毎日、ロシアによるウクライナ侵略に関する報道を目にすると、非日常が日常化してしまうことに恐ろしさを感じると同時に、「人間は考える葦である」という言葉で有名なフランスの哲学者・数学者パスカル著『パンセ』(1669年)の「力のない正義は無力であり、正義のない力は圧制的である」という一節を思い出す。
「正義。力。
正しいものに従うのは、正しいことであり、最も強いものに従うのは、必然のことである。
力のない正義は無力であり、正義のない力は圧制的である。
力のない正義は反対される。なぜなら、悪いやつがいつもいるからである。正義のない力は非難される。したがって、正義と力とをいっしょにおかなければならない。そのためには、正しいものが強いか、強いものが正しくなければならない。
正義は論議の種になる。力は非常にはっきりしていて、論議無用である。そのために、人は正義に 力を与えることができなかった。なぜなら、力が正義に反対して、それは正しくなく、正しいのは自分だと言ったからである。
このようにして人は、正しいものを強くできなかったので、強いものを正しいとしたのである。」
(『世界の名著29 パスカル』(中央公論社)189頁)
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