政務活動費が再び脚光を浴びる

 下記の記事によると、長野市議会(定数36人)の議員17人が所属する最大会派「新友会」が例年年2回開催している市民との意見交換会の参加者(昨年6月の会合には49人出席)に対して、政務活動費(会派所属議員一人当たり月額8万5,000円)から一律3,000円の交通費を支給していたほか、一人当たり1,000円から1,500円のケーキセットを振る舞っていたことが領収書から判明したそうだ。


 長野市の例規では、政務活動費から会合での「交通費」や「茶菓料」を支給することが認められているが、上限が決められていない。


cf.長野市政務活動費の交付に関する条例(平成13年3月30日長野市条例第1号)

(政務活動費を充てることができる経費の範囲) 

第5条 政務活動費は、会派が行う研究研修、調査、広報・広聴等市政の課題及び市民の意思を把握し、市政に反映させる活動その他市民の福祉の増進を図るための活動に必要な経費に対して交付する。 

2 会派は、政務活動費を別表に定める経費の範囲で使用するものとし、市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならない。

別表(第5条関係) 抄

広報・広聴費 会派の調査研究活動、議会活動及び市の政策についての市民への報告及び広報活動に

       必要な経費又は市政、会派の政策等に市民の意見を反映するための会議等に必要な経

       費(印刷製本費、通信運搬費、会場費、旅費、茶菓料等)


 NHKの取材によると、長野市を除く県内18市のうち、「会合に参加した一般の市民に対して交通費が支払われている議会はありませんでした。 また、会合の際の茶菓料についても13の議会ではそもそも支払いが認められていませんでした。 支払いが認められている5つの議会のうち、松本市議会は「1人あたり300円を超えない」と基準を定めています。 また、上田市など4つの議会は「常識の範囲内」とか「社会通念上妥当な範囲内」などとしていますが、実際の金額は数百円以下にとどまっている」そうだ。


 会場は、長野市街地のホテル。「例えば、参加者が市街地を循環するバス「ぐるりん号」を利用すれば、運賃は大人「190円」。往復でも「380円」で、3,000円の交通費を受け取ると「2,620円」が浮く形になります。」

 それ故、実費を超える部分については、公職選挙法が禁止する寄付行為に当たる可能性がある。

 おそらく今後は、交通費については実費支給で、茶菓については、ペットボトルのお茶にするのではないか。出席者が減るかも知れないが。苦笑


 長野市議会のような使い方をしている自治体もある一方で、政務活動費を廃止している自治体もある。

 例えば、大阪府の泉南市議会は、平成28年第1回臨時会において、議員提出議案として「泉南市議会政務活動費の交付に関する条例及び泉南市議会政務活動費の交付に関する条例の臨時特例に関する条例を廃止する条例」が提案され、全会一致で可決している。

 また、兵庫県の小野市議会は、平成28年12月定例会で、議員提案議案として「小野市議会政務活動費の交付に関する条例を廃止する条例」を提案し、全会一致で可決している。

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