「条例」は、憲法上は、法律の範囲内で、地方公共団体が自主立法権に基づいて制定した自主法であって、憲法第94条にいう「条例」には、条例のみならず長その他の執行機関が制定した規則その他の規程を含むが、地方自治法上の「条例」とは、法令の範囲内で、地方公共団体の議会の議決によって制定されるものを指し、長その他の執行機関が制定した規則その他の規程を含まない。
同音異義語に「条令」がある。「条令」とは、「箇条書にされた法令。条例。」をいう(小学館『精選版 日本国語大辞典』)。私の手元にある法律用語辞典には、「条令」は掲載されていなかった。
e-Govで「条令」を検索したが、現行法上「条令」を用いた法令はない。日本法令で「条令」を検索したが、廃止法令の中に「条令」を用いたものはなかった。
ところが、条例Webアーカイブデータベースで「条令」を検索したところ、なんと148件ヒットした!
ザーッと見たところ、「条例」と入力すべきところを誤って「条令」と入力してしまったものばかりのようだ。
私もこのブログでしばしば入力ミスをしているから、偉そうなことは言えないが、「条令」には、条例の意味があるとはいえ、国民の権利義務に関わりかねない重大な入力ミスである以上、早急に改めていただけたらと願っている。
問題は、訂正の仕方だ。
そもそも条例案に入力ミスがあった場合には、議会の議決によって条例として成立した以上、これを訂正するには、条例の一部を改正する条例を制定する必要がある。議員さんたちから厳しく叱責されるだろうが、議会も入力ミスに気付かずに議決した点で責任があるから、腹を括って改正案を提出して欲しい。
これに対して、条例案に入力ミスはなく、単に例規集に掲載する際に入力ミスがあった場合には、議会を通さずに、例規集の表記を訂正すれば足りる。黙って訂正するよりも、正誤表を公示するのが親切だが、それは義務ではない。
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