ、議長からその旨の通知があったときは、長は、通知を受けた日に失職し(地方自治法第178条第2項)、長の選挙が行われる。

 つまり、議員選挙によって最新の民意を反映させた議会が勝つわけだが、失職した長が再選されれば、長と議会の対立は、エンドレスになる。


 このように二元代表制から、長と議会の関係が正常ではない場合には、住民自治の観点から、選挙を通じて住民の手で修復されるわけだ。


 さて、伊東市の田久保真紀市長や南城市の古謝景春市長は、不信任議決をされて、議会を解散して、市長の座にとどまったわけだが、これに対して世論が怒りの声をあげている。

 現行法上は、致し方ない。


 ではどうするか。ここからは立法論になってしまう。


 上述したように、不信任議決の要件は、かなりハードであって、二元代表制への配慮は十分だから、不信任議決があれば、長に議会解散権を与えずに、長が失職することにしたらいい


 この点は、元鳥取県知事の片山氏と同意見だが、片山氏は、「長が不服なら議会の決定を最終的に司法がチェックする仕組みに変えるべきとする」のだが、政治問題を司法が解決するのは相応しくなく、実際機能しないと考える。


 そこで、失職した長が再選された場合には、最新の民意を重視して、長に議会解散権を与えたらいい。再選されたことにより、長は、自分の主張を民意が支持してくれたということで、政治的に優位な立場に立つので、議会との対立が正常化する可能性もあるから、議会解散権を行使するかどうかは、長の裁量に委ねるとよい。


 なんにせよ選挙には税金が費やされるわけだが、これは、くだらない長や議員を選んだ住民が悪いわけで(バカを担いだ後援会の連中が一切責任を負わないというのも、変な話だ。)、民主政の必要悪として住民が甘受しなければならない。


 みなさんは、どのようにお考えだろうか?





 9月21日に閉幕した東京2025世界陸上に出場したベジタリアンのドイツ選手が、ベジタリアン向けの食事がほとんど提供されなかったとして、「率直に言って、この大会の運営はひどいものだと思います」と述べたことは、記憶に新しい。

 ヴィーガンやベジタリアンになるのは自由だが、自分で勝手に偏食しておきながら、ヴィーガンやベジタリアン向けの食事を提供せよと他人に強要し、これが提供されなかったとして批判するのは、自由を履き違えており、放縦だ。


 これが理解できないのであれば、極端な場合を考えれば良い。例えば、cannibalismカニバリズム「人肉食」の人が、カニバリスト向けの食事を提供せよと他人に強要し、これが提供されなかったとして批判していたら、どうだろうか。


 このように自由と放縦を履き違えている人が多い。


 この点、10月5日、読売テレビ『そこまで言って委員会NP』にて、橋下徹氏が「僕はもっと外国人に来てもらいたい」と移民受け入れを肯定した上で、「島国日本で日本人ばかりが集まっている。僕はちょっと居心地が悪い」と述べたそうだ。

 なぜ居心地が悪いのか、理由は不明だが(想像はつくが)、居心地が悪いと思うことは、自由だ。

 しかし、自分が居心地が悪いからといって、移民を受け入れろと日本国民に強要するのは、自由ではなく、放縦だ。

 なぜ橋下氏の居心地を良くするために、日本国民が移民を受け入れなければならないのか、何様のつもりだ?


 ロシア軍のウクライナ侵略戦争について、橋下氏は、「本当に戦う一択となると、住民避難の方がおろそかになって、現実に今、包囲されている都市が多くなっているんですね。そうならないようにまず逃げる。逃げることは恥ずかしいことでもなんでもない。まずは一時避難なんだということを勧められるような戦争指導をやっていただきたいなと思います」と続け「戦地では逃げることは良くないということになると、これはもう最悪なので、逃げる選択もある戦争指導をやってもらいたい」と述べていた。

