安全は、リスクが低いだけで、リスクがないことではない。

 安全だと言われていたものが、のちに危険だとして禁止されることは、よくある話で、高度経済成長期に食品添加物が多用されるようになり、のちに禁止されるものが多々あった。

 訳の分からぬ物を食わされた私の世代やその前後は、きっと早死にするから、高齢化問題は、早晩解決するだろうと思っている。


 さて、下記の記事によると、「米食品医薬品局(FDA)は15日、着色料「赤色3号」の食品への使用を禁止すると発表した。お菓子などに使われてきたが、動物への発がん性や子供の行動障害との関連性が指摘され、使用禁止を求める声が高まっていた。日本では食品への使用が許可されている。 

 米国の食品メーカーは2027年1月の期限までに同着色料の使用中止や切り替えなどの対応を迫られることになる。」

 調べてみたら、2020 年 3 月 日本貿易振興機構(ジェトロ) 農林水産・食品部 農林水産・食品課 シカゴ事務所『2019 年度 米国の食品安全・輸入関連制度の解説 (第三版)』31頁に次のようにあった(太字・下線:久保)。

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 1958 年に改正された FD&C 法第 409 条(c)(3)(A)(合衆国法典 21USC348)では、「ヒト または動物が摂取するとガンを発生させる食品添加物や、その他の適切な試験により発ガン 性があることが明らかとなった食品添加物は安全とは認められない。ただし、添加物の成分 が動物に害を与えず、その動物の肉や動物由来の食品中にその成分の残留が認められない場 合には、動物飼料に使用してよい」と規定されている。

 この条項は、提案者のジェームス・ デラニー元下院議員の氏名から「デラニー条項(Delaney Clause)」と呼ばれている。

 デラニー条項は、発ガン物質の食品への添加を防止しようとする規定であるが、仮に、こ の規定が厳密に運用された場合、ほぼ全ての食品添加物が使用不可能となるという事態が生 じる。例えば、ビタミン D や E には、過剰に摂取することでガンを引き起こす可能性が指 摘されている。また、最近の食品分析技術の進歩によって、食品添加物に含まれる極めて微 量の発ガン物質の検出が可能となっている。

 このような問題を内包するデラニー条項の現実的な運用として、FDA は 1982 年「構成要 素の方針(Constituents Policy)」を打ち出した。これは、食品添加物については、それが 含有する個々の成分ではなく、当該食品添加物の総体について発ガン性を評価するというも のであり、食品添加物の成分として微量の発ガン物質が含まれる場合でも、その使用方法に よる発ガン性が認められない場合には、食品添加物としての使用が許可される

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www.jetro.go.jp

 米国では、1958年のデラニー条項が可決される以前から赤色3号が使用され、デラニー条項が追加された後も、赤色3号の食品添加物としての使用が再承認された。

 そして、上記記事に石原純氏が「ラットに大量に投与した赤色3号が甲状腺ガンを発症するリスクを僅かに増加させたというのが元の研究です。大量摂取で小動物が成長に悪影響を及ぼしたこともあるそうです。 一方で全てのエサに2.5%の赤色3号を添加し、1年間ラットを飼ってもガンにはならなかったという研究もあるそうです。」と述べているように、1982年「構成要素の方針(Constituents Policy)」に従って、赤色3号の食品添加物としての使用を許可し続けてきた。


 他方、米国では、1960年に着色添加物修正条項が可決されたが、赤色3号を化粧品や局所用医薬品として使用することが再承認された。

 しかし、化粧品と薬品に関する検査からガンの発症リスクが発見されたため、1990年に化粧品や局所用医薬品として赤色3号を使用することが禁止された。


 つまり、赤色3号を化粧品や薬品として使用することは許されないのに、食品添加物として使用することが許されるというアンバランス状態が続いていたわけだ。


 しかも、カリフォルニア州では、人工着色料と子供の行動障害との関連性を示す研究結果が発表されたことを受けて、2023年に「2027年までに州内の食品で赤色3号を禁止する」という法律が制定された。

 赤色3号を食品添加物として使用することを承認する根拠となった研究には、子供の行動障害との関連性が考慮されておらず、時代遅れになったのだ。


 そこで、「トランプ次期大統領が厚生長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏は食品への着色料使用を問題視する姿勢」を示していることを背景に、米食品医薬品局(FDA)は、方針を転換し、赤色3号を食品添加物として使用することを禁止することにしたというわけだ。


 人工着色料は、発色を良くするだけで、味が良くなるわけでも保存に役立つわけではない。赤色3号を食品添加物として使用しても、ガンになるわけではないとはいえ、子供の行動障害との相関関係が発見された以上、我が国も禁止すべきだろう。


 赤色3号を製造している国産メーカーには、お気の毒だが、食紅には、赤色3号以外にも赤色2号、赤色40号、赤色102号、赤色104号、赤色105号があるし、我が国には、紅麹色素(紅麹から色素成分のみを取り出したもので、小林製薬の紅麹サプリとは異なる。)があるので、代替可能ではなかろうか。


 食紅といえば、関東以北で正月料理として人気のある「酢だこ」は、食紅で真っ赤に染められている。紅白の縁起物とはいえ、毒々しいほど赤くて、気味悪くて一度も食べたことがない。

 安物の福神漬けも、赤色3号を使っているし、かまぼこや焼き菓子にも使われている。なんにせよ、発色が良すぎる物は、避けた方がよさそうだ。



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