The die is cast <追記>

 共和制ローマではルビコン川を越えて軍を入れてはならない掟だった。

 しかし、ガリア総督を解任され、本国召還を命じられたGaius Iulius Caesarガイウス・ユリウス・カエサル(英名:Julius Caesarジュリアス・シーザー)は、Pompeiusポンペイウス及び元老院と戦うために、掟を破り、軍を率いてルビコン川を渡ってローマへ進軍した。


 ルビコン川を渡る際に、カエサルは、ālea iacta estアーレア・ヤクタ・エスト「賽(さい)は投げられた」と全軍に檄を飛ばした(スエトニウス著・国原吉之助訳『ローマ皇帝伝(上)』岩波文庫、41頁)。

 「事ここに至ってはもはや後戻りできぬ。運を天に任せ、前進あるのみ。いざ我に続け!」というような意味が込められている。


 この名言の英訳がThe die is castだ。

 dieダイは、「死ぬ」ではなく、「賽(さい)・サイコロ」(複数形がdice)だ。

 castキャストは、「投げる」を意味し、その語源は、古ノルド語のkasta「投げる」だそうだから、castは、基本的に「投げる」と訳せばよいのだが、目的語の種類によって、サイコロの場合は「振る」、くじの場合は「引く」、映画やドラマの役の場合は「割り当てる」などと訳し分けられている。


 このcastの派生語にoutcastがある。outは「外に」、castは「投げる」だから、社会から「追放された人、除け者」という意味になる。

 

 通常、「追放された人、除け者」を表す場合には、このoutcastが使われるのだが、下記の記事によると、米国の宇宙政策担当国防次官補ビピン・ナラン氏は、outcastではなく、pariahパライアという極めて強い否定的な言葉を用いている。


 pariahの語源は、太鼓奏者であって、インド南部においてカースト制度の外側に排除された最下層のuntouchableアンタッチャブル「不可触民」が担っていることから、忌み嫌われて「追放された人、除け者」を意味する。


 後述するように、韓国は、核兵器を独自に保有したいと米国に要望し、韓国世論もこれを後押ししているのだが、国防次官補ビピン・ナラン氏は、そんなことをしたらan international pariah「国際的な除け者」になるぞ、米国は韓国を守らないぞと強く警告し、釘を刺している。


***

The acting assistant secretary of defense gave a strong warning against South Korea having its own nuclear weapons.


“It would be in violation of the NPT (Nuclear Non-Proliferation Treaty),” Narang said, adding that South Korea would probably face international sanctions.


He also suggested that Seoul would be “an international pariah” and would become vulnerable to North Korea’s nuclear attacks during the time it is pursuing nuclear weapons.

***

国防次官補は、韓国が独自の核兵器を保有することに対して強い警告を発した。


「これはNPT(核兵器不拡散条約)違反となるだろう」とナラン氏は述べ、韓国は国際的な制裁を受けるだろうと付け加えた。


ナラン氏はまた、核兵器の開発を進めている間に、ソウルは「国際的な除け者」となり、北朝鮮の核攻撃に対して脆弱になるだろうと示唆した。

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 下記の記事によると、韓国では野党からだけではなく、与党からも核武装論が噴出するようになり、韓国人の66%が核兵器保有に賛成しているそうだ。

 核武装論の背景には、北朝鮮の脅威だけでなく、米国に対する不信感があると言われているが、北朝鮮寄りの野党がもともと強く主張していることから、米韓の離間が真の狙いだろう。

 核武装した北朝鮮が世界の超大国である米国相手に堂々と渡り合っているのが羨ましい、自分達も核兵器を保有すれば、米国や日本に対して優位に立てるはずだと勘違いしている人もいることだろう。


 しかし、韓国が独自の核兵器を保有することは、まさにルビコン川を渡るようなものであって、後戻りできない。韓国滅亡の道を歩むしかないのだ。


 すなわち、まず、韓国は、何かにつけて韓国独自の技術だと吹聴しているが、韓国独自の技術などなく、米国や日本などからの技術提供に頼っているのが実情であって、原子力もその例外ではなく、米国のAtomic Energy Act of 1954原子力法第123条に基づく二国間原子力協定により、韓国は、米国から提供された核物質、機材、技術等を軍事目的に使用することなどが禁止されている。これに違反すれば、韓国は、米国に核物質や機材等を全て返却しなければならない。

