人類の発展に寄与した恩人は、医学や薬学などの科学分野には多くいるが、現代政治の分野ではたった3人しかいない。
全体主義から自由を守ったウィンストン・チャーチル英国首相、マーガレット・サッチャー英国首相、ロナルド・レーガン米国大統領だ。
いずれも真の自由主義(「自由主義」と訳されるliberalismリベラリズムは、自由主義を騙る「平等主義」であって、真の自由主義ではない。また、「自由至上主義」と訳されるlibertarianismリバタリアニズムは、anarchismアナーキズム「無政府主義」であって、真の自由主義ではない。いずれも自由を滅ぼすことになる。)=保守主義に立脚し、揺るぎない信念に基づいて全体主義の脅威から自由を守った偉大な政治家だ。
ところが、我が国の出版界にはバイアスがかかっているのか、残念なことにこの偉大な自由の騎士たちの演説集等がほとんど売られていない。
例えば、終戦から間もない1946年3月5日、チャーチルが全体主義国家ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)の危険性についていち早く世界に警鐘を鳴らした「鉄のカーテン演説」は、東西冷戦の幕開けを告げるものとして、歴史上極めて有名なのに、全文翻訳がない。
チャーチル著・佐藤亮一訳『第二次世界大戦回顧録 4』(河出文庫、451頁から453頁まで)に一部翻訳されているにすぎない。
この翻訳のさらに一部を引用しておく。
「バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステにかけて、大陸を遮断する鉄のカーテンが降ろされたのであります。この一線を境に中部および東部ヨーロッパの古い諸国の首都が隠されてしまいました。ワルシャワ、ベルリン、プラハ、ウィーン、ブダペスト、ベオグラード、ブカレスト、ソフィアという名高い首都とそれを中心にした住民がすべて、いわばソ連圏にはいり、いずれもなんらかの形でソ連の影響ばかりでなく、非常に強力な、しかも多くの場合ますます厳しさの加わるモスクワからの統制を受けているのであります。アテネだけが――不滅の栄誉をになうギリシアの首都とあって――英、米、仏の監視下の選挙で自由に将来を決定できることになっております。ソ連支配下のポーランド政府はドイツに対して大がかりな不法侵入を促され、現在数百万のドイツ人に対して無残な、予想もしなかったような集団追放が行なわれております。東ヨーロッパ諸国では、いずれもきわめて小規模であった共産党が、いまや優位に立ち、実力以上の権力を与えられて、いたるところで全体主義支配の確立をはかっております。ほとんどあらゆる場合に警察が幅をきかせ、これまでのところチェコスロバキア以外には、真の民主主義は見当たらないといった状況であります。」
かねがね全文を読んでみたいと思っていたところ、INTERNATIONAL CHURCHILL SOCIETY(ICS・国際チャーチル協会)のHPを見つけ、演説の全文を読むことができた。インターネット様様だ。
翻訳ではなく、原文で読めるのはありがたい。英語は苦手だけど、翻訳には解釈が付きものであり、時として訳者のイデオロギーによって翻訳が歪められることがあるからだ。
サッチャー首相については、以前リンクを貼ったことがあるが、Margaret Thatcher FOUNDATION(マーガレット・サッチャー財団)のデータベースに演説が収められている。
レーガン大統領については、調査中。断片的に演説全文が見つかるが、まとまったサイトを発見できずにいる。ご存知の方がいらっしゃったら、ご教示ください。
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