2019.09.23 01:00裁判制度2老先生 さて、古代ローマ時代にガリアと呼ばれた地域(現在のフランス)に先住していたケルト人は、ガリア人と呼ばれ、勇猛果敢で知られていた。実際、ユリウス・カエサル(英名:ジュリアス・シーザー)も、その著『ガリア戦記』で苦戦を強いられたことを正直に述べた上で、自ら陣頭指揮したローマ軍の勝利を誇っておる(カエサル著・國原吉之助訳『カリア戦記』(講談社学術文庫))。 タキトゥスによれば、ゲルマン民族の中で、ライン河を渡ってこのガリア人に初めて勝利した部族の名がゲルマニアであったことから、全部族が自分たちのことをゲルマニア人と呼ぶようになり、ローマ人もゲルマニア人が住む地域(現在のドイツ)をゲルマニアと呼ぶようになったそうじゃ。 このゲルマン人は、目が青く、金髪...
2019.09.19 13:00裁判制度1生徒 せんせい、今、憲法で司法権のところを勉強しているんですけど、裁判所ってどうもピンと来ないんです。。。老先生 ほとんどの日本人は、訴えることも訴えられることもなく一生を終えるから、ピンと来なくて当然じゃよ。裁判沙汰に巻き込まれないことは幸せなことだと言えるの。生徒 確かに、そうですね♪ 今の裁判所って西洋由来ですよね?老先生 そうじゃよ。生徒 西洋では昔から今のような裁判所があったんですか?老先生 えッ?! 藪から棒に、ややこしいことを訊きよるわい。苦笑う〜ん。。。「西洋」にいつのどの地域まで含めるかにもよるが、少なくともゲルマン社会には、元々は裁判所がなかったんじゃ。しかし、その後、裁判所ができて、これが近代国家の形成に大きな役割を果たすことにな...
2019.09.16 10:21住民訴訟に勝訴した市が名誉毀損を理由に市民を訴える? 住民訴訟に勝訴した市が原告住民に対して名誉毀損を理由に損害賠償を求める訴えを提起するというのは、大変珍しいことである。しかも、その訴え提起の議案書に見つかった不備もまた興味深い。 そこで、後学のために、事件の経緯を簡単に書いておこう。 平成26年(2014年)、宮古島市が行った不法投棄ごみ撤去事業について、市職員と業者が処理量を虚偽報告し、同職員が計量データを改ざんするなどの問題が発覚し、市民6名が住民監査請求したところ、却下されたため、市長らを相手取って住民訴訟を提起したが、最高裁は違法性を認めず、原告住民側が敗訴した。 市民らが訴訟報告会を行い、代理人弁護士らが裁判の経過や今後も行政監視を続けることなどを確認したところ、この報告会での発言が市の名...
2019.09.13 14:50公務員の服装元生徒 せんせい、ごきげんよう♪老先生 自治法子ちゃんか!こんにちは。おめかししてどうしたんじゃね?元生徒 学生時代の友人たちと女子会ですの♪ その前に先生とおしゃべりしようと思って、早めに参りましたのよ♪笑老先生 その格好で役所仕事をしておったのかの?元生徒 いいえ、とんでもございません。お仕事が終わってからロッカールームで着替えましたわ♪老先生 ふむ。それならば問題ない。 通勤途中は、勤務時間(雇い主の指揮監督下にいなければならない時間)ではないので、例えば、自宅から出張先へ直行する場合など、その労働の性質上やむを得ないような場合を除き、通勤途中の服装は自由じゃからの。ただ、いくら自由とは言っても、信用失墜行為の禁止(地方公務員法第33条)は、私生...
2019.09.10 14:27動植物裁判生徒 せんせい!こんにちは!老先生 こんにちは。生徒 先生がご紹介して下さった穂積陳重先生の『法窓夜話』を読んでみました♪ 国内外の逸話が満載で本当に面白いですね! ただ、漢文が出てくるところは読み飛ばしてますが。。。苦笑老先生 面白いじゃろう。確かに、漢文は高校の選択科目じゃから、今の子には漢文が難しいのかも知れんの〜 西洋では、歴史を経るにつれて、英語、フランス語、ドイツ語などに分かれ、相互の意思疎通がしにくくなったが、知識人階級(王侯貴族、僧侶、学者、イギリスで言うジェントルマン以上の階級)相互間ではラテン語が共通言語だったのじゃ。東アジアでラテン語に相当するものが漢文じゃ。 西洋では、ラテン語は知識人階級に限...
2019.09.08 06:33木に竹を接ぐ~成文法主義(制定法主義)〜生徒 せんせい!こんにちは♪老先生 こんにちは。生徒 ちょっと質問があるのですが、よろしいでしょうか?老先生 なんじゃね?生徒 以前、我が国の法制度の多くは、キリスト教文化、ゲルマン文化、古代ギリシャ・ローマ文化を背景としているという趣旨のことをおっしゃっていましたが、なぜこのような異質な外国文化を背景とした法制度ではなく、我が国の伝統文化を背景とした法制度を設けなかったのでしょうか?なぜ我が国は、伝統・慣習を重んじるイギリスのような不文法主義(非制定法主義)を採らなかったのですか?老先生 いきなり難しいことを訊きよるわい!苦笑 う〜ん、ひとことで言うと、法を定める方法としては、①イギリスのように条文の形で法を定めない不文法主義(非制定法主義)、②ドイ...