BLOG夙夜夢寐(しゅくやむび)

 FIFA U-17ワールドカップ カタール2025で、日本チームと北朝鮮チームがハイタッチやグータッチをする際に、北朝鮮チームが拳を振り上げて強くグーパンチしたことがスポーツマンシップに反するとして話題になっていた。

 小さい頃から日本は敵だと教えられ、試合で日本に負ければ制裁が待ち受けている可能性が無きにしも非ずだから、気合いが入るのは致し方ないとも思えるが、何のためにハイタッチやグータッチをするのかを弁えていないことは、明らかだ。

 勝利至上主義に陥って、本来楽しむものであるスポーツの意義や人格陶冶という教育の意義が忘れ去られてしまったきらいがある。


 ところで、日本では、ハイタッチ、グータッチと呼ばれるが、いずれも和製英語だ。

ハイタッチは、high-fiveハイ・ファイブと言い、グータッチは、fist-bumpフィスト・バンプと言う。

 いずれも比較的最近行われるようになったハンド・サインだと思う。昔の白黒映画・ドラマでは行われていないからだ。

 high-fiveは、軽い挨拶や喜びを分かち合う際に行われることが多いようだ。

 間違っているかも知れないが、映画やドラマを見る限り、fist-bumpは、元来、米国の黒人の間で親密さや仲間同士の連帯感を確かめ合うために行われ、その後、広く行われるようになったと思う。fist-bumpをした後で、仲間同士だけが知っている様々なジェスチャーを続けることで、より一層連帯感を高め合うみたいだ。側から見ると滑稽だが、本人たちはかっこいいと思っているようだ。


 記憶が定かではないが、日本では、ハイタッチは、バレーボール選手や野球選手が得点するたびに選手同士で行っていたけど、少なくとも私が高校生の頃には、広く一般に普及していたと思う。高校時代、友人たちとボーリングに行って、ストライクが決まると、ハイタッチした記憶があるからだ。可愛い女子たちとのハイタッチは、なんとも照れ臭かったので、記憶に残っている。小中学生の頃にハイタッチをした記憶はない。

 これに対して、日本におけるグータッチは、コロナが流行していた時分に、感染拡大を防ぐために、政治家が握手の代わりに行うようになったと記憶している。私は、グータッチをしたことはない。



 両手をトラウザーズ(米国ではパンツ、日本ではズボン、スラックス)のポケットに突っ込んでチンピラみたいに凄んでいる中国外務省の劉勁松(りゅう けいしょう)アジア局長の外交官にあるまじきマナー違反が話題になっている。

 英国では、トラウザーズのポケットに両手を突っ込むのは、無作法だとされている。そのため、昔ながらの礼儀作法を重んじる英国のパブリックスクールでは、トラウザーズのポケットを糸で縫い付けるところもあるらしい。

 ただ、チャールズ国王陛下は、たまに左手をトラウザーズのポケットに突っ込んでいるけど。癖なのか、威厳を緩めてリラックスした雰囲気を出して、親しみやすさを演出しているのかは、分からないが、国王だからこそ許されるのであって、一般人は、真似しない方がよい。


 これに対して、最近の米国では、テック企業のCEOがTシャツやトレーナーにジーンズ姿で、片手をジーンズのポケットに入れて、リラックスした雰囲気を醸し出し、プレゼンテーションの真実味を増す演出が意図的に行われているようだ。躾を受けていない成り上がりだからという可能性もあろうが、これが米国社会で受け入れられているということは、「所変われば品変わる」だ。


 「所変われば品変わる」と言えば、コートの扱いも、日本と西洋では異なる。


 誰が言い出したのかは知らぬが、日本では、他家の玄関に入る前にコートを脱ぐことがマナーだと言われることが多い。埃を他家に持ち込まないようにするためだという。そのため、脱いだコートの表地を内側にして、折りたたんで腕に掛けて持てと言われる。裏地を外側にすることにより、表地が汚れないようにする効果もある。

 昔は、どこの家にも、玄関や応接間に人の背丈ほどある木製のコートハンガーラックが置かれていて、帽子とコートを掛けられるようになっていた。母も、お客様からお預かりしたコートと帽子をブラッシングしてラックに掛けていた。

