面白がってはいけないのだが、下記の記事は、大変興味深い。少し長いが、分かりやすい記述なので、引用させていただく。
「国会であれば、憲法で内閣は衆院解散による総選挙後30日以内に会議(特別会)を召集することが決まっている。
しかし、地方議会の場合、臨時会開催についてそのような規定がないのだ。
地方自治法101条では、議員定数の4分の1以上の者が、首長に対して会議に付議すべき事案を示して臨時会の招集を請求することができるとしている。
議員からの請求があれば、首長は請求日から20日以内に臨時会を招集しなければならない。ただ、臨時会開催の請求に首長は応じる義務はあるが、たとえ拒否しても罰則規定はない。
そのような場合を想定してか、2012年に地方自治法が改正され、首長が臨時会を招集しない場合、議長が招集できるようになった。」
ここまでは誰しも知っていることだ。鹿児島県阿久根市の竹原信一市長と市議会の対立がきっかけで、記事にあるように、2012年に地方自治法が改正された。
興味深いのは、ここからだ。
「しかし、おわかりのように、田久保氏が解散してしまった伊東市議会は現在、議長は不在であり、臨時会で新議長を決めるところから始めなければならない。もし、首長が臨時会開催の要請を拒否してしまえば、議長不在が続き、どうにもならないわけだ。
議長がいない場合の例外規定はないのか?
2012年の地方自治法改正に当たり、もし議長が不在の場合、都道府県の議会は総務大臣、市町村の議会は都道府県知事が招集できるという案が検討されたが、地方からの反対で盛り込まれなかった。今回のような異常事態を想定していなかったのだ。
国、県が是正勧告などの行政指導を行ったとしても強制力はないだけに、首長が聞く耳をもたなければ、どうにもならない。
つまり、臨時会の開催を田久保氏が拒否してしまえば、市長の椅子へそのまま居座ることが可能なのである。」
まさに「法律の穴」だ。
しかしながら、田久保氏が臨時会を招集しなかったとしても、伊東市の場合には、11月に定例会がある。
すなわち、定例会は、「定例会は、毎年、条例で定める回数これを招集しなければならない」(地方自治法第102条第2項)。伊東市議会の定例会の回数は、毎年4回であり(伊東市議会定例会条例)、毎年2月、6月、9月及び11月に招集される(伊東市議会定例会規則)。
定例会の招集は、普通地方公共団体の長が行うのだが(地方自治法第101条第1項)、定例会を招集しない場合の罰則規定がないから、田久保市長が定例会を招集しない場合には、市議会は、市長に対する再度の不信任議決をすることができないし、議長が不在なので、臨時会を招集することもできないから、市長に留まることが可能だ。
この場合には、住民の直接請求の一種である市長の解職請求をするしかない(地方自治法第81条)。
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