 戦争になったら、まず逃げろ、国を守らずに外国に逃げろという。今は、戦時ではなく、平時だから、誰も日本に留まって国を守れなんて言わないから、島国日本で日本人ばかりが集まっていて居心地が悪いならば、外国に移住すれば済む話ではなかろうか。



 私が住んでいる某市では、指定ごみ袋を導入しておらず、市販の無色で透明又は半透明のごみ袋で出すことができる。

 このような自治体は、今では大変珍しい。


 というのは、環境省が令和2年度に実施した全国市区町村向けの調査結果によると、指定ごみ袋を「既に導入している」自治体は、82.6%だからだ。

 このように市区町村によって、家庭ごみのごみ袋の取り扱いが異なるのは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)により、一般廃棄物の処理が市区町村の事務とされているためだ。


 しかも、ごみ減量資料室代表である東洋大学名誉教授山谷修作氏が行った「全国市区町村の家庭ごみ有料化実施状況(2024年6月現在)」によると、約66%が指定ごみ袋の有料化を実施している。

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www.yamayashusaku.com

 指定ごみ袋の有料化は、ごみ袋の値段にごみ処理手数料を上乗せするかどうか、いくら上乗せするかによって、自治体ごとに価格が異なる。

 なお、手数料の徴収(地方自治法第227条)は、住民に義務を課すものであるから、条例に定めなければならない(地方自治法第14条第2項)。


 この指定ごみ袋の有料化の理由としては、

①  家庭ごみの排出量が削減される

②  ごみの分別が促され、リサイクルがすすむ

③  家庭ごみの削減により、焼却場や最終処分場の延命が図られ、自治体の財政負担が軽減する

④  事業者も、環境負荷を考慮に入れた製品開発や販売方法を推進するようになる

などが考えられる。


 他方で、指定ごみ袋の有料化は、各世帯の金銭的負担が増加するため、不法投棄や不適正なごみ出しが増える可能性がある。


 さて、なぜごみ袋の話をしたかというと、下記の記事によると、大阪府の八尾市(やおし)では、半年に一回、6か月分の家庭用指定ごみ袋を世帯人数に応じた枚数を各世帯に無料で配布しており、枚数が不足した場合には、追加のごみ袋を無料で配布している。年間1億円以上の予算が使われている。


 この税金で無料配布されている家庭用指定ごみ袋がフリマサイトで大量(100件以上)に出回っているそうだ。

 タダで貰えるごみ袋を誰が買うねんと思ったら、どうやら八尾市内の事業者が、本来使うことができない家庭用指定ごみ袋でごみを排出するために、これを購入しているらしい。

 事業者は、事業用指定ごみ袋を1枚100円で購入するか、個別で民間の回収業者と契約しなければならないのだが、その費用を浮かせるために、家庭用指定ごみ袋をフリマサイトで購入しているのではないかという。


 税金で無料配布された家庭用指定ごみ袋は、住民の所有物だから、これをフリマサイトで販売すること自体は、所有者の自由なので(民法第206条)、転売を禁止するためには、条例でこれを禁止する必要があり(地方自治法第14条第2項)、現在、八尾市は、転売を禁止する条例を検討中だそうだ。

 う〜ん、転売を禁止する条例を制定し、罰則を設けたとしても、果たしてどれだけ実効性があるのか、やってみないと分からない。


 おそらく様々な調査を基に、半年に一回、6か月分の家庭用指定ごみ袋を世帯人数に応じた枚数を各世帯に無料配布しているはずだから、枚数が不足した場合の追加分については、無料配布するのではなく、有料にするという方法もあるのではないか。


 まあ、転売を禁止しようと、追加分を有料にしようと、家庭用指定ごみ袋が事業者用指定ごみ袋等よりも安い限り、市内在住の従業員に追加分を無料で受け取らせたり、追加分を購入させたりして、家庭ごみとしてごみを出す事業者が出てくるだろうが。