 今は、道路が舗装され、埃や砂埃が舞い上がることがなくなったからだろうか、このマナーを守っている人は、少なくなったように思う。ドラマ『相棒』の主人公杉下右京は、このマナーを守っていない。制作がテレビ朝日だから、当然か。苦笑


 これに対し、西洋では、コートを着たまま他家に入る。昔から石畳で舗装されて埃が舞うことがほとんどないし、そもそも土足のままで他家に入るのだから、コートに付いた埃を気にするはずもない。

 西洋では、訪問先の主人から「どうぞコートをお脱ぎ下さい」と言われてからコートを脱ぐのがマナーだ。コートを脱ぐということは、長居をするということを意味するから、訪問先の主人から「コートを脱ぐように」と言われていないのに、勝手にコートを脱ぐことは、図々しいわけだ。

 日本で言えば、訪問先の主人から「どうぞお上がり下さい」と言われていないのに、勝手に靴を脱いで家に上がり込むようなものだと言えば、分かりやすいだろう。

 シャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロも、聞き込み捜査で訪れた他家にコートを着たまま入っている。「長居はしません、ちょっとお訊ねしたら、直ぐに失礼します」という意味合いがあるわけだ。訪問先の主人から「どうぞこちらへ」と着席を勧められたら、コート・帽子・手袋を脱いで、ステッキとともに執事に渡している。

 ドラマや映画も、注意深く見ると、勉強になるのだ。


 現代の日本では、靴を履いたまま建物の中に入る機会が多いので、西洋式が理に適っていると思うから、自治体職員研修の際には西洋式にコートを着たまま庁舎・会場に入るが(以前は、日本式に従って、庁舎の玄関(裏口・職員専用通用口)に入る前にコートを脱いでいたが、朝早く開庁前のため、暖房が効いておらず、風邪を引きかねないというのも、理由の一つだ。)、旧家を訪問する際には日本式でという風に、使い分けている。

 マナーの由来や理由を理解していれば、あまり気にせずにTPOに合わせて振る舞うことができると思う。







 滋賀県の湖南市(こなんし)が、市営住宅「堂の上団地」の用途廃止に伴って湖南市営住宅条例を改正して「堂の上団地」を削除すべきなのに、改正手続をしていなかったことが発覚した。

 実害はないけど、「担当職員による法令に対する認識不足、事務処理手続きの確認不足および管理監督職員による 確認不足が原因」だそうだ。


 「今後は、事務処理手続きのフローやチェックリストを作成し、担当者だけでなく管理監督職員 も含めた複数の職員で市営住宅の売渡しに係る事務処理について確認を行うほか、土地問題調整 会議において条例改正手続きの要否等について確認するなど、再発防止に努め」るらしい。


 別にけちを付けたいわけではないが、湖南市営住宅条例を見れば、 別表第2(第3条の2関係) 市営住宅の名称及び設置場所に、「堂の上団地」が載っているので、これを用途廃止して売却した以上、別表からこれを削除しなければならないことは、一目瞭然だ。

 事務処理手続のフローやチェックリストを作っても、めったに市営住宅の用途廃止が行われるわけではないから、結局、フローやチェックリストすら読まれずに、再びミスをする可能性がある。

