口は出すな、金は出せ

 「トランプは、バイデン政権の政策を捨て去り、LGBTを認めない、DEI(多様性、公平性、包摂性)施策を見直す、反ユダヤ・親パレスチナ活動を取り締まる、反アメリカ的価値観を持つ留学生を入国させないといった政策を次々と打ち出している。  

 トランプ政権は、4月11日、ハーバード大学に対して、DEI方針見直し、反ユダヤ主義的活動の取り締まり、反アメリカ的価値観を持つ学生に関する報告などを要求し、これを総額90億ドル(約1.3兆円)の助成金継続の条件とした。しかし、大学側はその求めを拒否した。それに怒ったトランプ政権は、4月14日に、複数年にわたる助成金22億ドル(約3146億円)と6000万ドルの契約金の支払いを凍結した。」


 舛添要一氏は、「ハーバードを恫喝するトランプの「リベラル狩り」に大衆はなぜ喝采送るのか…背景に米国の低学歴層が抱く反知性主義」があるとした上で、「トランプは権力基盤を大衆に置くポピュリストの扇動家であり、ヒトラーと同じである。今日の政治は左翼と右翼ではなく、高学歴で自立した層と低学歴で集団志向の層との「対立図式」(David Goodhart)である。後者は論理ではなく感情を優先する。」と結論付けている。

 舛添氏は、東大教養学部助教授だっただけあって、虚実を織り交ぜるのが上手だ。左翼学者は、本当に上手い。


 以前にも述べたように、自由と平等は、両立しない。唯一両立するのは、「法の下の平等」すなわち「機会の平等」だけだ。

 米国においては、建国以来、プロテスタンティズムに裏打ちされた自由の伝統を保守する「保守主義」こそが「真の自由主義」なのであって、本流だ。この「保守主義」は、「機会の平等」を志向する。

 これに対し、我が国で「自由主義」と誤訳されているliberalismリベラリズムは、「結果の平等」を志向するものであって、「自由主義」を騙る「平等主義」なのだ。liberalismは、「左翼的自由主義」とでも訳すのが妥当だ。


 この図式は、国際的な常識なのだが、我が国では、「左翼にあらざれば学者にあらず」で、左翼学者が学会を牛耳っているため、学校で教えられることがない。

 そのため、下記の舛添氏の倒錯した説明を鵜呑みにしてしまう。


 「格差の拡大とともに、「機会の平等」をうたうアメリカ建国の理念は揺るぎ、それを支えてきたキリスト教にも凋落の兆しが見え、人々の信仰心も衰え、ヨーロッパやカナダのように世俗化が進んでいる。  

 アメリカの平等主義は、知性と権力の結合、つまり知的エリートが権力を独占することに反感を抱かせるのである。  

 したがって、それが反知性主義となり、平等の名の下にエリートの思想狩りをすることに繋がるわけである。ハーバード、イェール、プリンストン大学などがその典型である。  

 まさに、極端な平等主義の前には、自由は生き残れないことになる。」


 米国は、建国以来、プロテスタンティズムに裏打ちされた自由・機会の平等、家族観、倫理観、地域コミュニティーなどの伝統を大切に保守してきたのに、「自由主義」を騙る「平等主義」であるliberalismによって、この伝統が破壊され、危機に瀕していることを憂うる人々が、トランプ大統領を支持しているのだ。

 トランプ大統領支持者は、「極端な平等主義」なんぞ誰も主張していない。


 反米活動を行う左翼の総本山がハーバード大学であって、学問の自由・大学の自治を錦の御旗にして、LGBTQ、ジェンダー平等、同性婚、中絶の自由、成績が悪くても黒人だというだけで優遇するaffirmative actionアファーマティブ・アクション「積極的格差是正措置」などを主張し、米国の伝統を破壊尽くし、中国やイスラーム諸国などの外国勢力と結託して、反米活動を行い、国民を分断している。

 そのくせ、ハーバード大学は、「金は出せ、口は出すな」と言うものだから、反国家活動をしている以上、補助金をカットするという強行手段に打って出たわけだ。


 舛添氏は、「アメリカの平等主義は、知性と権力の結合、つまり知的エリートが権力を独占することに反感を抱かせる」と述べているが、決してそうではない。嘘を混ぜるな!

 舛添氏の言い回しを借用して、正しく言い直せば、トランプ大統領を支持するアメリカの真の自由主義(保守主義)は、ハーバード大学と民主党に象徴される知性と権力の結合、つまり知的エリートと自称する左翼が権力を独占することに反感を抱いているのだ。


 舛添氏は、建国の理念に則り、古き良きアメリカに回帰しようとするトランプ大統領支持者に対して、「低学歴層」で「反知性主義」だとレッテルを貼り、いわんやトランプ大統領を「ポピュリストの扇動家であり、ヒトラーと同じ」だと批判しているわけだ。

 ヒトラーは、国家社会主義者だから、むしろ同じ左翼である舛添氏に近いのに、「目的のためには手段を選ばず」という左翼の常套手段を用いて、読者にトランプ大統領に対する嫌悪感・反感を抱かせようと思って、トランプ大統領はヒトラーだとレッテルを貼っているのだ。やり方が姑息だ。


 我が国の構造も、米国とほぼ同じであって、学問の自由・大学の自治を隠れ蓑にして、東大を頂点としてliberalism、社会主義、共産主義、アナーキズム(無政府主義)などの左翼思想を学生たちに吹き込み、これを反日活動の先兵としている。

 日本学術会議も、共産党などの左翼勢力によって牛耳られている。








 



源法律研修所

自治体職員研修の専門機関「源法律研修所」の公式ホームページ