 やれやれイタチごっこやね。。。










 沖縄県沖縄市で9月に行われた「沖縄全島エイサーまつり」で、いわゆる「市民団体」が陸上自衛隊第15旅団(那覇市)エイサー隊の出演中止を求めたが、主催者側が「政治を持ち込む場ではない」として出演を容認した問題に関し、沖縄県議会の野党自民党会派が文教厚生委員会に「自衛隊員であることを理由とする職業差別を許さない決議案」を提出しようとしたら、玉城デニー知事を支持する与党委員が議案として取り上げることに同意しなかったため、審議されなかった。

 小渡委員は「(出演)自衛隊員であることを理由とした職業差別と考える。批判と差別は区別しないといけない」と指摘。

 西銘純恵委員(共産)は「自衛隊の組織そのものが宣撫(せんぶ)工作や宣伝活動している。そういったものを危惧して市民団体が抗議していることを理解してほしい」と述べた。

 この点に関して、大阪公立大准教授である明戸隆浩(あけど たかひろ)氏は、「決議案は差別という概念を悪用し、軍事組織を批判する市民の表現の自由を封じ込める内容だ。差別の定義は人間の歴史の中で定まってきた。自分の意思で簡単に変えられない属性に基づく不合理な区別を言う。決議案にある「職業差別」は被差別部落に結びつけられてきた職業に対する差別などを指し、職業を自由選択した自衛隊員には当てはまらない。」と述べている。

 明戸氏のご高説に従えば、自分の意思でその職を選んだ自衛隊員に対しては、いくら差別しても職業差別(不合理な区別)にならないことになる。


 この明戸氏のご高説は、すべての職業に当てはまる。

 なぜならば、憲法第22条第1項で「職業選択の自由」が保障され、世襲が法的に義務付けられている職業はなく、すべての職業が自分の意思で選択されているからだ。

 

 ということは、自分の意思で選んだ大阪公立大学の教員に対して、いくら誹謗中傷しても職業差別にならないわけだ。

 また、公立大学法人大阪教職員宿舎規程(平成31.4.1規程54)第3条で、大阪公立大学上野芝宿舎を月18,000円(単身者用)又は36,000円(家族用)という格安の賃料で賃借できることになっているが、樽の中に暮らして犬のような生活をしていた古代ギリシャの哲学者ディオゲネスを見習って、大阪公立大学の教員は、犬小屋で暮らすよう法的に義務付けても、職業差別にならないわけだ。


 へぇ〜〜〜〜








 






 条例の公布については、以前にもこのブログで述べた。

 また、自治体職員研修においても、愛媛県の宇和島市公告式条例(平成17年8月1日 条例第3号)第2条第2項「条例の公布は、原則として、市公式ホームページに掲載することにより行うものとする。」を例に挙げて、条例をPDFにしてホームページに掲載する方法が楽ちんだと述べていた。

 ただ、宇和島市公告式条例第2条第2項は、「原則として」とあるだけで、例外を定めていない欠点がある。


 さて、埼玉県新座(にいざ)市も、令和8年1月1日から、条例の公布や公告を、市役所前の掲示場に掲示する方法から、市ホームページ内に設置した掲示場で公開する方法に変更するそうだ。


 DX(Digital Transformation)「デジタル変革」の影響だろうか、少しずつだが、ホームページに掲載する方法を採る自治体が増えつつある。

 ただ、条文を読むと、5つのパターンがある。それぞれの長所・短所を考えると、法制執務の勉強になる。


 例えば、 

<パターン1>

 愛媛県の宇和島市公告式条例(平成17年8月1日 条例第3号)第2条第2項「条例の公布は、原則として、市公式ホームページに掲載することにより行うものとする。」、

 愛知県の常滑(とこなめ)市公告式条例(昭和29年5月10日条例第2号)第2条第2項「条例の公布は、常滑市ホームページに掲載してこれを行う。」、


<パターン2>

 滋賀県の長浜市公告式条例(平成18年2月13日条例第3号)第2条第2項「条例の公布は、市ホームページに掲載し、又は市役所前掲示場に掲示してこれを行う。」、

 兵庫県の赤穂市公告式条例(昭和26年12月10日 条例第7号)第2条第2項「条例の公布は、市のホームページに掲載し、又は市の掲示場に掲示してこれを行う。」、


<パターン3>

 兵庫県の川西市公告式条例(昭和31年2月1日 条例第1号)第2条第2項「条例の公布は、市ホームページの掲示場に掲示して行うものとする。ただし、これにより難い場合は、市役所又は各出張所の掲示場に掲示して行うことができる。」、


