冷静で自由な議論ができなくなる

 下記の記事を読むと、特定の在日外国人を狙い撃ちにして、4年以上にわたってしつこく嫌がらせの書き込みをするというのは、尋常ではない。判決を読んでいないので、コメントしづらいが、結論自体は妥当ではないかと思う。

在日コリアンへのヘイトスピーチ「祖国へ帰れ」は差別的で違法 注目の判決が投げかけるものとは - インクルーシブな社会のために - NHK みんなでプラス

【NHK】10月、長年にわたり在日コリアンたちを苦しめてきた”差別的なことば“に対する判決が下されました。インターネット上に「さっさと祖国へ帰れ」などと投稿されて名誉を傷つけられたとして、在日コリアンの女性がことばを書き込んだ男性に賠償を求めた裁判です。 横浜地方裁判所川崎支部は、「悪意のある差別的な言動だ」と指摘した上で、「名誉や尊厳などが侵害された精神的苦痛は非常に大きい」として、男性に対して194万円の賠償を命じました。「祖国へ帰れ」ということばは在日コリアンの人たちに向けて頻繁に投げかけられるヘイトスピーチです。しかし一方で、「殺せ」や動物にたとえるなどの脅迫や、名誉棄損にあたるとされてきたことばと違って、明確に違法性が認められてきませんでした。 今回の判決は、差別的であり違法であることを認めた画期的なものとなりました。このことばに苦しめられてきた女性が裁判にかけた思いと判決の意義について考えます。 (「インクルーシブな社会のために」取材班)

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 このような嫌がらせが行われると、在日外国人をめぐる様々な問題について、冷静で自由な議論すらできなくなる。在日外国人の問題を取り上げるだけでracistレイシスト差別主義者のレッテルを貼られ、表現の自由が萎縮してしまうからだ。

 我が国の外国人政策には、多くの問題点があり、これらを政治的・法的に解決するためには、ヘイトスピーチは逆効果だ。


 他方で、なんでもかんでもヘイトだ、ヘイトスピーチだという風潮も妥当ではない。

 日本国民には外国に入国する権利も外国に在留する権利もないが、外国から出国する自由はあるように、在日外国人には、我が国に入国する権利も在留する権利もないが、日本から出国する自由がある。

 それ故、日本国民が外国で犯罪を犯したり、外国の慣習に従わずにトラブルを起こしたり、当該外国の国益を害する政治活動やスパイ活動をしたり、当該外国が嫌だと言うのであれば、当然「祖国へ帰れ」と言われても仕方ないように、在日外国人も、同様のケースについては、「祖国へ帰れ」と言われても仕方がない。

 法務省も、記事にあるように、「特定の民族や国籍の人々を、合理的な理由なく、一律に排除・排斥することをあおり立てるもの(「○○は出て行け」、「祖国へ帰れ」など)」をヘイトスピーチだとしているように、合理的な理由」があれば、「祖国へ帰れ」と言うことは、ヘイトスピーチではないのだ。


 判決文を読んでいないので、一方的な決めつけは差し控えなければならないが、上記の記事は、原告の主張のみを取り上げ、被告の主張を取り上げておらず、フェアーではないし、「祖国へ帰れ」自体がヘイトスピーチであるかのような誤解を与えるおそれがあると思う。



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