2024.09.29 13:15名裁きから学ぶ先人の智慧 <追記> 旧約聖書のソロモン王の裁判が、シルクロードを通って、1211年支那(シナ)の桂万栄(けい ばんえい)編『棠陰比事(とういんひじ)』の黄霸𠮟姒(こうはしっし)を経て、江戸時代の日本に伝わり、大岡政談に翻案されたというのが有力説だ。 私は未読なのだが、滝川政次郎『裁判史話』(乾元社)によると、大岡政談は、ソロモン王の裁判が起源で、16、17世紀に来日した宣教師によって伝えられた、と主張しているそうだ。あり得るルートだが、だからといって支那経由ルートを否定することはできまい。 有名な名裁きだとはいえ、旧約聖書や棠陰比事を読んだり、講談や時代劇を見たりする若い人は、あまりいないかも知れないので、長くなるが、とりあえず引用してから、話を進めることにしよう。①...
2024.09.05 23:45お千代さん 「内助の功」(ないじょのこう)とは、「陰ながら援助する身内の功績。特に、夫の活躍を支える妻のはたらきについていう」(『デジタル大辞泉』小学館)。 「内助の功」と言えば、「山内一豊(やまのうちかずとよ)の妻」と同義と言っても過言ではないほどだ。 「内助の功」も「山内一豊の妻」も、少なくとも私が子供の頃には、誰もが知っている常識だった。 ところが、象印マホービン株式会社が、1987年(昭和62年)と、その17年後の2004年(平成16年)の二度にわたって、首都圏の主婦300人(働いている夫を持つ主婦)を対象に、「内 助の功」に関する調査を実施したところ、驚くべき結果が出た。***1. 17年前、ほとんどの主婦が知っていた「内助の功」、 最近の主婦の6.7...
2024.02.12 01:09「夫婦別姓こそが本来の日本の伝統」? 夫婦別姓こそが本来の日本の伝統だと言う人が後を絶たない。嘘を吐いてまでいわゆる「選択的夫婦別姓」を導入したいのだろう。 ナチス・ドイツの宣伝大臣であったヨーゼフ・ゲッベルスは、「嘘も百回言えば真実となる」と述べたらしいが、この言葉を地で行くプロパガンダだ。
2021.03.14 05:10女の議会 高校時代までは、乱読だったが、大学受験の必要に迫られて、先生のお薦めで、小林秀雄、外山滋比古、森有正、加藤周一などを読んだ(今の受験生は、何を読んでいるのだろうか?)。 小林秀雄や外山滋比古の本は、知的刺激に満ちていたが、先生の推薦図書の中には、必ずしもそうではないものもあった。例えば、加藤周一の『雑種文化』(講談社文庫)は、日本文化の特徴は雑種であり、その純化は純粋種に対する劣等感に由来するというような論旨だったが、世界中どこの国であろうが雑種でない文化なんてあるものか、立論の前提がそもそも大間違いだ、コイツは馬鹿かと思いながら、入試に出題されるかも知れないので、嫌々ながら読了した記憶が残っている。 大学入学後、苦手な語学をなんとかしようと思って、...
2020.01.27 04:45夫婦同氏制の由来 報道によると、ある国会議員がいわゆる選択的夫婦別姓について代表質問をした際に、ヤジが飛んだらしくて、大騒ぎになっている。 この国会議員にせよマスコミにせよ、必ず夫婦「別姓」と言うが、一体どこの国の話をしているのだろうか。現行民法は、夫婦「同氏」制を採っているので(民法第750条)、それを言うならば、正しく夫婦「別氏」と言うべきだろう。cf.民法(明治二十九年法律第八十九号) (夫婦の氏) 第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。 ここでは、このような喧騒から離れて、そもそも夫婦同氏制が採用されたのは、明治31年(1898年)に制定された旧民法からなので、それまでの経緯を簡単におさらいしたいと思う。 まず、明治元年3...