公共的団体等に対する指揮監督権

 「高知県須崎市は須崎町漁協の組合長がほかの漁協や市に対して不当行為を繰り返し、業務に支障を与えているとし、5日付けで漁協に対し組織是正を勧告する文書を提出しました。行政が地方自治法に基づき「総合調整」を行うのは、産業分野では全国的に異例だということです。」

 大変珍しいケースだ。

 私の記憶に残っているのは、市町村合併のときだ。

 市町村合併が行われた際に、それぞれの市町村にある森林組合、漁業協同組合、商工会 議所等の産業経済団体、社会福祉協議会、社会福祉団体、赤十字社等の厚生社会事 業団体、青年団、婦人会、スポーツ団体等の文化事業団体等の公共的活動を営むす べての団体を統廃合する必要があるため、地方自治法第157条第1項に基づいて綜合調整を図るために指揮監督が行われたことがある。


 地方自治法第157条第1項の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るための指揮監督権の沿革については、北見 宏介『地方自治法157条に関する歴史的検討』が参考になった。

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 2040年問題が顕在化しつつある現在、地方自治法第157条の有効活用が課題になるかも知れない。


cf.地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)

第百五十七条 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るため、これを指揮監督することができる

 ② 前項の場合において必要があるときは、普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等をして事務の報告をさせ、書類及び帳簿を提出させ及び実地について事務を視察することができる。

 ③ 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の監督上必要な処分をし又は当該公共的団体等の監督官庁の措置を申請することができる。 

④ 前項の監督官庁は、普通地方公共団体の長の処分を取り消すことができる。



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