大阪・関西万博の運営収支が、230億~280億円の黒字になるらしい。これを受けて、大阪府の吉村洋文知事は、「多くのみなさんに万博を支持し、参加いただいた大きな結果だ」と述べたそうだ。
当初、赤字になったら誰がどれだけ負担するのかと批判されていたから、吉村知事としては、「黒字になったぞ!ざまーみやがれ!」と言いたいところだろう。
ただ、運営収支が黒字になるだけであって、会場建設費は、当初の約2倍に跳ね上がって2350億円になっているわけで、喜んでばかりでいいのかという疑問が生ずる。
地方自治法の研修でいつも言うことなのだが、高度経済成長期に数多くの公共施設が建設されたが、当時は、建設費等のイニシャルコスト(初期費用)にばかり注目して、建設費の3〜5倍かかると言われる施設維持にかかる経費(ランニングコスト)、事業実施にかかる経費、建設費の10%〜20%かかると言われる解体費は、等閑視された。
これが公共施設の赤字の主な原因だ。建設から取壊しまでにかかる費用をライフサイクルコストと言い、イニシャルコストとランニングコスト等から構成される。費用対効果を考える上で、ライフサイクルコストを把握することが重要なのだ。
そうすると、大阪・関西万博の建設費は、2350億円で、解体費は、建設費の10%〜20%だから、2350億円×0.10〜0.20=約235〜470億円の解体費がかかることになり、運営収支の黒字230億~280億円は、吹っ飛び、場合によっては赤字になる可能性がある。
しかし、下記の記事によると、「今回の大阪・関西万博は、会場の解体を含めた建設費を最大2350億円とし、国、大阪府・市、経済界がそれぞれ3分の1ずつ負担した。」とあり、建設費の中に解体費も含んでいるようだ。
この報道が正しければ、ひとまず安心だ。
しかし、会場整備費の8割以上が執行済みで、解体費もこの枠内でまかなう必要があるため、人手不足や物価の高騰を受けて、解体費が当初の想定を超える可能性が残されている。
建設工事の未払い問題がいまだに解決していないので、解体業者が二の足を踏む可能性もある。
検索をかけても、そもそも解体費の総額見積もりすらヒットしないなんて、杜撰だ。解体工事が完了した後、いろいろ数字を弄って帳尻合わせをするつもりなのだろうか。
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