<パターン4>

 茨城県の行方(なめがた)市公告式条例(平成17年9月2日 条例第3号)第2条第3項「電磁的記録により条例を公布する場合は,前項の規定にかかわらず,市のホームページに設置した掲示場に掲示してこれを行う。」、

 和歌山県の橋本市公告式条例(平成18年3月1日 条例第3号)第2条第3項「電磁的記録により条例を公布する場合は、前項の規定にかかわらず、市のホームページに設置した掲示場に掲示して行う。」、


<パターン5>

 三重県の鈴鹿市公告式条例(昭和25年8月31日条例第78号)第2条第2項「条例の公布は、市のホームページへの掲載、市役所前の掲示場への掲示その他の広く一般に知らせる方法として規則で定める方法により行う。」、

 などがある。


 まず、パターン1は、災害時にホームページにアップしたり、これにアクセスしたりできない場合も予想されるため、例外を設けた方がよい。

 この点で、パターン3の原則としてホームページによりつつも、例外的に市役所又は各出張所の掲示場に掲示する兵庫県の川西市の方法が無難だと思う。


 次に、パターン2は、災害時にホームページにアップしたり、これにアクセスしたりできない場合にも対応できる点はよいのだが、ホームページに掲載するか、掲示場に掲示するかの判断基準が示されていないという欠点がある。パターン3のように、ホームページに掲載することを原則とすべきだろう。


 さらに、パターン4は、電磁的記録により条例を公布する場合かどうかの判断基準が示されていないという欠点がある。電磁的記録により条例を公布することを原則とすべきだろう。


 最後に、パターン5は、結局、規則に丸投げ(白紙委任)しており、地方自治法第16条第4項が「当該普通地方公共団体の長の署名(総務省令で定める署名に代わる措置を含む。)、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。」と定めた趣旨を没却するものであり、妥当でない。


 政策法務の教科書では、先進事例があれば、ベンチマークすることを推奨する一方で、それぞれの地域事情が異なるので、先進事例の条文を安易に丸写しするのではなく、地域の実情に合わせてアレンジすることが肝要だと言われている。


 ただ、こうして5つのパターンを比較するだけで分かるが、先進事例を丸写ししているだけで、先進事例よりも進化していないことがあり、また、条文も想像力が足りず、詰めて考えられていないこともある。

 条例案を作成する際には、原課や法規担当者は、何度も推敲なさることをおすすめしたい。また、同じ条例案を何度も読んでいると、脳が疲れてしまって、欠点に気付かなくなるので、全く違う担当者に読んでもらうと、意外な発見があると思う。



 下記の記事によると、ハワイの教育従事者のなかには、給食当番や清掃に関して「子どもたちに“無償で”労働をさせるのは反対」という意見を公に述べている人がいるらしく、「給食当番や掃除を無償の労働ととらえているのは、私にとって新しい視点だったので驚きました。」とある。

 欧米人の典型的な考え方であって、何を今更驚くことがあるのだろうかと思うけれども、このような記事が書かれるぐらいだから、あまり知られていないのかも知れないと思い直して、つらつら書いてみよう。


 メソポタミア文明、エジプト文明及び古代ギリシャ・ローマ文明並びにその後継者である西洋文明においては、laborレイバーの語源がslaveスレイヴであることからも明らかなように、農作業などのlaborレイバー「労働」は、slaveスレイブ「奴隷」が行う「苦役」であった。

 serviceサービス「奉仕、世話、役務」の語源も、ラテン語servusサーヴ「奴隷」だ。


 他方で、ユダヤ教、キリスト教及びイスラム教においては、旧約聖書の「創世記」3章17節「あなたは生涯にわたり 苦しんで食べ物を得ることになる」、同章19節「土から取られたあなたは土に帰るまで 額に汗して糧を得る」とあることから、「労働」は「罰」だと考えられている。

