『サザエさん』の磯野波平さんは、54歳だそうだ。
http://www.sazaesan.jp/charactors.html
まさか自分が波平さんと同い年になろうとは予想もしなかったので、54歳になった時には、実に感慨深かった。
はあ〜。気持ちは学生の頃のままなのに、今ではすっかり波平さんよりも年上になってしまった。。。
さて、改めて言うまでもないが、「ねんれい」を漢字で表記する場合には、「年齢」が正しく、「年令」は誤りだ。
なぜならば、「齢」(音:れい、訓:よわい・とし)には、よわい、年齢という意味があるが、「令」(呉音:りょう、漢音:れい。訓:しむ、いいつけ、おさ、よい)は、①いいつける、命じる、いいつけ、②のり、きまり、おきて、③おさ、長官、④よい、りっぱなという意味であって、よわい、年齢という意味がないからだ。
また、年齢を示す場合には、「何歳」と書くのが正しく、「何才」は誤りだ。
なぜならば、「歳」(音:さい、せい。訓:とし・とせ・よわい)には、よわい、年齢という意味があるが、「才」(呉音:ざい、漢音:さい。訓:ざえ)は、生まれつきの能力、頭脳の働きという意味であって、よわい、年齢という意味がないからだ。
ところが、国語審議会は、「年令」・「何才」でよいとの方針を示している。
すなわち、「「何歳」と「何才」,「年齢」と「年令」――年齢を数える場合に,「歳」のかわりに「才」を使い,また,「年齢」の「齢」のかわりに「令」を使うことはこれまでもかなり普通に行なわれている。「才」「令」は教育漢字,「歳」「齢」はそうでないことなども考え合わせると,今後はこのような場合,「才」「令」の使用がいっそう一般的傾向になるであろう。これを一概にとがむべきではないと考えられる。」
https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/05/bukai02/05.html
その結果、「年令」を用いた法律こそないが、37本もの政省令等が「年令」を用いている(ex.1)。
自治体の例規においても、693本の条例及び460本の規則が「年令」を用いている(ex.2)。
また、「◯才」を用いた法律(ex.3)や条例(ex.4)もある。
確かに、小学校では「令」を習うが、「齢」は中学校で習うので、小学生には「令」を用いて「年令」と書くことを認めるというのは、理解できなくもない。
しかし、だからといって、政省令や条例規則まで「年令」を用いるのは、起草者の知的レベルを疑わざるを得ない。起草者は、国民・住民が小学生レベルだと思っているのだろうか。
そもそも小学校で「歯」を習うし、「令」も習う。日常生活で「年齢」という漢語が溢れているのだから、小学校で「齢」を教えて、「年齢」と書かせるのが子供のためではないのか。難しければ、ルビを振ればよい。
また、「歳」が常用漢字表に載っていないのであれば、「才」で代用させるのも理解できなくもないが、「歳」は常用漢字なのだから、「才」で代用させるべき理由がない。
ましてや法律や条例で「◯才」を用いるのは、如何なものかと思う。起草者は、国民・住民を小学生レベルだと思っているのだろうか。
政省令や条例規則で「年令」が用いられているからといって、さすがに樹木の年齢を意味する「樹齢」を「樹令」と書くバカはいないだろうと思ったが、念のために調べたら、土じよう調査作業規程準則(昭和三十年総理府令第三号)の「別表第三 聴取調査の調査内容」の「調査項目」の中に「植付年代及び樹令」とあった。
「樹令」を用いている条例が5本もあった(ex.5)。
「樹令」では意味をなさないだろうに。。。もう世も末だ。。。
国語審議会が目論む『国語破壊計画』は、役人という優等生の協力を得て、順調に進んでいるようだ。。。
ex.1薬剤師法施行規則(昭和三十六年厚生省令第五号)
(調剤録の記入事項)
第十六条 法第二十八条第二項の規定により調剤録に記入しなければならない事項は、次のとおりとする。ただし、その調剤により当該処方せんが調剤済みとなつた場合は、第一号、第三号、第五号及び第六号に掲げる事項のみ記入することで足りる。
一 患者の氏名及び年令
二 薬名及び分量
(以下、省略:久保)
ex.2群馬県集団示威運動等に関する条例( 昭和三十六年六月十六日条例第三十九号)
(届出の手続等)
第三条 前条の規定による届出をしようとするときは、集団示威運動等の主催者は、集団示威運動等を開始しようとする日時の四十八時間前までに、次の各号に掲げる事項を記載した届書二通を、その集団示威運動等を実施しようとする場所を管轄する警察署長(集団示威運動等を実施しようとする場所が二以上の警察署の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長)を経由して、公安委員会に提出しなければならない。
一 集団示威運動等の名称及び目的
二 主催者の住所、氏名、年令及び連絡先(主催しようとする者が団体であるときは、その名称及び主たる事務所の所在地並びにその団体の代表者の住所、氏名、年令及び連絡先)
三 前号の主催者が実施場所の市町村の区域内に居住していないときは、実施場所の市町村の区域内に居住する連絡責任者の住所、氏名及び年令
(以下、省略:久保)
ex.3労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
(年少者の証明書)
第五十七条 使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
② 使用者は、前条第二項の規定によつて使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。
ex.4広島県の「児童の身元保証に関する条例( 昭和三十一年十月五日条例第四十二号)」
(定義)
第二条 この条例において「児童」とは、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第六条第一項に規定する配偶者のない女子の子で二十才未満のもの、同条第二項に規定する配偶者のない男子の子で二十才未満のもの及び同法附則第三条第一項に規定する父母のない児童をいう。
一部改正〔昭和五七年条例一一号・平成二六年三五号・三七号〕
ex.5広島県の「県営林の交換、無償利用等に関する条例( 昭和三十九年三月三十一日条例第三十二号)」
(副産物の採取)
第五条 次に掲げる県営林の産物は、木竹の育成及び土地の保全管理を妨げない範囲内において、無償又は時価よりも低い対価で採取させることができる。
一 下草、落葉及び落枝の類
二 樹実及びきのこ類
三 根株の類
四 手入れのために伐採する樹令二十年未満の木竹及び枝条の類
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