焼き直し

 たまたま下記の記事を見つけた。この研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)から科学研究費の助成を受けて行われたものだそうだ。

 今、国会議員と金の問題が話題になっているが、納税者としてはこのような研究に税金が使われていることについても検証してほしいものだ。

 一読して、以前ご紹介したマルクス/エンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』(岩波文庫)の焼き直しのようだと思った。


 一見すると、上記の記事は、個人主義・自己決定権を極めて重視する考え方のように見えるが、これは方便(ジョージ・オーウェルが小説『1984年』(ハヤカワ文庫)で命名したNewspeakニュースピーク新語法だ。)であって、マルクス/エンゲルスが主張するように、共産党一党独裁による地上の支配を実現するためには、人間をあらゆるつながりから切り離してバラバラに原子化(アトム化)するのが望ましいことから、原子化の妨げとなる一夫一婦制の婚姻制度を前提とする家族制度と国家を破壊すべしと主張しているのだろう。

 家族制度と国家が破壊されれば、当然治安が悪くなるが、治安が悪くなればなるほど、強力な取締が熱望されるようになり、いよいよ満を持して救世主たる共産党の登場ということになる。


 ちなみに、日本国憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めている。

 「個人として扱わなければならない」ではなく、あくまでも「個人として尊重される」にすぎない。公共の福祉を実現するためであれば、個人として尊重されないことも当然あり得るわけだ。個人主義・自己決定権を徹底させる考え方は、日本国憲法にそぐわないのだ。


 上記の記事は結婚制度を廃止した方がよいと述べているが、人間は、家族、村落共同体などの中間団体の中で躾けられることによって本能を制御して真人間になるのであって、婚姻制度を前提とする家族制度が破壊されれば、愛情もモラルも知らず、己の本能をコントロールすることができずに良好な人間関係を構築することもできない動物となってしまう存在なのだ。子供の福祉のためにも、社会秩序を維持するためにも、婚姻制度を前提とする家族制度は必要不可欠なのだ。


 上記記事には、「全ての人々が国際的な移動の自由を持っている」とあるのだが、このような自由はない。国際法上、外国人の入国を認めるかどうかは、国家主権に属する事柄であって、外国人には入国の自由はないのだ。もし入国の自由が認められたならば、先進諸国は外国人に占領されて滅亡することだろう。

 共産党一党独裁による地上の支配を実現するためには、国家が邪魔なので、国境をなくして不法移民の流入を促進しようというわけだ。国家によって保護された国民ではなく、国家の保護を受けられないDiaspora ディアスポラ、換言すれば、根無草の「地球市民」の方が支配しやすいからだ。

 

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