国旗のメッセージ性

 下記の大阪高裁の記事を読んで、なんじゃこりゃ?、と思った。国旗は、国家を象徴する旗であって、日本人が日本国の国旗である日章旗のバッジを着用して何が悪い、と思ったからだ。

 しかし、下記の大阪地裁の記事を読むと、法廷が異様な状況にあることが分かった。

 例えば、スポーツの日韓戦が韓国で行われ、会場が韓国の国旗で埋め尽くされている中で、日本の応援団が日章旗を掲げている場合、日韓それぞれの国旗は、国家を象徴するだけにとどまらず、自国チームへの応援メッセージの性格を帯びる。


 とすれば、在日韓国人女性が、職場で民族差別的な文書を配布されたとして不動産会社に損害賠償を求めた訴訟において、傍聴人が日章旗バッジを着用することが「在日韓国人女性側への批判的な意思や、不動産会社側に賛同する意思を表明すると解される行為」だというのも、分からなくもない。


 しかし、だからといって、日章旗バッジを着用した傍聴人が「法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者」(裁判所法第71条第2項)に当たると即断することはできない。

 この点について、記事からはよく分からないが、原告が納得するように、慎重かつ丁寧に事実認定をする必要があろう。


cf.裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)

第七十一条(法廷の秩序維持)  法廷における秩序の維持は、裁判長又は開廷をした一人の裁判官がこれを行う。 

②  裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。

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