2020.09.27 06:27国立国会図書館とキリスト教 憲法の教科書や講義では、政教分離の原則に違反するかどうかの設例として、地鎮祭、忠魂碑、玉串料及び靖国神社公式参拝など、実際に裁判になったケースが採り上げられることが多い。 しかし、法律自体が政教分離の原則に違反するかどうかという設例は、寡聞にして知らない。そこで、提供しようと思う。 すなわち、国立国会図書館法の前文は、「国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される。」と定められている。 実は、この「真理がわれらを自由にする」という言葉は、「法案の起草に参画した羽仁議員がドイツ留学中に見た大学の銘文を基に創出したもので、その銘文は、新約聖書の「真理はあな...
2020.09.26 01:18過料規定の表現 過料とは、金銭罰の一種で、金銭支払義務を課すものをいう。 同じ金銭罰であっても、罰金及び科料は、刑罰であって、前科が付くのに対して、過料は、刑罰ではないので、前科が付かない。 そのため、重大な義務違反の場合には、罰金又は科料を、軽微な義務違反の場合には、過料を、それぞれ科すというように、両者を使い分けている。 そして、同じ発音である「過料」と「科料」を区別するため、実務上、「過料」を「あやまち料」、「科料」を「とが料」という風にわざと呼び分けることがある。 地方自治法上、条例又は規則に違反した者に対し、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができるが(第14条第3項、第15条第2項)、首長が過料の処分をしようとする場合には、相手方に対し、告知及...
2020.09.20 23:08町内会の入会費が60万円 下記の記事によると、滋賀県草津市矢橋町の森脇町内会が、入会費を60万円とする内規を2006年から定めているそうだ。その理由は、集会所建設費の平等負担だそうで、「集会所建設費は約2千万円で、財源に近隣の下水処理施設整備で払われた県補償金(1戸当たり30万円)と町内各戸の2年間の積立金(同約30万円)」が充てられたそうだ。 「同志社大の真山達志教授(行政学)は「町内会や自治会は任意団体であり、会費の額は各会の自由だが、新住民に重い負担を強いるのは社会通念上無理がある」と指摘」しておられるが、兵庫県芦屋市六麓荘町は、入会費50万円で、町内会費が年1万2000円、積立金が年6000円かかるので、必ずしも「社会通念上無理がある」とは言い切れない。 問題は、新規...
2020.09.14 01:25英国に学べ このような記事を目にするたびに、今こそ英国を見習えと思ってしまう。 英国は、王権に制限を加え、議会制民主政を世界で初めて確立したが、順風満帆というわけではなかった。 18世紀末から19世紀初頭にかけて保守党と自由党が近代的な政党になりつつあったが、その選挙は前近代的であって、金権腐敗選挙が横行していた。 候補者がパブで有権者に飲み食いさせることは、日常茶飯事であった。「投票日だけは王様で、あとの日は奴隷」だと考える有権者が多く、金権腐敗を嫌悪するよりも、むしろ票を金に換えることが有権者の特権であるかの如く考えられていたからだ。 投票の秘密が保障されているため、有権者は対立する候補者たちから金をせびるし、買収側も買収の効果が分からず疑心暗鬼になるので、...
2020.09.06 00:00禁止規定における国と自治体の違い 自治体の例規集を見ていると、同じ法制執務なのに、国と自治体では微妙に異なることに気が付く。その典型例が禁止規定の書き方だ。些細なことだが、備忘録として書き留めておく。1 法律の禁止規定と「絶対に」・「一切」・「例外なく」 「〜をしてはならない」などのように、一定の不作為義務を課す規定を禁止規定という。例外を認める規定がない限り、その禁止は絶対的であって、例外は一切認められない。 そのため、国の法律では、「絶対に」・「一切」・「例外なく」+「〜をしてはならない」という表現は、用いられていない。 例外を許容する規定がない以上、その禁止は絶対的であって、例外は一切認められないので、わざわざ「絶対に」・「一切」・「例外なく」+「〜してはならない」という風に...