一騎打ち

 古代ギリシア人は、紀元前6世紀頃に現れたパミール高原以北のイラン系遊牧民をSakaiサカイ族と呼び、ペルシア人は、これをSakaサカ族と呼んでいる。


 『ギリシア奇談集』によれば、サカイ族の習慣では、男がある娘を嫁にしたいと思った時は、その娘と一騎打ちをする。娘が勝つと、男を捕虜とし、自分が主人となって男を支配する。娘が負けた場合は男の支配に服する。この決闘では、勝敗が決するまで戦うが、死に至ることはない。


 この一騎打ちの方法は、不明だ。体力勝負では娘に不利だ。遊牧民だから、男女差が生じにくい弓矢の的当て勝負だったかも知れない。


 しかし、恋の駆け引きだと考えれば、現代にも通じる。恋の駆け引きに娘が勝つと、かかあ天下になり、娘が負けると、亭主関白になるからだ。


 ところが、細胞レベルでは、様相が一変する。


 哺乳類の受精とは、「オスの生殖細胞である精子とメスの生殖細胞である卵子が出会い、互いの細胞膜を融合させて一つの受精卵を作り出す現象」をいう。


 従来、卵子と精子が「融合」するとイメージされてきたのだが、最新の研究によると、卵子が精子を「食べる」イメージらしい。


 静岡大学と福島県立医科大学の共同研究チーム「卵子が精子をまるで貪食(どんしょく、食作用)するかのように取り込む新しい受精様式「SEAL」を発見した」そうだ。

 イメージ的には、卵子が精子を捕食して、新しい生命が誕生するわけだ。


 生命誕生のなんと残酷で、神秘的なことか。


 生は、死であり、死は、生である。如何に生きるべきかは、如何に死すべきかなのだ。


 


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