 したがって、韓国の原発は停止せざるを得ず、原発の輸出もできなくなる。米国に全面的に依存している韓国の原子力産業は、壊滅状態になる。

 この点、米国に依存していないインドやパキスタンとは立場が異なることが韓国には理解できないようだ。

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 つぎに、韓国が核武装すれば、核兵器不拡散条約(NPT)に違反し、脱退せざるを得ないことになる。1992年の韓国と北朝鮮による「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」にも違反する。

 その結果、国際社会からの厳しい制裁を受けることになる。韓国経済は、今でさえ火の車状態なのに、厳しい制裁を受ければ、韓国経済は瓦解する。

 ちなみに韓国は、反日教育を徹底的に行い、いわゆる「従軍慰安婦」などの謀略戦を何度も日本に仕掛け、知的所有権を何度も侵害してパクリまくり、条約を何度も破っているにも拘らず、困った時には「用日」と称して、日本の資金援助や技術提供を求め、我が国政府は、関わらなければよいのに、その度に莫大な支援をしてきたが、「仏の顔も三度まで」で、核武装した韓国には支援しないだろう。


 このようなリスクがあるのに、いくらなんでも韓国が核武装しようとするなんてあり得ないと思われるかもしれないが、実際、1970年代に朴政権が真剣に核開発を計画し、米国の猛烈な反対で撤回に追い込まれたという前科があるし、これに懲りずに、2004年に韓国は、極秘裏にウランの濃縮実験を行ったという前科もある。

 韓国は、喉元過ぎれば熱さを忘れるで、2004年の事件につき国際的に制裁を受けて痛い目に遭ったことを忘れているのだろう。

 なお、国際原子力機関(IAEA)が韓国を査察したところ、日本が開発した濃縮技術が特許制度の不備により韓国に流出し、軍事転用されていたことも明らかになり、平和ボケ日本に衝撃が走ったことは記憶に新しい。


 韓国が独自の核兵器を保有しようとウランの濃縮実験等をしたら、ナラン氏が述べているように、今度こそ米国は、韓国から米軍を撤退させ、核の傘による保護をやめるだろう。

 韓国が何かにつけて被害者ぶって米国にしつこく「あれをくれ!これをくれ!」と要求するので、Korea fatigueコリア・ファティーグ「韓国疲れ」という言葉がホワイトハウス周辺で語られるようになって久しいが、ミサイルの時代になって韓国の戦略的地位(中国・北朝鮮と日本の緩衝地帯)が相対的に低下したこと、何度も条約を破って米国と中国・ロシアとの間を股座膏薬(またぐらこうやく)のように世渡りすることが外交だと勘違いしてすっかり信用を失ったことにより、米国が韓国を切り捨てる可能性が相対的に高くなったことを韓国は理解していないようだ。


 米軍が撤退すれば、軍事的空白が生まれ、朝鮮半島は戦場になるだけでなく、核戦争の可能性が高まるだろう。


 以上から、ナラン氏のpariahには、「何度説明したら分かるんだ!いい加減にしろ!」という米国の強い苛立ちと侮蔑が読み取れるのだ。

 韓国がoutcastとpariahのニュアンスの違いを理解できているかは、疑問だが。


 韓国は、核武装論を米国から利益を引き出すための外交カードとして使っている節もあるが、文在寅政権に手を焼いたトランプ氏が大統領に返り咲けば、核武装を主張する韓国に対する怒りが頂点に達し、手始めに在韓米軍の駐留経費負担の大幅な増額を要求するとともに、韓国の頭越しに北朝鮮と直接交渉するのではないか。


 韓国が「賽は投げられた」とルビコン川を渡るかどうか注視する必要がある。

 反米極左政権が誕生すれば、ルビコン川を渡ろうとして誤って溺れる可能性はある。


<追記>

 「ドナルド・トランプ前米国大統領が在任時に韓国に対して「なぜ我々を嫌う人たちを守らなければならないのか」と語っていた」そうだ。

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