 なによりも、仕事の根拠である法令及び例規を読むことを周知徹底させることが大切ではなかろうか。

�̦�A��:��1|wOG����r_��2������� -wi����A�S�l���x8SܓUU6�@��� 7p��*1$����p�����6�(����� ����a�w���c"F3xh������� �݁�sL'���0��1~�cx��'x����Yn�R͒TU�U��b[�6l`�i�@F�9NQ��䚤��0p!���˼ǖm�Q�ӹA��%� r%�����+�O��m:+f��6{̐�r�B�<��&�1�n�c �K����I�@�tg@�: �3 K�LG���w ��1�fl�� ǎ+�*��S� �5�?l�O�㨈f���q`kI��I����V �8��UCq1!��� �*�q qU�-+���4�z=ttV�1L�ق����n-0C�,.��-K�r�[j��� � ���f����0�w�=��ʓ��BB Xx�1������s;؅6�r�s�"���dԥ�k�:\�<7Y����u8:�y�a��%�J���� H�D�a�^�;������O'�[��q��Y�<����6��f�������rAJ�����sؔ�2�"1\ఉ��y�{@������ i���Cj��\�)кk��pL��@?8���'k�Ƅ��H��� ����&�ل����7��K��Z"00�q{*�#f ��b�`X�09{1��r�����K�nʼb膂e�{���-ף��9���[l�ɹD:�0-#9"�u]t����'��i�3F��(W�,]�߉���� m�kN-�T��e���A&^Hd�i����؅� 3|p|��'L�qr�@�����];���������o]�q w�83J}����oD��� \f������#|ͧ�k�P��_������ܣj�F ������o�y��)��������b�̄�8�kay�\� 6>m�;��T�x�DS|�OޚS �߶=�i����O�|݃�+a� 0��4�Ok6�;�}9Cu���{���l��ܲ2A������ߞ� L0eۓ{,ٳ���E˼6�e�'j��A�o�(~�iЧ��4��b>�8�

www.city.shiga-konan.lg.jp

湖南市営住宅条例

○湖南市営住宅条例平成16年10月1日条例第181号目次第1章 総則(第1条・第2条)第2章 市営住宅の整備(第3条・第3条の2)第3章 入居者の決定等(第4条~第13条)第4章 家賃及び敷金(第14条~第20条)第5章 入居者の費用負担及び保管義務等(第21条~第28条)第6章 収入超過者に対する措置等(第29条~第36条)第7章 市営住宅建替事業に伴う措置等(第37条~第40条)第8章 市営住宅の明渡し(第41条・第42条)第9章 社会福祉法人等による市営住宅の使用等(第43条~第49条)第10章 駐車場の管理(第50条~第58条)第11章 放置車両に対する措置(第59条~第65条)第12章 補則(第66条~第70条)付則第1章 総則(趣旨)第1条 この条例は、公営住宅法(昭和26年法律第193号。以下「法」という。)第5条第1項及び第2項並びに第23条第1号の規定に基づき市営住宅及び共同施設の整備基準等について定めるとともに、法及び地方自治法(昭和22年法律第67号)並びにこれらに基づく命令の定めるところによるほか、市営住宅及び共同施設の設置及び管理について必要な事項を定めるものとする。(用語の定義)第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。(1) 市営住宅 市が、建設、買取り又は借上げを行い、住民に賃貸し、又は転貸するための住宅及びその附帯施設で、法の規定による国の補助に係るものをいう。(2) 共同施設 法第2条第9号及び公営住宅法施行規則(昭和26年建設省令第19号)第1条に規定する施設をいう。(3) 収入 公営住宅法施行令(昭和26年政令第240号。以下「令」という。)第1条第3号に規定する収入をいう。(4) 市営住宅建替事業 市が施行する法第2条第15号に規定する公営住宅建替事業をいう。(5) 市営住宅監理員 法第33条の規定により市長が任命する者をいう。(6) 自動車等 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車及び道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)第1条第2項に規定する第2種原動機付自転車をいう。(7) 放置自動車等 市営住宅の敷地内に放置されている自動車等をいう。(8) 所有者等 放置自動車の所有者又は使用者をいう。(9) 廃物 放置自動車等が自動車

www.city.shiga-konan.lg.jp

 たまたま見たアニメで、吸血鬼が血液の代わりにトマトジュースを飲んでいた。どうでもいいことだが、ちょっと気になった。


 トマトジュースは、血液と同じ赤色だということで、血液の代用品とされているのだろう。

 恐ろしい吸血鬼がトマトジュースを飲んでいるのは、ベジタリアンの吸血鬼みたいでコミカルだし、血を吸うというショッキングな場面を視覚的に緩和するものだから、演出上、トマトジュースが用いられているのかも知れない。