 同章16節「神は女に向かって言われた。私はあなたの身ごもりの苦しみを大いに増す。あなたは苦しんで子を産むことになる」とあることから、「妊娠と出産の苦しみ」は、「罰」だと考えられている。

 つまり、アダムとエバは、神が禁じた木の実を食べたこと(original sin原罪)によって、アダムは食べ物を自分で耕して作らなければならない「罰」を、エバは妊娠と出産の苦しみという「罰」を、それぞれ与えられたのだ。全ての人間は、アダムの子孫として、生まれながらに罪を負っている。

 それ故、laborには、「労働」と「出産(の苦しみ)、陣痛」という二つの意味があるわけだ。


 このように階級社会でキリスト教文化である欧米では、元来、「労働」は、卑しい「奴隷」が行う「苦役」、かつ、原罪に対する「罰」だから、今では口にこそ出さないが、給仕や掃除も、下級の労働者階級が行うべき卑しい作業だと考えられている。そのため、ご褒美に tipチップをくれてやるわけだ。

 レストランで、ナイフやフォークを床に落とした場合に、自分で拾わずに、給仕に拾わせるのがマナーだとされているのもそのためだ。掃除は、下層階級である清掃員がやるべき「労働」だと考えているから、「お前が拾え!」と言わんばかりに、ゴミを床や道路に平気で捨てるのだ。

 それ故、教育サービスを受けるべきご主人様である小学生に、給食当番・掃除当番として「労働」させるとは何事か!、という反発が起きるわけだ。

 自分自身の差別意識を誤魔化すために、給仕や清掃員の仕事を奪うのはけしからん!、と屁理屈をこねる者もいる。


 こういう連中には、給食当番・掃除当番は、self-service「セルフ・サービス」だと言えば、多少は怒りを緩和できるかも知れないが、古代からの固定観念が根強いので、この説明ではやはり納得を得られまい。

 授業料、給食費、施設管理費等を支払っているのに、なぜself-service「セルフ・サービス」なのかと火に油を注ぐことにもなりかねない。


 また、給食当番・掃除当番を「労働」だと捉えると、Child labour児童労働の禁止(「児童労働禁止条約」最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約 (ILO第182号条約))に違反するおそれがある。

 日本国憲法第27条第3項で「児童は、これを酷使してはならない」とされ、労働基準法第56条第1項で「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない」と具体化されており(つまり、15歳未満の児童の労働が禁止されている。)、これに違反するおそれがある。

 15歳未満の児童をタダ働き(無償労働)させるとは何事か!、と反発が起きよう。


 日本においては、天照大神ご自身が機織りをなさっているように、昔から「働くこと」は、「美徳」とされてきた。

 我々日本人は、job「職業」の如何を問わず、仕事にやりがいや生きがいを見出して、創意工夫し、より良い仕事ができるように精進するので、日本における「働くこと」は、英語で言えば、 やらされ感があって、卑しくて骨の折れる辛い肉体作業であるlaborではなく、自主的に努力して行う創造的な作業であるworkがこれに近いと思われる。


 それ故、給食当番・掃除当番は、laborではなく、 educational activity「教育活動」として行われるgroup work「共同作業」なのだと説明すれば、理解されやすくなるかも知れない。

 その際、学校給食法第2条及び給食指導や清掃指導に関する学習指導要領を示して、給食当番・掃除当番が、group work「共同作業」を通じて協力・協調の精神を養う教育活動なのだと理解を求めるとよいだろう。

 多文化共生だとか、多文化理解だとか、左翼が喚いているが、給食当番・掃除当番ひとつを取ってみても、簡単ではないのだ。


cf.学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)

