昨夜のニュースで、「この夏の主要な企業のボーナスは、1人あたりの平均で94万6000円余りと、去年より4万7000円余り増えて過去最高となったことが、厚生労働省のまとめでわかりました。」と報道されていた。
個人事業者の私には、ボーナスはない。講師謝礼金は、何十年も上がっていない、というよりも、そもそも上がったことがない。
物価が高騰しているし、アンケート結果が良くて、リピートしてくださるのだから、成果に応じて多少は値上げしてくださってもよろしいのでは?、と思わなくもないが、自治体財政が厳しく、真っ先に予算を削られるのが職員研修費だとうかがっているので、出講のご依頼があるだけでありがたいと感謝せねばならないと思って、出かかった言葉を飲み込んでいる。
こんなしがない講師ではあるが、いつも心がけているのは、公私混同をしないことだ。自治体職員研修は、私の個人的意見を発表する場ではないから、個人的な意見、特に政治的意見を一切言わずに、判例・通説・行政実例に従って講義をしている。また、研修担当の職員さんに個人的なお願い事も一切していない。
民間人の講師であっても、自治体職員研修が公務である以上、清廉潔白であることが求められるからだ。
ところが、ほとんどの外国では、官僚の公私混同が公然と行われ、賄賂が横行している。嘘だと思われるならば、国際ビジネスをしている人に訊ねるとよい。汚職が日常茶飯事で、如何に苦労しているかを嫌と言うほど語ってくれるはずだ。
以前にも述べたことだが、西欧では絶対君主制の時代に官僚制が誕生した。ただ、官僚が絶対君主の使用人である点では、中世と変わることがなかった。
マックス・ウェーバーは、これを絶対君主の家産(一家の財産)を管理する家産官僚制と呼んで、公私混同せず、法に従って国家国民に奉仕すべしという依法官僚制と区別している。
支那(シナ。Chinaの地理的呼称)やエジプトでは、紀元前から公私の区別がない家産官僚制が採られていた。家産官僚制の歴史があまりにも長すぎて、公私混同を改めることができない病に陥っている。
例えば、支那には、「清官三代」(せいかんさんだい)という言葉がある。支那の官僚を、賄賂を受け取る「濁官」(だくかん)と賄賂を受け取らない清廉(せいれん)な「清官」に分けた上で、清官も地方役人を務めれば、合法的な付届けだけで子や孫の代まで遊んで暮らせるほどの蓄財ができるという意味だ。
清朝中期の大臣であった和珅(わしん)は濁官だったそうで、皇帝から自殺を命じられたときに没収された財産は、8億両。これは清の国家予算の10倍以上、豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿を建設し、「朕(ちん)は国家なり」で有名なフランスの絶対君主ルイ14世(太陽王)の私有財産の40倍に相当した。
下記の記事によると、2015年、中国共産党機関紙『人民日報』(電子版)の「習氏の月給は1万元を超える程度で、米高官との格差が大きい」という記事を受け、香港メディアなどが確認したところ、習近平国家主席の月給は、「1万1385元(約23万円)」で、「これを単純計算すると年収にして280万円に満たない」そうだ。
2015年における我が国の国家公務員総合職(大卒)の初任給は、181,200円で、民間企業の大卒初任給の平均は、20 万8722 円だった。
習近平国家主席の月給が如何に低いかが分かる。
中国人向けに、習主席が中国のために薄給に甘んじながら如何に頑張っているかをアピールしたいのかも知れないが、おそらくこれを真に受ける中国人はおるまい。
というのは、中国の汚職が後を絶たないからだ。
隣国なので、イメージしやすい中国を例に挙げたが、毎日報道されているウクライナも同じだ。ロシア侵攻以前からウクライナは、汚職国家として有名だから、ウクライナ支援をするにしても、きちんと監視しなければ、本当に必要とする人々に支援が届かないことになる。
ウクライナ、もう一つの戦争では前進 「汚職との闘い」 - BBCニュース
ウクライナは1991年の独立当初から、国内にはびこる汚職と闘ってきた。政府関係者も独立運動家も、この闘いが、国の存亡を賭けたロシアとの戦争に勝利する鍵だとしている。今のところ、汚職との闘いはいくらかの成功を収めている。
BBCニュース
大雑把ではあるが、このように見てくると、我が国の政治家たちは「価値観を共有する国々」という表現をよく口にするが、「価値観を共有する国々」なんてほとんどないのだ。残念なことに、近隣諸国には存在しない。
しかし、だからこそ、世の中、綺麗事だけでは済まないのも事実だ。日本人の暮らしを守り、企業の利益を上げるためには、「価値観を共有できない国々」と貿易等をせねばならないからだ。
国際ビジネスマンには、清濁併せ吞む度量が求められ、贈賄罪のリスクを背負わされているのだ。
その意味で、常に清廉潔白であれば足りる我が国の公務員は、幸せだと言える。
子どもに将来なってほしい職業ランキングで、堂々1位に輝いたのが公務員であるのも頷ける。子供に苦労させたくないのだ。
「隣の芝生は青い」だろうが、今一度公務員の良さを再認識していただけたらと思う。
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