我が国の市の多くが、「名誉市民」を条例で定め、名誉市民を顕彰し、記念品を贈呈し、市の公式の式典等へ招待したり、死亡の際に弔慰したりするなどの待遇をしている。
この点では、中国の北京市(正確には、「北京市人民政府」)もほぼ同様なのだが、「北京の名誉市民権を授与された外国人、華僑、中国香港および中国マカオ同胞に対して、北京のすべての関連機関は北京での仕事と生活を支援するものとする」とされている点が大きく異なる。
これまで「北京市名誉市民」を受賞した日本人は、
1982 年 12 月 2 日 鈴木俊一 1910 – 2010 東京都知事
2002 年 8 月 8 日 福原義春 1931年 – 資生堂名誉社長
2009 年 3 月 25 日 岡田達也 1925年 – イオン名誉社長
2009 年 3 月 25 日 門武哲夫 1927年 – 東京日中友好協会会長
の4人だ。
岡田達也氏は、イオングループの創業者で、立憲民主党の岡田克也氏の父だ。
さて、北京市は、中華人民共和国の首都であり、行政区画上は、「直轄市」だ。直轄市は、中国最高位の都市であり、省と同格の一級行政区画だ。直轄市は、市轄区と県を管轄する。
直轄市には、北京市のほかに、上海市、重慶市、天津市がある。
我が国とは行政区画の在り方が異なるとはいえ、中国の「市」も、我が国の「市」と同じ地方公共団体だと思うことなかれ。似て非なるものなのだ。
すなわち、「中国の政治体制において、共産党の優越性は様々な制度によって保障されており、 党の意向が政治決定に確実に反映されるように設計されている。最も中核的な制度は、中央から地方の各地域・各レベルにおいて、国家機関に並んで党委員会が作られていることである。中央では、党中央委員会があり、その総書記が中国の最高指導者であることは広く知られている。地方でも、党委員会書記が実質的なトップとして、行政の首長に対して優越的である。一般的に、行政の首長は同レベルの党委員会の副書記 となることが多い。各レベルの党委員会には、政府の各部門に対応する担当も置かれ、 政府に対する領導が行われている。例えば、法院、検察、公安はいずれも国家機構の一部であるが、党の政法委員会の管轄下に置かれ、司法の独立は存在しない。主要メ ディアはいずれも党の宣伝部門の監視を受け、イデオロギーや教育でも党の影響力は大きい。人事面では、人民代表大会、政府、法院などの国家機関責任者や地方指導者、 さらには重要な国有企業の経営者は同時に党幹部でもあり、その人事は党によって実質的に決定されている。これは「党が幹部を管理する」という原則であり、ソ連の「ノーメンクラトゥーラ」を倣ったものである 。このように、人事や組織において、党と 国家は密に癒着している。党の存在感は、国家機関に限らない。基層レベルに至るまで、社会の隅々まで党のネットワークが張り巡らされ、人々は常に党の存在を感じながら生活している。近年では、私営企業や NGO における党組織の成立も進められているという」(下線・太字:久保)。
現在の北京市の実質的トップは、 中国共産党北京市委員会書記の尹力(20期中国共産党中央政治局委員、前中国共産党福建省委員会書紀)氏であり、北京市人民政府市長の殷勇(前北京市副市長、元中国人民銀行副行長)氏は、ランクが下なのだ。
中国共産党北京市委員会が、北京市人民政府を「領導」(指導して統率する)ことによって、中国共産党本部の意向が北京市人民政府の政治決定に確実に反映されるわけだ。
それ故、「北京市名誉市民」も、中国共産党北京市委員会、ひいては中国共産党中央委員会の意向に基づいて授与されていると言って過言ではない。
反日を国是とする中国において、党の意向を無視して北京市人民政府が勝手に日本人を名誉市民にすることができようはずもないからだ。
参考までに、北京市人民政府のHPのリンクを貼っておこう。我が国の市のHPとは全く異なり、政治色が濃厚なので、驚くと思う。
トップページに「中国共産党中央委員会政治局は、中国共産党中央委員会書記長の習近平が議長を務める会合を招集した。」、「市党委員会常務委員会は、習近平総書記の重要な指示の趣旨を伝え、検討し、市の地下空間特別計画などについて協議するための会合を開催する。」と赤地にデカデカと大文字で表示されている。
我が国の自治体の中には、中国の都市と姉妹都市になっているところが少なからずある。日中友好の旗印の下、人的交流や経済交流などの名目で、親中派を養成したりするなど、地方レベルで日本が侵食されている可能性がある。
なぜならば、中国共産党の対外的な影響力作戦の決定的に重要な方法として一般の理解をほとんど得ていない手段は、『統一戦線工作』だからだ。
この工作とは、相手国の社会全体に対して中国共産党の目標に沿うように非共産党の要員や組織を動員して影響力を行使し、強化することを目指す戦略だ。
A Preliminary Survey of CCP Influence Operations in Japan
https://jamestown.org/program/a-preliminary-survey-of-ccp-influence-operations-in-japan/
今年公開された外交文書には、1994年3月に北京で行われた日中首脳会談に先立ち、当時の細川総理大臣が李鵬首相と晩さん会で交わしたやり取りが記録されており、李鵬首相は、アメリカから中国国内の人権問題の改善を求められたことを説明し「中国は西側諸国の人権観とは異なる見方を持っており、アメリカの人権観を永久に受け入れることはできない」と述べている。
普段、「人権!人権!」「平和!平和!」と叫んでいながら、人権の普遍性を認めず、核兵器の増強など軍拡を図り、領土拡大の野望を隠さず、覇権主義的行動を行う中国共産党一党独裁体制の中国の都市と姉妹都市になっていることに矛盾を感じないのだろうか?
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