条例の公布については、すでに何度か述べた。
繰り返しになるが、「当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。」とされているので(地方自治法第16条第4項)、普通地方公共団体は、公布に関し必要な事項を定めた条例(いわゆる公告式条例)を制定している。
条例の公布の方法については、法令上、特にこれを規制する定めがないので、各自治体が自由に条例で公布の方法を定めることができる。
一般的に、条例の公布の方法については、
①公報に登載する方法、
②役所前の掲示場に掲示する方法、
③公報に登載するとともに、役所前の掲示場に掲示する方法、
④原則として公報に登載するが、急施を要する場合には、役所前の掲示場に掲示することをもって公報への登載に代えることができるとする方法
がある。
都道府県並びに指定都市及び中核市の場合には、④が採られることが多いが、一般の市町村の場合には、②が採られることが多い。
しかし、①公報に登載する方法は、公報の編集・印刷・配布に手間と時間がかかる。他方、②役所前の掲示場に掲示する方法も、紙に印刷して掲示場に貼って、剥がさねばならず、手間と時間がかかる。当然ながらいずれの方法もお金がかかる。
そして、ペーパーレス化が叫ばれて久しい。
そこで、インターネットで公布したらいいんじゃない?と思って調べてみたら、もうすでに愛媛県の宇和島市が、条例をPDF化して⑤市公式ホームページに掲載する方法で公布を行なっていた。
ただ、宇和島市公告式条例第2条第2項には「原則として」とあるが、本則には例外が定められていない。
災害等によりインターネットが使えない場合に、市長が専決処分で条例を制定したようなときにこれを公布できるようにするため、例外的に、市役所前掲示場に掲示することをもって市公式ホームページに掲載することに代えることができる旨の規定を定めるべきだろう。条例は、公布されないと、無効だからだ。
他の自治体も、宇和島市を見習って、⑤の方法を採用したらどうだろうか。
う〜ん、一部の高齢者などインターネット環境にない住民がおり、時期尚早だということで踏み切れないのだろうか。
でも、公報に登載された条例や役所前掲示場に掲示された条例を見ている住民なんて皆無と言っても過言ではないし、公布それ自体が擬制にすぎないのだから、⑤の方法を採用しても別段問題なかろうと思うのは、私だけだろうか。
お詳しい方がいらっしゃったら、ご教授ください。
cf.宇和島市公告式条例 (平成17年8月1日 条例第3号)
(条例の公布)
第2条 条例を公布しようとするときは、公布の旨の前文及び年月日を記入して、その末尾に市長が署名しなければならない。
2 条例の公布は、原則として、市公式ホームページに掲載することにより行うものとする。
宇和島市掲示板(ウェブサイト版)
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