住民訴訟に勝訴した市が名誉毀損を理由に市民を訴える?

 住民訴訟に勝訴した市が原告住民に対して名誉毀損を理由に損害賠償を求める訴えを提起するというのは、大変珍しいことである。しかも、その訴え提起の議案書に見つかった不備もまた興味深い。

 そこで、後学のために、事件の経緯を簡単に書いておこう。

 平成26年(2014年)、宮古島市が行った不法投棄ごみ撤去事業について、市職員と業者が処理量を虚偽報告し、同職員が計量データを改ざんするなどの問題が発覚し、市民6名が住民監査請求したところ、却下されたため、市長らを相手取って住民訴訟を提起したが、最高裁は違法性を認めず、原告住民側が敗訴した。

 市民らが訴訟報告会を行い、代理人弁護士らが裁判の経過や今後も行政監視を続けることなどを確認したところ、この報告会での発言が市の名誉を毀損することを理由に、市民6名に対して合計1100万円の損害賠償を求める訴えを提起するための議案を市長が市議会に上程したというものである。

 市側と市民側双方の言い分及び議案書の不備については、下記の記事が詳しい。記事が消えてしまうかもしれないので、後学のため、リンクとともにスクショを貼らせていただく。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/470931

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/470931?page=2

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/469374


 


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