 しかし、トマトジュースは、血液の代用品にはならず、きっと吸血鬼は、空腹を満たすことができないだろう。


 栄養学的又は生物学的な観点から、吸血鬼には、牛乳を飲めと勧めたい。

牛乳は、牛の血液だからだ。血液が赤く見えるのは、ヘモグロビン色素を含む赤血球があるからだ。牛乳には、この赤血球がないため、牛乳に含まれるタンパク質や脂肪の粒子の光学現象で白く見えるそうだ。

 しかし、奈良県立医科大学血液内科学講座教授の松本雅則氏と同大学医学部化学教室教授の酒井宏水氏が、2024年7月、備蓄・緊急投与が可能な人工赤血球製剤の開発に成功したので、これが実用化されたら、吸血鬼が血液の代用品としてトマトジュースを飲むシーンが描かれることもなくなるだろう。

 備忘録として記事のリンクを貼っておく。


 なお、立憲民主党の岡田議員

 守秘義務の謎について、以前述べた。今日は、守秘義務に関する諸論点について、愚見を述べようと思う。


1 秘密を漏らす

 さて、まずは、おさらい。

 地方公務員法第34条第1項には、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。 その職を退いた後も、また、同様とする。」と定められている。

 行政に対する信頼を確保し、情報の取得を確実にする趣旨だと言われている(橋本勇『逐条地方公務員法<第2次改訂版>』学陽書房、636頁)。


 ここに「秘密」とは、一般に了知されていない事実であって、それを了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものである(行政実例昭和30.2.18)。

 如何なる事実が「秘密」に該当するのかということは、一定の利益、すなわち保護されるべき利益の社会的価値を判断して決めるほかはない。

 本条の「秘密」と言えるためには、形式的に秘密の指定がなされているだけでは足りず、「非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに価するものをいう」と解されている(最決昭52.12.19)。


 秘密を「漏らす」とは、「秘密」が一般に了知されていない事実であって、それを了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものである以上(行政実例昭和30.2.18)、「当該職員以外は了知していない事実、あるいは一部の特定の者しか了知していない事実を、ひろく一般に知らしめる行為または知らしめるおそれのある行為の一切をいう」と解されている(以上、橋本勇『逐条地方公務員法<第2次改訂版>』学陽書房641頁)。


 以下述べることは、前掲書や晴山・西谷編『新基本法コンメンタール地方公務員法』(日本評論社)その他の地方公務員法の教科書の類には載っていないので、間違っているかも知れないから、鵜呑みにしないように!



2 課内外の秘密の共有

 職員が職務上知り得た秘密を課内外の他の職員と共有することは、秘密を「漏らす」に該当するのか。 


 行政組織は、行政目的を達成するため、一体として活動するものである以上、職員がその担当業務を適切かつ円滑に遂行するために必要な範囲内であれば、連携を必要とする課内外の他の職員と秘密を共有することが認められて然るべきだ。

 また、地方公務員法第34条は、一定の者に守秘義務を課して秘密の漏洩を防止するわけだから、「守秘義務とは、情報が一定の人的範囲の外に出ないことを保護しようとする法制度である」(園田寿「行政の保有する個人情報の保護ー刑事法的観点からー」)と言える。

 従って、秘密を「漏らす」とは、秘密を知る正当な職務権限を有する者以外の者に広く一般に知らしめる行為又は知らしめるおそれのある行為をいうと解するのが相当だ。


 そうすると、連携を必要とする課内外の他の職員には、その秘密を知るべき正当な職務権限があると考えられ、職員が職務上知り得た秘密を連携を必要とする課内外の他の職員と共有することは、秘密を「漏らす」に該当しない。

 このように解したとしても、連携を必要とする課内外の他の職員にとっても、その秘密は、職務上知り得た秘密に当たるので、守秘義務の対象になるから、不都合はない。


 これに対し、職員が連携を必要としない課内外の他の職員と秘密を共有することは、秘密を「漏らす」に該当する。


3 直属の上司への報告

 職員が職務上知り得た秘密を直属の上司に報告することは、秘密を「漏らす」に該当するのか。


 直属の上司は、部下である職員を指揮監督すべき職務権限を有しており、部下である職員には、「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」義務がある(地方公務員法第32条)。


