例えば、警視庁の懲戒処分の指針によれば、酒酔い運転をすること(5年以下の懲役又は100 万円以下の罰金。道路交通法第65条、第117条 の2)は、免職又は停職とされている。
我が国の警察官が1回でも飲酒運転をすれば、法令遵守義務(地方公務員法第32条)及び信用失墜行為の禁止(同法第33条)に違反したとして、通常、懲戒免職になる。
これを不服として懲戒免職処分の取消を求めて出訴したりしない。
ところが、韓国では違うと知って、驚いた。
下記の記事によると、ソウル警察庁の旧警察公務員懲戒令施行規則では、「飲酒運転2回」で懲戒免職または降格、「3回以上」で免職または解任の基準が定められているそうだ。
機械翻訳なので、曖昧だが、飲酒運転1回では懲戒免職にならないことだけは分かる。
さて、ソウル警察の警察官Aが、2023年8月、焼酎を飲んだ後、自家用車を運転していたところ、飲酒検問に遭遇し、測定を拒否したため逮捕され、同年10月に罰金1,000万ウォンの略式命令を受けた。
これを受けてソウル警察庁は、「警察官としての品位を損なった」として、旧警察公務員懲戒令施行規則に基づき、懲戒免職処分を下した。
Aは、「免職処分は過度に重く、違法だ」として、処分取消を求める訴訟を起こした。
ソウル行政裁判所行政14部(イ・サンドク部長判事)は、23年間で3度の飲酒運転をしたとしても、過去の違反との時間的な間隔などを考慮せず、最も重い処分である懲戒免職を科すのは違法だという原告A勝訴の判決を下した。
ソウル警察庁長が控訴しなかったため、そのまま確定した。
拓殖大学国際学部教授の呉善花氏は、「李朝でも“情理を追求する精神”が強固に働いていましたが、その伝統をひく現代韓国もまさしく“法よりも情が優先する”状況下にあります。韓国では酒に酔っての犯行であれば、「情理」の判断をもって必ず減刑されるし、単純暴力では前科の有無を問わず罰金・略式起訴で裁判までいかないのが司法界の慣例です。そのため、韓国には前科40犯、50犯がざらにいるのです。」と述べている。
へぇ〜と思ったが、まさか飲酒運転で前科3犯の者が警察官として働き続けられるとは思わなかった。
下記の記事によると、韓国大統領候補のソン・ジンホ氏(無所属)は、「これまで詐欺、暴力、傷害、器物損壊、労働基準法違反、不渡り小切手法違反など、多様な犯罪で計17件の前科を持ち、懲役刑だけで8回にのぼる。これは韓国大統領選挙史上、最多の前科記録である。」
「今回の候補者の前科件数は合計27件にのぼる。最多はソン候補の17件で、続いて民主労働党のクォン・ヨングク候補が4件、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補と国民の力のキム・ムンス(金文洙)候補がそれぞれ3件を記録している。改革新党のイ・ジュンソク(李俊錫)候補らは「前科なし」となっている。」
大統領は、国民統合の象徴的役割を果たすのだが、「韓国には前科40犯、50犯がざらにいる」ので、大統領候補に前科があっても、国内的には別段不都合はないのだろうか。
国内的には問題がなくても、外交の場面では国のイメージを悪くし、国益を損なうと思うのだが、余計なお世話だな。
韓国は、法治主義ではなく、情治主義だとする言説が多い。「国民情緒法」という言葉さえ生まれている。
韓国の国内で、韓国人を対象に「情治主義」・「国民情緒法」が行われることについては、お好きにどうぞだが、これを外国や外国人にまで及ぼそうとすると、国際法を無視することになり、国際問題になる。前近代国家が隣にあるのは、迷惑極まりない。
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