「在日本大韓民国民団(民団)の人権擁護委員会は20日、先ごろ日本ホテル協会を訪れ、ホテルのチェックイン時に日本に住所を有する外国人に対し、特別永住者カードやパスポートなどの身分証の提示を求めないよう要請する要望書を提出したと発表した。」
記事には、「日本の旅館業法では日本国内に住所を有する外国籍宿泊者に対する身分証の提示を義務付けていない」とある(太字:久保)。
確かに、その通りだ。
厚生労働省も、「日本政府は、法令に基づき、「日本国内に住所を有しない外国人」の方の宿泊に際しては、宿泊者名簿に、*氏名 *住所 *連絡先 等の記載に加えて*国籍 及び *旅券番号 の記載を義務付けています。 また、日本政府は、旅券の呈示及びコピーも求めていますので、ご理解、ご協力をお願いいたします。」とHPに明記している(太字:久保)。
根拠条文は、旅館業法第6条第2項及び旅館業法施行規則第4条の2第3項だ。
要するに、短期滞在者や外国人観光客は、「日本国内に住所を有しない外国人」なので、宿泊に際しては宿泊者名簿に記載された国籍・旅券番号等が本当かどうかを確かめるために、パスポート(旅券)の提示が必要になるわけだ。
問題は、ホテル・旅館(営業者)側が、宿泊を希望する外国人が日本国内に住所を有するか否かをどうやって確かめるかだ。
日本国内に住所を有する外国人であることを証明するための道具が、中長期在留者向けの「在留カード」と特別永住者向けの「特別永住者証明書」だ。
特別永住者は、「特別永住者証明書」を受領しているのだから、素直に「特別永住者証明書」又はパスポート(旅券)をフロントに提示すればスムーズに手続が済むのに、どうしてこれを執拗に拒むのか?
記事によると、「身分証の提示を求められると異邦人扱いを受けているようで不快に感じる」からだそうだ。
しかし、特別永住者が異邦人(外国人)であることに間違いはなく、不快に感じる方がおかしい。韓国人であることに誇りがないのか。
それとも韓国人であることを隠して日本人になりすまさなければならない何らかの意図を持って宿泊しようとしているのか。
あるいは、日本に住んでいる自分たちは、日本人だと勘違いしているのか。もしそうならば、病院へ行くことをお勧めする。
なんにせよ外国人が海外のホテルに宿泊する際には、パスポートの提示が求められるのは常識であって、これを執拗に拒むことが如何に非常識な迷惑行為であるかが分かっていないようだ。
記事には、「税金もきちんと納めるなど社会の構成員の役割を果たしている人たちに対する差別がなくなってほしい」とあるが、日本に在留して様々な公共サービスを受ける以上、税負担は当たり前であって、税の問題と国籍は関係ない。日本人も、韓国に在留すれば、当然税金を納める。
外国人が日本国内に住所を有するか否かを確かめるために、ホテル・旅館(営業者)側が、パスポート(旅券)や「特別永住者証明書」の提示を求めることは、合理的理由に基づく区別であって、不合理な差別ではない。
記事には、「特別永住権者」とあるが、そのような権利はない。あくまでも法定特別永住者又は特別永住許可を受けた外国人にすぎない(入管特例法第3条、第4条、第5条)。
自分たちは、「特別永住権者」であって、他の在留外国人とは異なる特権を持っていると誤解しているのではないか。このような誤解が原因で、特別扱いしないのは差別だと思い込むようになったのかもしれない。
しかし、これは、「自分たちを特別に優遇して他の外国人を差別しろ!」と言っていることに等しく、「人権擁護」が聞いて呆れる。
なお、中長期在留者には、在留カードの受領、携帯義務が課されており、中長期在留者が在留カードを携帯する場合は、パスポート(旅券)の携帯義務は、課されていない(入管法第23条)。この規定に違反した者は、刑事罰の対象となる(入管法第75条の2、75条の3、76条)。
特別永住者には、パスポート(旅券)の携帯義務は、課されていない(入管特例法第17条第4項)。
しかし、不法滞在者が多数存在する状況においては、特別永住者についても、他の外国人と同様に、その身分関係等を把握する必要が生じる場合があることから、特別永住者証明書を交付することとし、その受領義務が課せられ(入管特例法第17条第1項)、これに違反すると刑罰に処せられるが(入管特例法第31条第3号)、特別永住者証明書の携帯義務は、課されておらず、入管職員等から特別永住者証明書の提示を求められた場合には、提示すべき義務があり(入管特例法第17条第2項)、これに違反すると刑罰に処せられる(入管特例法第31条第4号)。
cf.1旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)
第六条 営業者は、厚生労働省令で定めるところにより旅館業の施設その他の厚生労働省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、連絡先その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があつたときは、これを提出しなければならない。
2 宿泊者は、営業者から請求があつたときは、前項に規定する事項を告げなければならない。
cf.2旅館業法施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十八号)
第四条の二 法第六条第一項の宿泊者名簿(以下「宿泊者名簿」という。)は、当該宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置を講じた上で作成し、その作成の日から三年間保存するものとする。
2 法第六条第一項の厚生労働省令で定める場所は、次に掲げる場所とする。
一 旅館業の施設
二 営業者の事務所
3 法第六条第一項の厚生労働省令で定める事項は、宿泊者の氏名、住所及び連絡先のほか、次に掲げる事項とする。
一 宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号
二 その他都道府県知事が必要と認める事項
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