 直属の上司が部下である職員を適切に指揮監督して公務を円滑に遂行するためには、部下が直属の上司に報告することが必要なので、直属の上司には秘密を知る正当な職務権限があると考えられる。


 従って、職員が職務上知り得た秘密を上司に報告することは、それが職務の遂行に必要である限り、秘密を「漏らす」に該当しない。


 このように解したとしても、直属の上司にとっても、その秘密は、職務上知り得た秘密に当たるので、守秘義務の対象になるから、不都合はない。


4 首長への報告

 職員が職務上知り得た秘密を直属の上司に報告することは、秘密を「漏らす」に該当するのか。


 首長は、「当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する」権限(地方自治法第148条)や「その補助機関である職員を指揮監督する」権限を有する(地方自治法第154条)。

 法令上、首長の権限に属する事務は、首長自らが事務処理することが建前となっているので、首長は、秘密を知る正当な職務権限があると言える。


 また、「法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない」と定められている(地方公務員法第34条第2項)。

 「職務上知り得た秘密」(同法同条第1項)と「職務上の秘密」(同法同条第2項)は、広狭に違いがあるとはいえ、任命権者たる首長に許可権限が与えられているということは、首長が秘密を知る正当な職務権限を有することを前提にしていると考えられる。


 そうだとすれば、首長がその権限に属する事務を遂行するためには、補助機関たる職員が首長に報告することが必要なので、職員が職務上知り得た秘密を首長に報告することは、それが首長の職務の遂行に必要である限り、秘密を「漏らす」に該当しない。


5 首長に地方公務員法上の守秘義務が課されていない理由

 この点で問題となるのは、首長は、特別職であり(地方公務員法第3条第3項第1号)、特別職には、原則として、地方公務員法が適用されないので(地方公務員法第4条第2項)、首長に地方公務員法上の守秘義務(地方公務員法第34条)が課されていないことだ。

 なぜ、首長には、地方公務員法上の守秘義務が課されていないのか。


 自治体が保有する情報は、住民自治の観点から、いわば住民の共有財産だと言える。住民自治を実現し、行政を民主的にコントロールするため、住民には、自治体が保有する情報を「知る権利」があると解する(憲法第21条第1項)。

 そこで、「当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表」し(地方自治法第147条)、「当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する権限(地方自治法第148条)を有する首長は、その職務に関する情報を住民に公開し、説明する責任を負っている。

 首長が説明責任を果たすために、究極の二択として、「職務上知り得た秘密」を公開せざるを得ない場合もあり得ることから、首長には、地方公務員法上の一般的・包括的な守秘義務が課されていないのだろう。

 首長が説明責任を果たすためとはいえ、「職務上知り得た秘密」を公開したことが不適切だと判断された場合には、次の選挙で落選という形で政治責任を問われることになる。


 他方で、首長が恣意的に「職務上知り得た秘密」を公開しないように、情報公開条例でこれを規制するとともに、個別の法令(ex.地方税法第1条第1項第3号・第22条、住民基本台帳法第44条・第50条、国民健康保険法第120条の2、生活保護法第85条の2)や条例で首長に守秘義務を課して、説明責任と秘密保護とのバランスを図っているので、首長が説明責任を果たすためとはいえ、「職務上知り得た秘密」を無制限に公開できるわけではなく、首長に地方公務員法上の一般的・包括的な守秘義務が課されていないからといって必ずしも不都合ではない。

 首長が「職務上知り得た秘密」を違法に公開した場合には、個別の法令や条例で課された守秘義務に違反したとして処罰されることになる。


 また、首長は、職務遂行上の必要があれば、補助機関たる職員に「職務上知り得た秘密」を報告するよう命令することができるが(地方自治法第154条)、首長が職務遂行上の必要がないにもかかわらず、補助機関たる職員に「職務上知り得た秘密」を報告するよう命令した場合には、地方公務員法第62条の「命じ」た者として、同法第60条第2号(守秘義務違反)と同様に処罰されることになる。


 以上、地方公務員法の教科書等には載っていない諸問題について、思考実験してみた。くどいようだが、間違っているかも知れないので、鵜呑みにしないように。

 

