普通地方公共団体が工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行なう工事若しくは製造の既済部分又は物件の既納部分の確認を含む。)をするため必要な監督又は検査をしなければならない(地方自治法第234 条の 2 第1項、地方自治法施行令第167 条の 15)。
※ 監督と検査の関係
検査とは、工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約に基づいて行われる給付について、当該契約の内容(品質、規格、性能、数量等)が、契約内容に適合しているかどうかを確認する行為をいう。検査は、契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類(当該関係書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)に基づいて行わなければならない(地方自治法施行令第 167 条の 15 第 2 項)。
監督は、立会い、指示その他の方法によって行わなければならない(地方自治法施行令第 167 条の 15 第 1 項)。監督は、検査を補完するものである。例えば、建物建設工事完了後に検査を行い契約内容の履行を徹底的に確認しようとすれば、完成した建物を破壊したり分解したりしなければならないが、それでは不経済であるため、履行の過程において、履行の場所に立会い、工程の管理、工事又は製造の用に供する原材料の試験によって相手方に必要な指示をする監督が行われるわけだ。
このように監督は、検査だけでは履行の確認が困難な場合に行われるものであるから、監督員と検査員は、チェック・ アンド・バランスの見地から、同一人に行わせるべきではない。
そこで、国の場合には、検査の職務と監督の職務を兼ねることができないとされている(予算決算及び会計令第 101 条の 7)。地方公共団体の場合については、法令上の規制はないが、国と同様の運用がなされるべきだろう(私見)。
ex.枚方市契約規則第50条第4項 検査職員は、同一工事において、監督職員と兼ねることができない。
「MADE IN JAPANは、信頼の証し。」と言われたのは今や昔で、信頼は地に落ちている。耐震偽装、食品偽装、データ改竄(ざん)など、日本企業の不祥事は、枚挙に遑(いとま)がなく、最近では、自治体に対するコロナ過大請求や中古車販売業者の保険金詐欺などが明るみになっている。
そこで、日本人として情け無くてこんなことは言いたくないのだが、地方自治法研修では、「人の命に関わる場合もあるので、業者は、手抜きや過大請求をするものだと疑って、しっかりと監督・検査をして下さい。」と注意喚起を行なっている。
この点に関連して、和歌山県が発注し、昨年9月に工事が完了した「八郎山トンネル」で、手抜き工事が発覚した。トンネル全体の7割に空洞があり、コンクリートの厚さが30センチ必要なのに、最も薄い所はわずか3センチしかなかったそうだ。手抜き工事にもほどがある。
工事を請け負った業者もひどいが、和歌山県庁職員も怠慢だ。下記の記事によると、「県の規定では県発注工事では、業者から工程完了ごとに申請を受け、職員が現場で確認するが、内壁工事では68回のうち3回しか確認せず、施工不良を見落としたという」ことだ。
多忙だったからなのか、まさかこんな酷い手抜き工事をするはずがないと業者を信頼していたからなのかは分からぬが、業者は平気でこういうことをやるものだと思って、しっかりと監督・検査をしてもらいたいものだ。
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