先日、某県内の全市町の合同職員研修に出講した。駅からタクシーで会場へ向かったのだが、タクシーに乗り込んで行き先を告げたら、運転手さんに「講師の先生ですね?」と言われた。「え!?はい。よく分かりましたね?」とお訊ねしたら、「雰囲気で分かりました。」と言われた。
そこで、会場のトイレの姿見で見たら、アメリカ製のメガネをかけ、イタリア製の中折れ帽を被り、イギリス製のガンクラブチェックのジャケットとウェストコートを着て、イギリス製の白のトラウザーズとカントリーシューズを履き、イギリス製のペッカリーグローブを付け、国産レトロの革鞄を持っているジジイが映っていた。
「クリーニングが終わった物から順番に色を合わせて着ているだけなのだが、確かに、堅気のサラリーマンには見えんわ…」と苦笑した。
ビジネスマナーとしては、紺のスーツがベストなのだが、ただでさえ堅苦しい法律の講義なのに、私がスーツを着ると、ますます堅苦しくなるので、マナーには抵触するけど、講義は、ある種のエンターテイメントなので、舞台衣装のつもりで、敢えてカジュアルな服装をして柔らかい雰囲気を出そうとしていることが裏目に出たようだ。タクシーの運転手さんに簡単に正体がバレるとは…
ひょっとしたら他の講師たちも、同じように考えて、カジュアルな格好をしているのかも知れない。こうなると、職業病だな…
こんな講師には、通常、講師控室が用意されている。ただ、会場が役所の庁舎の場合には、専用の講師控室がなく、市長控室、議員控室又は議会図書室が代わりに当てがわれることがある。
普段入ることができない場所なので、物珍しいのはよいのだが、いつなんどき市長さんや議員さんが入ってこられて、「貴様、ここで何をしている!」と叱られやしないかと気が気ではなく、落ち着いて食事もできない。「本当に市長さんや議員さんが入ってこられませんか?」と研修担当者にお訊ねするぐらいだ。
昔は良かった。研修担当の女性職員さんが「先生、お一人でお食事はお寂しいでしょ?」と言って、ご自身のお弁当を持ってこられて、一緒に昼食を食べたり、人事課の皆さんが予約したお店で一緒に昼食を食べたりしていたからだ。
公務員倫理がやかましくなって、今ではひやひやする講師控室で一人で食事するようになってしまったので、会場周辺に飲食店がある場合には、そちらで外食するようにしている。気が楽だからだ。
それなのに、下記の記事によると、中国人が部外者立入禁止の場所に勝手に入り込んで動画を撮影し、配信していたそうだ。建造物侵入罪(刑法第130条)だろう!
部外者が簡単に侵入できるなんて、セキュリティーがなっていない。中国人に限らず、盗聴器や隠しカメラを簡単に設置できてしまう。刃傷沙汰もあり得る。平和ボケもここまでいけば、天下一だな…
cf.刑法(明治四十年法律第四十五号)
(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
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