 ガリレオは、「人にものを教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ」と言ったらしい。愚見がきっかけで、正しい解釈を導いてくれたらと思う。




 









  

 11月17日、指定都市市長会議が都内で開かれ、指定市を道府県から独立させる「特別市」について、法制化案及び地方自治法改正案が提示された。

 特別市は、都道府県の区域外とする、特別市への移行の賛否について「住民投票」を必ず実施するなどが明記されている。

 警察事務をどうするかなどの課題が残るし、明治以来の因縁(自治権拡大運動)もあり、今後も紆余曲折が予想される。

 私が今住んでいる所には、昔、2軒の本屋さんが駅前にあったが、今はもうない。街の小さな本屋さんへ行くためには、1駅分ぐらい歩かねばならない。本好きには、住みにくい時代になってしまった。


 さて、下記の記事によると、2016年、青森県八戸市は、離島以外で全国初の直営書店を開業した。「借りて読むこと」と「買って読むこと」は、経験が違うので、図書館ではなく、書店なのだという。

 毎年、約50件の視察が来るが、追随した自治体は、福井県敦賀市だけだという。


 民業を圧迫せぬように、①コミック、雑誌、ベストセラーなどの売れ筋を置かず、②本の注文も受け付けず、市内の民間書店で注文してもらうようにしているそうだ。

 そのため、赤字経営だ。すなわち、「24年度の書籍売り上げは約1350万円、センター運営費を使途に指定した「ふるさと納税」は、2157人から約2300万円だった。これに対し支出は約1億700万円で、一般財源から約6500万円を持ち出した。」

 この八戸市直営の本屋さんは、株式会社なのかと思いきや、そうではなかった。八戸ブックセンター条例(平成28年6月21日 条例第32号)には、明記されているわけではないが、地方自治法上の公の施設(地方自治法第244条)という建て付けだ。

八戸ブックセンター条例

○八戸ブックセンター条例平成28年6月21日条例第32号(趣旨)第1条 この条例は、本と出会う新たな機会を創出することにより市民の豊かな心を育み、文化の薫り高いまちを目指すとともに、中心市街地の活性化に寄与するため、本を通じた市民交流及びまちづくりの拠点としてブックセンターを設置し、その管理について必要な事項を定めるものとする。(ブックセンターの名称及び位置)第2条 ブックセンターの名称及び位置は、次のとおりとする。(1) 名称 八戸ブックセンター(2) 位置 八戸市大字六日町16番地2(事業)第3条 ブックセンターは、次の事業を行う。(1) 本と出会う新たな機会の創出に関する事業(2) 本を通じた市民交流の推進に関する事業(3) 本を通じたまちづくりの推進に関する事業(4) 前3号に掲げる事業の情報発信及び関係機関との連携に関する事業(5) その他ブックセンターの設置目的を達成するために必要な事業(使用の許可及び条件)第4条 ブックセンターの施設のうち、ドリンクスタンド、読書会ルーム及びカンヅメブース(以下「許可施設」という。)を使用しようとする者は、市長の許可を受けなければならない。2 市長は、ブックセンターの管理上必要があると認めるときは、前項の許可に当たって、その使用について条件を付けることができる。(使用者の決定方法)第5条 許可施設のうち、ドリンクスタンドに係る前条第1項の許可に当たっては、あらかじめ市長が定める方法によりドリンクスタンドを使用する者を決定することができる。(使用制限)第6条 市長は、許可施設の使用が次の各号のいずれかに該当するときは、その使用を許可しない。(1) 風俗又は公益を害するおそれがあると認めるとき。(2) 建物又は附属物を損傷するおそれがあると認めるとき。(3) ブックセンターの管理に支障があると認めるとき。(4) 集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがある組織の利益になると認めるとき。(5) その他市長が不適当と認めるとき。(使用条件の変更等)第7条 市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、許可施設の使用条件を変更し、又はその使用を停止し、若しくは使用許可を取り消すことができる。(1) この条例若しくはこれに基づく規則又は使用許可の条件に違反したとき。(2) 偽りその他不正の行為により使用の許可を受けたとき。

www1.g-reiki.net

 地方公共団体は、「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」(地方自治法第2条第14項)。

 赤字を垂れ流している公の施設だからといって、必ずしも費用対効果が低いとは言い切れない。文化政策・施策の効果は、数字で見える化することが困難だからだ。

 例えば、人文社会科学の本は、街の小さな本屋さんには置いておらず、実際に手に取って選択するためには、大都市の大型書店へ行かねばならず、そのための手間と時間を省くことができるだけでも、本好きには大変ありがたい。本好きが増えれば、街の小さな本屋さんも廃業しなくて済む。

