月額なのに条例を改正せずに日額徴収

 今日は、原稿の締切日。なんとか間に合った。そこで、ニュースチェックをしたら、面白い(?)記事があった。


 千葉県が、条例上は港湾施設の使用料が月額なのに、条例を改正せずに20年前から日割り計算で使用料を徴収していたそうだ。


 下記の記事には、「実態としては週末だけなどといった短期間の利用が多く、県は使用期間が1か月未満の場合、日割り計算をした日額で徴収する方針を決め、2003年、土木部長発の運用通知を出して、条例改正に先んじて日額で徴収してきました。」とある。


 この土木部長が利用実態を踏まえて日額にすべきだという行政課題を発見したのはよいのだが、条例を改正せずに日額徴収することが地方自治法第14条第2項並びに千葉県港湾管理条例第9条及び使用料及び手数料条例第3条第2項違反の違法な事務処理であるという認識がなかったのだろう。

 仮に認識がなかったとしても、土木部長発の運用通知を決裁する過程において、誰も違法性を指摘しなかったのだとしたら、かなりお粗末だと言わざるを得ない。


 しかも、「その後、適切な引継ぎが行われず、現在に至るまで必要な条例改正が行われなかった」とあるので、きちんと引き継ぎをしなかったことについても、この土木部長が悪い。


 「港湾施設の利用者に対し、差額分の請求はしない」そうだから、港湾施設利用者に実害はないので、歴代担当者は、違法性や条例改正の必要性を認識していたとしても、多忙さ又は「寝た子を起こすな」で改正作業を後回しにしてしまった可能性がある。

cf.1地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)

第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。 

② 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。 

③ 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。


cf.2千葉県港湾管理条例(昭和51年12月25日条例第45号)

(使用料の納入)

 第九条 使用者は、使用料及び手数料条例(昭和三十一年千葉県条例第六号)に定めるところにより、使用料を納入しなければならない


cf.3千葉県の「使用料及び手数料条例(昭和31年3月31日条例第6号)

(使用料等の徴収)

 第二条 県が所有し、又は管理する行政財産及び公の施設(以下「財産等」という。)の使用並びに特定の個人のためにする事務(以下「事務」という。)に関し、法令及び他の条例に規定するもののほか、当該財産等を使用しようとする者から使用料を、当該事務を依頼しようとする者から手数料を徴収するものとする。

(種類及び額) 

第三条 前条の規定により使用料等を徴収する財産等及び事務の種類並びにその使用料等の額は、別表第一に掲げるとおりとする。 

2 法令及び他の条例に基づき、使用料等の額について条例で定めるべきものは、別表第二に掲げるとおりとする。 

3 前二項の規定により別表第一及び第二に規定する使用料等の額のうち、その額の範囲だけを規定するものについては、知事が当該使用料等の額を定める。

別表第二(第三条第二項) 抄

千葉県港湾管理条例(昭和五十一年千葉県条例第四十五号)に基づくもの 港湾施設用地占用料 工作物を設置しない場合 一平方メートル一月につき 百六十円

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 記事で問題となっているのは、おそらくこれだろう。


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