(学校給食の目標) 

第二条 学校給食を実施するに当たつては、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、次に掲げる目標が達成されるよう努めなければならない。

 一 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。 

 二 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。 

 三 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。 

 四 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。 

 五 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。 

 六 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。 

 七 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。


 イタリア北部の観光地ボルツァーノ市は、糞の放置に業を煮やして、犬連れの観光客には観光税(1日1.5ユーロ・約260円)を、地元住民には飼い犬1頭につき年間100ユーロの犬税を、それぞれ課して、道路の清掃や犬専用の公園新設の費用に充てるそうだ。

 さらに、飼い主の負担で犬のDNA登録を義務付け、放置された糞のDNAを解析して罰金(違反1回につき最大600ユーロ)を徴収するという。市役所の怒りが感じられるではないか。

 この記事を読んで思い出した。2014年、大阪府泉佐野市が、犬の糞放置対策として、犬一頭につき年間2000円の犬税を課し、啓発活動や糞の処理の費用に充てようとしたことがある。

 狂犬病予防法に基づく登録した犬を対象に制度設計したのだが、実際には登録していない犬が多いことが判明し、税の公平性が図れないし、徴税経費そのものが市の大きな負担となる可能性があることから、犬税導入を断念した。

 再び目を世界に転ずると、無責任に犬を飼わないようにするとともに、犬の頭数を間接的に制限するために、ドイツ、オランダ、オーストリアなどでは、多くの自治体が犬税を導入している。自治体ごとに金額が異なるが、だいたい一頭当たり1万円から2万円程度の税金がかかる。


 よく知られているように、昔は、日本にも犬税があった。昭和50年代まで、市町村の法定外普通税として、犬税があった。

 そもそも明治時代から府県税として犬税があり、府県ごとに課税方法が異なっていたそうで、この点に関する国税庁のクイズがあるので、考えてみるのも一興だ。

 かつてあった日本の犬税は、貧しい時代に犬を飼うのは贅沢だから、お金のある人から税を徴収しようといういわば「贅沢税」だったわけだ。


 このように目的は異なれど、いずれの国にも犬税を課そうとする傾向があるわけだが、この発想自体が左翼的・設計主義的で、うんざりする。


 権力的手法は、自由を制限するものであるから、できる限り謙抑的であるべきだ。他人様にご迷惑をおかけしないようにしようというモラルの向上を図って、糞を放置することが悪いことだ、恥ずかしいことだという認識を抱かせるようにするのが一番良い。


 実際、昔に比べれば、犬の飼い主のモラルが向上し、少なくとも私が住んでいる地域では糞の放置をする飼い主はいないように思われる。

 他の飼い主が犬の糞を取って、ペットボトルの水で跡を流しているのを見れば、自分もそうせざるを得なくなっただけだろうが、それでも自発的に糞を処理する方が課税よりも自由保障の観点からは望ましいのだ。








 大阪府吹田市(すいたし)がタレントマネジメントシステム「カオナビ」を導入するそうだ。

 セキュリティ面が心配だが、経産省、横浜市などがすでにこのシステムを導入しており、追随する自治体が増えるかもしれない。

 このようなシステムが導入されたら、手作業でエクセルに落とし込んでいた作業をせずに済むだけでも、かなり楽になる。

 また、「好きこそ物の上手なれ」と言うように、例えば、法律や財務に関連する学部・大学院で好成績を上げた者や有資格者、法律や財務が好きで積極的に研修に参加し意欲的に取り組んでいる者などをピックアップして、適正配置するなど、組織横断的な人事行政を行うこともできるだろう。


 ただ、AIによる人事評価を過度に信頼するのは危険だ。その人が職場にいるだけで安心感を周りに与えたり、要所要所でビシッと締めたり、やる気を出させたり、和ませたりするなど、情意面を評価できないからだ。

 コンピューターではカバーできない情意面を人事課がどれだけカバーできるかが問われる。