下記の記事に興味深い記述があったので、一部引用する。
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2023年に「ジャーナル・オブ・ヨーロピアン・ソーシャル・ポリシー」に掲載された最新の研究論文「納税意欲の説明:所得、教育、イデオロギーの役割」(モントリオール大学)は、このテーマに関する興味深い事実を明らかにしている。この研究は、2016年のカナダの国際調査と2018年のOECD調査から得られたデータを使用し、政治思想が納税意欲にどのような影響を与えるかを分析した。
調査結果によれば、左派の65%が「所得の2%増税に応じる」と答えたのに対し、右派では30%にとどまった。左派は税金を社会福祉や公共サービスを支える手段と考え、特に高所得者ほど納税意欲が高い傾向がある。例えば、左派の高所得者の70%以上が追加の税負担を受け入れる姿勢を示した。
一方、右派は自己責任を重視し、税負担を避けたいと考える傾向が強い。右派の高所得者では納税意欲が30%以下に減少することが確認された。
教育の影響を考慮しても、左派と右派の違いは明らかである。左派は教育レベルが上がるほど納税意欲が増加する。一方、右派では教育が高くなると、むしろ納税意欲が減少する傾向が見られる。左派が税金を社会全体の利益として捉えるのに対し、右派は税金を個人の自由を奪う負担と見なすためである。
職業も納税意欲に影響を与えている。社会文化的専門職に属する左派の人々の多くは、納税を積極的に支持している。一方、生産・サービス労働者は右派傾向が強く、追加の税負担に反対する割合が50%を超える。この研究は、左派が税金を「投資」と考えるのに対し、右派が「負担」として捉えていることを示している。
OECD調査を基にしたこの研究は、世界の標準的な考え方を反映している。
日本では長年にわたり自民党が政権を握り続けた結果、右派も左派も権力志向の強い人物が自民党に集まるようになった。自民党は、国民からの疑いの目をそらすため、時に左派として振る舞い、時に右派として振る舞う政党である。
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この論文の原文を探して読んでみた。Olivier Jacques Explaining willingness to pay taxes: The role of income, education, ideology(Journal of European Social Policy Volume 33, Issue 3 April 13, 2023 Pages267-387)
そうすると、上記の記事は、まるで左派の納税意欲が高いかのような印象を与えているが、原文を読むと、そうではなかった。
左派は、社会文化専門家と生産・サービス労働者で構成されている。左派では、所得と教育は、納税意欲と正の相関関係にある。したがって、同じ左派であっても、社会文化専門家は、高学歴で高収入であるため、納税意欲が高いが、多くの左派は、学歴が低くて所得が低いため、納税意欲が低く、自らの税負担を増やすことを拒否している。
右派はもちろん、左派の多くも、つまり有権者の大部分が税金を払いたくないのだ。
左派有権者の大部分は、福祉分野への支出増大を望む一方で、自ら税金を払うことを望まないので、中道左派政権としては、増税するわけにはいかないし、かといって他の政策分野への支出を削減するわけにもいかず、ジレンマに陥っているわけだ。
しかし、私に言わせれば、問題なのは、いまなお左派が存在していることだ。これが世界各国を混乱に陥れている元凶なのだ。
1991年にソ連が崩壊した時点で、狂ったカルト宗教である左翼思想を徹底的に批判し、人々の洗脳を解くべきだった。
しかし、マスコミは、ベルリンの壁が壊されたことをセンセーショナルに伝えるだけで、洗脳を解く活動は、全く行われなかった。マスコミ自体が左翼の牙城だからだ。大学でも同じだ。
ソ連崩壊に直面しても、左派である社会文化専門家は、頬被りして我関せずとばかりに嵐が過ぎ去るのをじっと待ち、今では、ソ連のやり方がまずかっただけで、マルクス主義自体は正しいと言い張る連中がいる一方で、左翼の本性を隠して、社会のあらゆる分野に潜入し、環境保護問題や女性差別・LGBTQ・核兵器廃絶・移民難民などの人権問題に主戦場を移し、より巧妙かつ悪辣な工作活動を続けている。いまなお地上に千年王国を樹立する夢を忘れていないのだ。
そこで、社会の癌である左翼思想を摘除する必要があるのだが、多くの左派が低学歴であるため、摘除しようにも、真の自由主義(保守主義)の騎士であるハイエク等の著作を読もうとしないし、読んでも理解できないという深刻な問題がある。
そのため、学校やマスメディアが噛み砕いて説明せねばならないのだが、学校やマスメディアが左翼の牙城の一つなので、右派は、左派の洗脳を解くことができないというジレンマに陥っている。
中道左派も右派も、それぞれジレンマに陥って身動きが取れない状態にあることが社会の分断を硬直化させている。
希望があるとしたら、インターネットの普及により、左派の洗脳を解く努力がなされつつあることだ。
なお、我が国の現状を見ると、他の先進国と同様に、情けないことに、政権与党たる自民党の大部分が左派だ。方針、現状認識、方法論等の違いがあるだけで、野党と同じ穴の狢(むじな)だ。
「平等」が自由の抑圧であることすら理解できず、洗脳が解けない愚かな有権者大衆に向けて、選挙目当てのばら撒き行政を行うべく、与野党が次々と社会主義政策の実現を競い合っている。異常だ。
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