防災トイレトラックの随契

 和歌山県みなべ町では、予定価格700万円以上の動産の買入れについては、町議会の議決が必要だ(議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例第3条)。


 下記の記事によると、一般社団法人「助けあいジャパンは国内の22自治体と、トイレトラックを被災地に派遣するネットワークをつくっており、代替性がなく、その特殊性から、随意契約の要件「性質や目的が競争入札に適さない場合」に該当する」として、「随意契約で2649万5700円で購入するという物品売買契約の締結案」を町議会に提出したところ、「起立採決では賛成6人、反対6人で同数となり、議長裁決で可決した」そうだ。

 これに対し、例えば、兵庫県南あわじ市は、令和2年11月に自走式水洗トイレカーを約1,580万円で購入し、トイレカーの相互派遣を図るため、令和5年3月に愛媛県宇和島市、長崎県島原市とトイレカー協定を締結している。

 みなべ町と南あわじ市のどちらのやり方がよいのだろうか。専門技術的な判断も必要になるので、素人の私には荷が重い。床屋談義になってしまうが、最小の経費で最大の効果を上げなければならない以上、南あわじ市のやり方にひと工夫すればよいのではないかと思う。


 南あわじ市のように、競争入札で安く購入した後で、トイレカー協定を他の自治体と締結してネットワークを作るという方法が現実にあるとはいえ、自力でネットワークを作るのは大変だから、すでに存在する22自治体のネットワークの一員になる方が効率的であり、災害時に多くの自治体がトイレカーを派遣してくれる可能性が高まるので、みなべ町が「性質や目的が競争入札に適さない場合」だと判断したことにも一理ある。


 ただ、トイレカーを製造販売している会社が複数あるので、ネットワーク作りは、メーカーにとってもセールスポイントになるし、また、防災用トイレトラック、トイレカーを備えている自治体自体が少ないので、今後需要が高まることが予想され、後発のネットワークもシェア拡大が期待できるから、記事にもあるように「ネットワークづくりを入札要件に盛り込めば、入札にできたのでは」というご意見に賛成だ。

 

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