NHK総合テレビで、毎週日曜日、朝7時45分からの『さわやか自然百景』を観たあと、朝8時に放送されている『小さな旅』をたまに観る。昭和58年(1983年)から放送が続いている。
美しい風景と伝統を大切に守る名も無き市井(しせい)の人々の日々の営みが淡々と描かれている。
これこそ我々が守り、後世へと伝えなければならないものだと思わせてくれる。
テーマ曲もいい。懐かしき風景が目に浮かぶようであり、また、哀愁を帯びつつ、日々の生活を懸命に生きる人々の人生を旅に見立てているように感じられる。
いい曲だなぁ〜といつも思っていたが、作曲 大野雄二とあったので、昨日何気なく検索してみたら、驚いた。
テレビで何度も放送されているので、お若い方もよくご存知のアニメ映画『カリオストロの城』(1979年)の音楽も、大野氏の作曲だった。
お若い方は、ご覧になったことがないだろうが、角川映画『犬神家の一族』(1976年)、『人間の証明』(1977年)、『野生の証明』(1978年)など、数多くの映画音楽も、大野氏が作曲していた。
テレビドラマやアニメの作曲数も膨大だ。
今まで作詞家や作曲家について、ほとんど気にも留めなかったのだが、反省した。
『犬神家の一族』のテーマ「愛のバラード」
石坂浩二が演じる着物姿の金田一耕助が出てきそうだ。映画は、色彩豊かで、インパクトのあるシーンが多く、「日本映画の金字塔」と言われているらしい。
『人間の証明』のテーマ 「THEME FROM "PROOF OF THE MAN"」
映画公開前からテレビコマーシャルでよく流れていた。「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね ええ、夏、碓氷から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦藁帽ですよ…」というセリフが印象的で、「読んでから見るか。見てから読むか。」のキャッチコピーは良かったけど、映画自体はイマイチだった。せっかく歌が大ヒットしたのに、歌手のジョー山中が大麻取締法違反で逮捕されて、テレビで歌う機会を失い、ラジオでもこの曲が流されなくなった。
『野生の証明』のテーマ「戦士の休息」
山川啓介の歌詞が高倉健演じる主人公にぴったりだ。
テレビアニメ『キャプテン・フューチャー』のエンディング「ポプラ通りの家」
山川啓介の歌詞が郷愁を誘う。亡父が転勤族で、引っ越しばかりだったから良く思えるのかも知れないが。
なお、同じ横溝正史の小説が原作であっても、映画としては松竹映画『八つ墓村』(1977年)の方が、角川映画『犬神家の一族』(1976年)よりも完成度が高く、歴史の重みと血脈の因縁の怖さが余韻として残った。CMの「祟(たた)りじゃ〜!八つ墓村の祟りじゃー!」で、大ヒットした。
横溝正史原作の映画は、1970年代に数多く作られたが、田舎の因習や血縁の因縁、当時の世相・風俗など、都会生活をしている現代人にとって、肌感覚で理解できないものを映像化しているという意味で、貴重だ。これらの映画制作者たちは、原作の時代を生きてきたので、最近作られたドラマに比べ、時代考証がしっかりしている。
芥川也寸志作曲のテーマ曲も、壮大でありながらも、400年にわたる怨念と悲しみを湛えているようで、記憶に残る音楽だ。
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