 「八戸ブックセンター基本計画書」には、「市民のみなさんに様々な本に親しんで いただき、市民の豊かな想像力や思考力を育み、本のある暮らしが当たり前となる、文化 の薫り高いまちを目指すとともに、当施設を中心市街地に開設することにより、来街者の 増加、回遊性の向上を図り、中心市街地の活性化にもつなげることを目的として開設が計 画されました」とある。

 市長の選挙公約なので、赤字だからといって簡単にやめるわけにもいかないという事情もあろう。


 なんにせよ、私は、八戸市の納税者ではないので、無責任かも知れないが、実際に本を手に取って確かめ、買うことができる環境にあることは、Intellectual Life「知的生活」にとって不可欠だから、八戸ブックセンターを継続してほしいと思う。



 

 またブログ記事が削除された。一部表現を変えて再アップする。


 粉骨砕身(ふんこつさいしん)とは、「力の限り努力すること。一所懸命働くこと。粉骨。」をいう(『精選版 日本国語大辞典』小学館)。


 「「粉骨砕身」は、中国の唐の時代に書かれた禅宗の経典である『禅林類纂(ぜんりんるいさん)』に由来します。「粉骨砕身も未だ酬ゆるに足らず、一句了然として百億を超う」という教えから生まれました。  この言葉は、「身を粉にして働いているけれども、まだお釈迦様の恩義に報いるまで達していない。お釈迦様の一句は、百億年の修行をしたのと同じくらいの価値があるのに」と訳されます。現代でも意味が通じるように言い換えると「他人の為に精一杯努力することは、難しくて尊い」ということを表しているのです。  この経典をもとにして、「粉骨砕身」という四字熟語が生まれました。」

 ところが、中国国防部報道官は、「粉骨砕身」という故事成語を用いて、Xに次のように投稿した。 

「"日本側が歴史の教訓を深く汲み取らず、

    あえて危険な賭けに出たり、

       更には軍事的に

  台湾海峡情勢に介入したりすれば、  

 必ず中国人民解放軍の鉄壁の前で 

     粉骨砕身になり、  

 多大な代償を払わなければならない。"  

   中国国防部報道官2025年11月14日

 我々日本人からすると、「粉骨砕身」の誤用ではないかと思ってしまう。


 しかし、「粉骨砕身」は、現代中国語では、

① 生命を犠牲にして物事をやる. 

② (反動的勢力などが)散々に打ち砕かれる.

③ (高い所から落ちて)体が粉々に砕けて死ぬ.

 という意味に用いられているそうだ(『中国語辞典』白水社)。

 上記の投稿は、日本側を客体として捉えているので、文脈的に、おそらく②(又は③)の意味で用いているのだろう。


 唐時代の『禅林類纂』に由来する「粉骨砕身」という故事成語は、中国では、時を経るにつれて語義変化させたのに対して、日本では、古典を大切に守り、語義変化させることなく、原義通りに今も用いているわけだ。面白い。


 なお、「(反動的勢力などが)」の「反動」とは、「歴史の進歩発展に逆行し、強圧的な手段によって旧体制の維持または復活をはかろうとする立場、ないし、政治行動。また、その立場をとる人。」をいう(『精選版 日本国語大辞典』小学館)。

 「マルクスは歴史を〈革命を媒介とする非連続的な進歩〉としてとらえ,革命に反対する反動こそ進歩への反動であると説く」(『改訂新版 世界大百科事典』平凡社)。


 参考までに、「中国人民解放軍 対日攻撃概念図」を載せておく。