我々人間は、他の動物とは異なり、intellectual lifeインテレクチュアル・ライフ「知的生活」を営む点に独自性があることから、人間誰しも知的生活の方法を模索するものだ。
そのため、KJ法の川喜田二郎『発想法』(中公新書、1966年)や梅棹忠夫『知的生産の技術』(岩波新書、1969年)が出版されるや、瞬く間にベストセラーになった。
以来、どこのご家庭にも京大式カード(B6版のカード。その後、様々なサイズが発売された。)を収納するキャビネットやボックスがあった。
ネットで検索したら、京大式カードはもちろんのこと、中古の木製キャビネット、新品のスチール製キャビネット、プラスチック製のボックス等が売られているから、今でも需要があるようで驚いた。
京大式カードと呼ばれる情報カードにアイデアや本の引用文・著者・題名・出版社・出版年・ページ数などを書き込んで、インデックスで仕切られたカードキャビネットやボックスの引き出しに収納する。
つまり、アナログ式のデータベースをつくるわけだ。
私も高校から大学までやっていたが、この方法には難点があった。インデックスを50音順にするにせよ、アルファベット順にするにせよ、項目別にするにせよ、時間の経過によって記憶が曖昧になり、どこにカードを分類したのかを忘れてしまって、自分が欲しい情報に素早くアクセスできないのだ。カードの量が増えるほど、その傾向が強くなった。
頭の悪い私には、不向きだったのだ。
そのため、ワープロ専用機やパソコンを使うようになってからは京大式カードを一切使わなくなった。
例えば、Evernoteの検索機能は低能だが、タグを付けて保存しておけば、欲しい情報に素早くアクセスできる。
もっとも、Evernoteは、当初とは異なり、一月に無料で保存できる情報量の上限が設けられ、運営会社が変更してからは、使えるデバイスが一つになってしまい、使い勝手がますます悪くなった。。。これに代わるソフトがあればよいのだが。
このブログも、私にとっては京大式カードのようなものであって、思い付いたことを忘れぬように書き込んでいるにすぎない。
さて、以前、「わたくし」の語源について、ど素人である私の珍説を開陳したが、語源不明のままで、ずっとモヤモヤしていた。
そこで、お盆休みなので、図書館へ行って、司書さんが予めご用意くださった語源に関する7冊の本をチェックしてみた。大同小異なので、そのうちの2冊から転載する。
『日本語源大辞典』(小学館)には、「わたくし」の語源として8つの説が載っていた(1180頁)。
①ワレツクシ(我尽)の転か<大言海>。
②ワガタメニカクシ(我為隠)の義<日本語源学=林甕臣>。
③ワはワレ(吾)の意、シはウシ(大人)、イマシ(汝)等のシと同根か<国語の語根とその分類=大島正健>。
④ワトクシ(吾等具)の義<言元梯>。
⑤ワガタ(我田)を良クシタル義か<和句解>。
⑥ワタカクシ(曲隠)の義<名言通>。
⑦ワタカクシ(渡隠)の中略。世を渡る者がお互いに非を隠す意<紫門和語類集>。
⑧ワタクサ(和田穀草)の転<日本古語大辞典=松岡静雄>。
『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)には、
語源は、「ワ(吾我)+タ(つ)+くし」です。私+の+しるし(個人的の意)の意味です。オオヤケ(公)に対するワタクシ(私)で、私有、ひそか、個人的な、の意も表します。
とあった(940頁)。
う〜ん、根拠が書かれていないものもあり、また、私の珍説と同様にこじつけみたいなものもあり、どれが正解なのかが判断できず、困った!苦笑
「下手の考え休むに似たり」で、こういう場合は、とりあえず放置して、専門家が論文を書いてくれるのを待つのがベターだろう。
モヤモヤが続くのか。。。やれやれ。。。
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