広島市職員十数人が書類送検!

 下記の記事によると、広島市が発注した公共工事(道路改良工事)で、事前に市長に届出をしなければならないのに、これをしなかったということで、担当職員十数人が土壌汚染対策法違反(土地の形質変更の無届)の疑いで書類送検されたそうだ。市民が今年の2月に県警に告発していたらしい。


 市は、「多忙の中で職員が失念していた。」と説明している。知っていたが、忙しくてついうっかり忘れてしまったというわけだが、本当だろうか。


 「一部は時効が成立している」そうだから、かなり前から届出をしておらず、それが常態化していたために、届出が必要であることすら知らない職員が多かったのではないか。そうでなければ、「各課に法令の周知徹底など再発防止策を講じた」りしないはずだからだ。


 ただ、担当職員さんをかばうわけではないが、届出が必要であることを知らない、知っていても届出を怠るのは、理解できなくもない。


 というのは、土壌汚染対策法第4条第1項又は第12条第1項により、土地の形質変更をする際には事前に知事に届出をしなければならず、届出をしない場合には、同法第66条により、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処せられるので、市役所の担当職員さんは、きちんと届出をなさるのが通常だ。

 ところが、同法第64条及び同法施行令第10条により、指定都市、中核市、市川市、松戸市、市原市、町田市、藤沢市及び徳島市の場合には、知事の権限が市長へ移譲されるため、市長に届出をしなければならないことになる。

 つまり、これらの指定都市等の市長が実施する公共工事について土地の形質変更をする場合には、市長が自分で自分に届出をしなければならないわけだ。実際には、公共工事の担当課(広島市の場合には、地域整備課)が環境保全の担当課(広島市の場合には、環境保全課)に届出をすることになる。

 実に形式的で、ザ・役所仕事という感じだ。だからこそなおざりにされてしまうわけだ。


 しかし、いくら形式的であっても、法令を遵守しなければならないことは言うまでもない。環境保全の担当課が、同じ役所の公共工事の担当課に対しても、厳正にチェックをしなければならないのだ。それ故、広島市も、「コンプライアンスを徹底する」と釈明しているわけだ。


 指定都市・中核市・施行時特例市には、知事から権限が移譲され、自治事務になる。また、一般の市町村も、都道府県の事務処理特例条例により、知事から権限が移譲され、自治事務になる。

 つまり、本来、知事へ申請・届出すべき事務が、市町村長へ申請・届出しなければならないことになるので、広島市と同じ轍を踏まぬようご注意いただきたい


cf.1土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)

(土壌汚染のおそれがある土地の形質の変更が行われる場合の調査)

第四条 土地の形質の変更であって、その対象となる土地の面積が環境省令で定める規模以上のものをしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の三十日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の場所及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 前条第一項ただし書の確認に係る土地についての土地の形質の変更

二 軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの 三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

2 前項に規定する者は、環境省令で定めるところにより、当該土地の所有者等の全員の同意を得て、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、指定調査機関に前条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、前項の規定による土地の形質の変更の届出に併せて、その結果を都道府県知事に提出することができる。

3 都道府県知事は、第一項の規定による土地の形質の変更の届出を受けた場合において、当該土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるときは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に前条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。ただし、前項の規定により当該土地の土壌汚染状況調査の結果の提出があった場合は、この限りでない。

(形質変更時要届出区域内における土地の形質の変更の届出及び計画変更命令)

第十二条 形質変更時要届出区域内において土地の形質の変更をしようとする者は、当該土地の形質の変更に着手する日の十四日前までに、環境省令で定めるところにより、当該土地の形質の変更の種類、場所、施行方法及び着手予定日その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

 一 土地の形質の変更の施行及び管理に関する方針(環境省令で定めるところにより、環境省令で定める基準に適合する旨の都道府県知事の確認を受けたものに限る。)に基づく次のいずれにも該当する土地の形質の変更

