信長公・秀吉公・家康公

『三教図』


 10年ぐらい前だったろうか、漫画『聖☆おにいさん』が海外で話題になっていた。ブッダとイエスが東京・立川でアパートをシェアし、バカンスを過ごす日々を描いた漫画だ。

 「自分の国だったら宗教への冒涜だとして大問題になるのに、日本は自由な国だ」というような意見が溢れていた。


 ひょっとしたら『聖☆おにいさん』の着想の一つかもしれない本が昭和57年(1982年)に出版されている。

 『大漢和辞典』(大修館書店)の著者である諸橋轍次先生は、京都の両足院所蔵の孔子・老子・釈迦の3人を墨絵で描いた『三教図』をご覧になったことがきっかけで、三聖人が儒・道・仏の教えを語り合う『孔子・老子・釈迦「三聖会談」』(講談社学術文庫)という本を書かれた。

 

 30年以上前に諸橋先生の本を読んだ際に、信長公と秀吉公と家康公が再会したらと想像したら、面白くて、ついニヤニヤしてしまったことを覚えている。

 3人の会話を尾張弁に脳内変換するとなお良し。笑


 ところで、信長公は、建勲(たけいさお)という神号を贈られ、明治2年(1869年)、明治天皇の御下命により創建された建勲神社(京都市北区)に祀られている。

 秀吉公は、豊国大明神という神号を贈られ、豊国神社が建立されたが、豊臣家滅亡後、家康公の命により廃絶されたけれども、明治天皇の勅命により、明治13年(1880年)に豊国神社(京都市東区)が再建された。

 家康公は、東照大権現という神号を贈られ、日光東照宮(栃木県日光市)に祀られている。


 つまり、現在、3人とも神様なので、毎年、神無月(10月)に出雲で再会しているわけだ。

最初は、わだかまりがあって口喧嘩したり、ポコポコと叩き合ったかも知れないけど、何度も再会するうちに、今では光秀公も仲間に加えて4人で仲良く最新ゲームをするのが恒例行事になっているかも知れない。笑

 光秀公も、明智光秀命として御霊神社(京都府福知山市)に祀られている。


 私のくだらない妄想をこれ以上ここでご披露することは控えるが、代わりに、信長公と秀吉公と家康公の3人が出てくる条例があるので、ご紹介しよう。


 愛知県の小牧市自治基本条例( 平成27年3月24日 条例第7号)の前文だ。文化や伝統を大切にすると言いながら、呼び捨てにしているのが気に入らないが、主旨は立派だと思う。


cf.小牧市自治基本条例 (平成27年3月24日 条例第7号)

 私たちのまち小牧市は、織田信長が小牧山城築城に伴い整備した城下町を礎とし、また、豊臣秀吉徳川家康による「小牧・長久手の合戦」により、その名を歴史にとどめるまちです。

  小牧市は、江戸時代以降、「小牧菜どころ米どころ」と言われたのどかな田園都市でしたが、伊勢湾台風による被害からの復興を契機に、内陸工業都市へと大きな変化を遂げ、発展してきました。

 今日、少子高齢化、さらには、人口の減少が進む時代の大きな転換期を迎え、新たな自治のあり方が求められています。

  このような時代に、私たちが心豊かに暮らしていくためには、私たちは、歴史とともに積み上げられた文化や伝統を大切にしながら、互いに信頼し、知恵と力を出し合い、心を一つにして、まちづくりに関わっていく必要があります。

  私たちは、先人のたゆまぬ努力と英知によって築かれてきたこのまちに愛着と誇りを持ち、小牧市民憲章に掲げる理想のまちを実現し、次世代へしっかりと引き継いでいくことを誓い、ここに、この条例を制定します。

(下線・太字:久保)


 なお、この小牧市自治基本条例以外に3人の名前が登場する条例を列挙しておこう。

信長公は2本、秀吉公は3本、家康公は5本だから、出雲で家康公は「オラは今でもどえりゃ〜人気者だでよ〜♪」と自慢しているかも?笑


 まず、信長公は、①群馬県甘楽町(かんらまち)の「甘楽町国指定名勝楽山園の設置及び管理に関する条例(平成23年12月14日 条例第25号)」、②岐阜県中小企業・小規模企業振興条例 (平成二十八年三月二十九日条例第三十七号)に登場する。


 次に、秀吉公は、①和歌山県湯浅町の「醍醐寺金堂の移築記念日条例 (平成26年12月22日条例第23号)」、②大分県日出町の「日出城址周辺景観保全条例 (平成20年12月22日条例第22号)」、③岩手県二戸市の「二戸市環境基本条例 (平成18年1月1日条例第132号)」に登場する。


 さらに、家康公は、①愛知県岡崎市の「岡崎市家康公観光振興基金条例 (平成27年3月26日 条例第20号)」、②岡崎市環境基本条例 (平成17年12月21日 条例第139号)、③愛知県新城市の「鳳来寺山歴史文化考証館等の設置及び管理に関する条例 (平成17年10月1日 条例第217号)」、④群馬県桐生市の「桐生市の誇りである繊維産業を応援する条例 (平成30年3月23日条例第23号)」、⑤静岡市創造及び交流によりまちの活力を生み出す文化の振興に関する条例 (平成28年3月18日 条例第21号)に登場する。





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