下記の「要綱での第三者委設置は「違法」 福岡・大刀洗の百条委調査巡り識者」という記事を読んでも、なぜ百条委員会を対象に第三者委員会を設置するのかという点が、部外者の私には理解し難いので、ちょっと調べてみた。
まず、福岡県大刀洗町(たちあらいまち)の物産販売事業「大刀洗マルシェかてて」(旧さくら市場)は、「平成22年度から高齢者のいきがいづくりや町民の創業支援を目的に、町のPRと農産物や手芸品等の販売に取り組む任意団体として発足させたもので、販売スタッフの人件費等を町の予算から支出し、事務局機能を役場職員が支援する一方、販売代金については一般会計での処理になじまないことから、「かてて」(旧さくら市場)として収支の出し入れを管理してきたものです。
その際、出品者と協議の上、販売金額の一定割合(当初は1割)を出店に伴う駐車場代や出店料、販売に伴う消耗品等の諸経費に当て、残額は次年度当初に必要な経費を除き、雑入として一般会計に入れる取り扱いとしてきたところです。」
これに対して、大刀洗町議会は、「令和6年12月定例会最終日の12月18日、公金の支出に関する事務、職員の懲戒に関する規程及び運用について調査するため、「公金の支出及び職員の懲戒規程等に関する調査特別委員会」を設置し、地方自治法第100条第1項及び第98条第1項に基づく調査等の権限を委任しました。」
令和7年8月5日の中山哲志(なかやま てつし)町長記者会見発表内容
「100 条委員会の調査権は常任委員会の所管事務調査とは異なり、罰則による強制力を付 与された国会の国政調査権に相当する非常に強力な議会の権限であり、100 条調査の調査 事項の議決に当たっては、一般的包括的に町政全般にわたって調査をすることはできず、具体的な事件を掲げ、議決する必要があると解されています。この点、「公金の支出に関す る事務について」「職員の懲戒に関する規程及び運用について」「その他、上記に関する一 切の事項」との包括的な調査事項には疑問を感じざるを得ません。」
「また、100 条調査では、「選挙人その他関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求す ることができる」場合を、「特に必要があると認めるとき」に限るとされ、「調査において 選挙人等の出頭等を求めることができるのは、公益上の必要性と選挙人等の負担等を総合 的に勘案し、公益が上回る場合」とされているところ、「公金の支出に関する事務について」 との包括的な調査事項に関連して、委員会閉会中も、突然、多岐にわたる記録の提出やヒ アリングを求め、関係職員を精神的に追い詰め、疲弊させ、通常業務に支障を生じさせる とともに、管理職員だけでなく、一般職員や退職した販売スタッフまで証人として出頭さ せ、100 条委員会の事実認識に沿った形での証言を促してきた、これまでの 100 条委員会 の進め方は、委員会が主張する「公益上の必要性」と職員の負担が比較衡量されたとは思 われず、委員会運営の適正性や中立性に疑問を感じます。」
「また、100 条委員会の委員ではない議長が 100 条委員会で証人へ尋問を行うことや、議 長による尋問を制止しない委員会運営はその正当性に疑義を生じさせるとともに、公平中 立に議会運営を行うべき議長が 100 条委員会で証人へ尋問を行い、委員会での議論を主導 するような発言を繰り返し、ましては告発に反対する議員を大声で恫喝するなどはあって はならない行為です。」
「さらに、一連の議会とのやりとりの中で精神的に追い詰められ病休中の職員に対し再三、 証人出頭を求め、記憶違いの一証言を取り上げ、十分な確認をしないまま、虚偽証言と認定し刑事告発すべきと決定したことは、適正手続きを欠き、人権侵害にもつながり得ます。」
「また、議員の意に沿わない職員を標的としたかのような今回の 100 条委員会のあり方は 100 条調査に名を借りた職員へのハラスメント(人権侵害)だと感じます。」
「二元代表制の下、議会のあり方がどうあるべきかは、議会にしか決められません。 しかしながら、「公金の支出に関する事務について」との包括的な調査事項に関連して、 議員が疑義を抱き公益上必要と考えれば、いつでも職員を証人喚問し、記憶違いの証言で あっても虚偽証言として刑事告発するといった今回のような 100 条委員会の進め方が是認 されるのであれば、今後、職員が保身のため、議会に対し何も物が言えず、あえて新しい 取組みには挑戦せず、決まったことだけを執行する役場になっていくことを強く懸念しま す。」
「このように 100 条委員会と役場側の間で事実認識に違いがあるため、今後、速やかに第 三者調査委員会を設置し、これまでの「かてて」(旧さくら市場)の経理処理の妥当性や、 100 条委員会による職員へのハラスメント(人権侵害)の有無を含め、検証いただきたい と考えています。」
う〜ん、町長と町議会の対立点は、なんとなく理解できたが、どうしてここまでこじれてしまったのかは不明だ。ドロドロしたものがあるのだろうか。。。
中山町長が副町長時代に始まった「大刀洗マルシェかてて」(旧さくら市場)は、任意団体とあるだけで、株式会社なのかなど、不明な点がある。総計予算主義の観点から、会計処理も疑問符が付く。百条委員会の最終報告書で解明されることを期待したい。
なお、中山町長は、筑波大学卒、九州大学大学院修了で、平成3年に福岡県庁入庁後、秘書室長補佐などを務め、平成20年から平成24年に大刀洗町副町長を務め、平成24年に福岡県庁へ復職し、平成29年に福岡県庁を退職して大刀洗町副町長を務めた。新人3人が立候補し、12年ぶりに行われた令和2年の大刀洗町町長選に当選し、令和6年の任期満了に伴う町長選に立候補し、8年ぶり無投票で再選を果たした。
0コメント