7月18日、静岡放送の「「個人」に限った権利なのに実態は「会社」!?条例で禁止されている地域でソープランドを営んだ疑いで男女4人が逮捕=静岡県警」という記事によると、
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静岡県の条例で禁止された静岡市葵区内でソープランドを営業していた疑いで、男女4人が警察に逮捕されました。
<中略>
店舗型性風俗特殊営業では、条例で禁止される以前に営業権を取得した店舗では、営業が許可されていて、会社役員の女は個人経営に限り、今回の場所で風俗店が営業できる権利を持っていましたが、2022年に開店したソープランドは、75歳の男が代表取締役を務める会社が経営していたということです。
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とあった(下線:久保)。
法令の制定改廃に際し、旧法令下の地位・利益を保護しつつ、新法令への円滑な移行を図るための調整的・過渡的な措置を経過措置といい、経過措置を定める規定を経過規定という。
通常、経過規定は、附則に置かれる。
そこで、記事の下線部分が気になって、店舗型性風俗特殊営業に関する経過規定を確認するため、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の附則を見たのだが、載っていなかった。
稀に本則に経過規定が置かれることがあるので(ex.健康保険法第206条、大気汚染防止法第7条、建築基準法第3条第2項)、念のために本則を確認したら、第28条第3項にあった!
なぜ附則ではなく、本則に経過規定が置かれているのかについては、手元に風営法の専門書がないので、断言はできないが、おそらく店舗型性風俗特殊営業は、相続の対象になることから、長期にわたって営まれることが予定されている一方で、風俗営業の多様化などの社会情勢の変化に伴って法律の改正がしばしば行われるので、法律の改正のたびに附則に経過規定を置いていると、改正作業が煩雑になるし、読み手にも分かりにくくなるからではないかと思われる。
cf.1風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)
第28条第3項 第一項の規定又は前項の規定に基づく条例の規定は、これらの規定の施行又は適用の際現に第二十七条第一項の届出書を提出して店舗型性風俗特殊営業を営んでいる者の当該店舗型性風俗特殊営業については、適用しない。
cf.2健康保険法(大正十一年法律第七十号)
(経過措置)
第二百六条 この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
cf.3大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)
(経過措置)
第七条 一の施設がばい煙発生施設となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)であつてばい煙を大気中に排出するものは、当該施設がばい煙発生施設となつた日から三十日以内に、環境省令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
cf.4建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)
第3条第2項 この法律又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地又は現に建築、修繕若しくは模様替の工事中の建築物若しくはその敷地がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該建築物、建築物の敷地又は建築物若しくはその敷地の部分に対しては、当該規定は、適用しない。
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