リンク先が一部見られないので、後学のため、スクショを貼らせていただく。
https://mainichi.jp/articles/20190809/k00/00m/040/339000c
flexは、曲げる、畳むという意味から転じて、柔軟に、臨機応変にという意味が生まれたそうである。flextimeは、融通が利く時間ということで、従業員が始業と終業の時間を自由に選べる制度を指す。
フレックスタイム制を導入するには、それを就業規則に定め、労使協定を締結する必要がある(労働基準法第32条の3、労働基準法施行規則第12条の3)。労使協定で定めるべき点は6つある。
①フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲
②フレックスタイム制の対象となる清算期間
③清算期間における総労働時間
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)を定めた場合の開始時刻と終了時刻
⑥フレキシブルタイム(定められた時間帯で出勤・退勤時間を決めることができる)に制限を設ける場合の開始時刻と終了時刻
地方公共団体の非現業職員の場合には、勤務条件条例主義から、条例で定めなければならない(地方公務員法第24条第5項)。
寝屋川市は、令和元年9月2日開会した9月定例市議会で寝屋川市職員の勤務時間等に関する条例の一部改正案(議案第57号)を提出し、現在審議中である。
上記記事にもあるように、サービスが低下せぬように窓口業務の繁忙時間帯にコアタイムを設けたり、関連団体や関連部署との会議などを設定しやすくするためにコアタイムを設けたりするところが多いが、寝屋川市は、コアタイムを設けない完全フレックスタイム制を導入するというのであるから、驚きである。
完全フレックスタイム制が導入された場合には、時間の割振り如何によっては、1日1時間だけ働いたり、週休3日も可能になる。
記事によると、職員が1か月前に勤務計画を申告し、管理職が調整を行うそうであるが、管理職や人事課の負担が増加して働き方改革に逆行しないかという懸念がある。
また、自己管理がきちんとできない職員がいた場合には、労働時間の意識が低下し、時間に関してルーズになりかねないおそれもある。
このように完全フレックスタイム制には色々課題もあるけれども、働き改革が遅々として進まぬ自治体にあって、この寝屋川市の取組は、注目に値する。
寝屋川市は、平成29年(2017年)に、残業を抑制するために、勤務終了時間や承認を得た残業終了時間を過ぎると、業務用パソコンが強制的にシャットダウンするシステムを全国で初めて導入して、注目を浴びたりするなど、働き方改革に大変意欲的である。
また、職員採用試験についても、大阪府内で初めてyoutubeに動画をアップしたり、上記記事にあるように再チャレンジ制度を導入したりと、チャレンジ精神が旺盛である。
さらに、総務省の「人事評価の人材育成への活用に関する研究会」平成29年度報告書97ページ以下において、寝屋川市は先進事例として挙げられている。
総務省の「人事評価の人材育成への活用に関する研究会」平成29年度報告書
http://www.soumu.go.jp/main_content/000541625.pdf
今後も寝屋川市の動きに注視していこうと思う。
<追記>
伊藤忠商事の岡藤正広CEOは、次のように述べている。
「僕の経験から言うと、仕事ができない人間ほど、社内のルールに対して細かい文句を言ってくる。会議の最中に予算が達成できない理屈ばかりをえんえんしゃべる。そんなことを聞いているだけでムダだ。誰でも戦う条件は同じなんだから。だって、これこれこういうわけで、僕のシュートは外れましたなんて言うサッカー選手はいないだろう。結果が出ない理由を見つけてくることに情熱を傾けるくらいなら、売り上げを上げることを考えればいいのに、外部環境のせいにする。結果が出ない理由を社内ルールや外部環境のせいにしたって面白くない。スポーツも仕事もルールがあり、みんながそれを守っているから面白い。ルールのない世界では公平な競争なんてできない。
そして、もし、本当に社内ルールがおかしいと思うのであれば、まずは他人が文句を言えないくらいの結果を残すこと。結果を残して出世して、ルールを見直す立場になることだ。僕だって若い頃は社内の慣習やルールがおかしいと思った。
例えば、フレックスタイム。フレックスタイムを作ると、みんな出社が遅くなる。お客さんが朝の9時に電話をしてきても、電話に出る人間はいつも同じなんていうのはおかしい。 フレックスタイムにすると、楽な方に流れてしまう。これは僕が社長になってからすぐにルールを変えた。フレックスタイムではなく、朝型出勤にした。
話はズレたけれど、社内ルールは守ること。仕事の結果が出ないのを外部環境や他人のせいにしない」
cf.1労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
第三十二条の三 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 清算期間における総労働時間
四 その他厚生労働省令で定める事項
○2 清算期間が一箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間(最後に一箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。
○3 一週間の所定労働日数が五日の労働者について第一項の規定により労働させる場合における同項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)中「第三十二条第一項の労働時間」とあるのは「第三十二条第一項の労働時間(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を同条第二項の労働時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を七で除して得た数をもつてその時間を除して得た時間)」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。
○4 前条第二項の規定は、第一項各号に掲げる事項を定めた協定について準用する。ただし、清算期間が一箇月以内のものであるときは、この限りでない。
cf.2労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)
第十二条の三 法第三十二条の三第四号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 標準となる一日の労働時間
二 労働者が労働しなければならない時間帯を定める場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻
三 労働者がその選択により労働することができる時間帯に制限を設ける場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻
cf.3地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)
(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
第二十四条 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
2 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。
3 職員は、他の職員の職を兼ねる場合においても、これに対して給与を受けてはならない。
4 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。
5 職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。
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