  イ 土地の土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然又は専ら土地の造成に係る水面埋立てに用いられた土砂に由来するものとして環境省令で定める要件に該当する土地における土地の形質の変更

  ロ 人の健康に係る被害が生ずるおそれがないものとして環境省令で定める要件に該当する土地の形質の変更

 二 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であって、環境省令で定めるもの

 三 形質変更時要届出区域が指定された際既に着手していた行為 四 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

2 形質変更時要届出区域が指定された際当該形質変更時要届出区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は、その指定の日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

3 形質変更時要届出区域内において非常災害のために必要な応急措置として土地の形質の変更をした者は、当該土地の形質の変更をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

4 第一項第一号の土地の形質の変更をした者は、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める期間ごとに、当該期間中において行った当該土地の形質の変更の種類、場所その他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

5 都道府県知事は、第一項の届出を受けた場合において、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受けた日から十四日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の形質の変更の施行方法に関する計画の変更を命ずることができる。

(政令で定める市の長による事務の処理)

第六十四条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市(特別区を含む。)の長が行うこととすることができる

第六十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第三条第五項若しくは第七項又は第二十三条第三項若しくは第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 第四条第一項又は第十二条第一項の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、土地の形質の変更をした者

三 第十六条第一項又は第二項の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして、同条第一項本文又は第二項に規定する搬出をした者

四 第十七条の規定に違反して、汚染土壌を運搬した者

五 第十八条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)又は第二十二条第七項の規定に違反して、汚染土壌の処理を他人に委託した者

六 第二十条第一項(同条第二項(同条第九項において準用する場合を含む。)及び第九項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、管理票を交付せず、又は同条第一項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして管理票を交付した者

七 第二十条第三項前段又は第四項(これらの規定を同条第九項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、管理票の写しを送付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして管理票の写しを送付した者

八 第二十条第三項後段(同条第九項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、管理票を回付しなかった者

九 第二十条第五項、第七項又は第八項(これらの規定を同条第九項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、管理票又はその写しを保存しなかった者

十 第二十一条第一項又は第二項の規定に違反して、虚偽の記載をして管理票を交付した者

十一 第二十一条第三項の規定に違反して、送付をした者


cf.2土壌汚染対策法施行令(平成十四年政令第三百三十六号)

(政令で定める市の長による事務の処理)

第十条 法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、次に掲げる事務以外の事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の長及び同法第二百五十二条の二十二第一項に規定する中核市の長並びに市川市、松戸市、市原市、町田市、藤沢市及び徳島市の長(以下この条において「指定都市の長等」という。)が行うこととする。この場合においては、法中前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、指定都市の長等に関する規定として指定都市の長等に適用があるものとする。

一 法第三条第一項の指定に関する事務

二 法第三十二条第一項の指定の更新に関する事務

三 法第三十五条、第三十七条第一項及び第四十条の規定による届出の受理に関する事務

四 法第三十六条第三項及び第三十九条の規定による命令に関する事務

五 法第四十二条の指定の取消しに関する事務

六 法第四十三条の公示に関する事務

七 法第五十四条第五項の報告及び立入検査に関する事務


 ところで、広島市と言えば、原爆。核兵器廃絶を訴える人たちが、口々に「No More Hiroshima !」と叫んでおられるのだが、物凄く違和感を覚えるのだ。

 というのは、「No more Hiroshima !」は、「広島なんて糞食らえ!」という意味だからだ。


 「二度と広島(の悲劇)を繰り返すな!」ということを言いたいのであれば、「No More Hiroshimas !」と複数形にしなければならない。

 なぜ誰も注意しないんだろうと不思議に思ってしまう。


 バーブラ・ストライサンドとドナ・サマーの大ヒット曲No More Tears(Enough Is Enough)も、複数形になっているから、ご存知の方も多いはずなのだが。。。

 なお、enough is enoughは、「もうたくさんだ」という意味だ。




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