今、アニメ『瑠璃の宝石』が放送されている。女子高生が、鉱物学を専攻している女子大学院生と出会い、鉱物採集の世界に飛び込んでいくお話だ。
京都大学からタイムリーな発表があった。備忘録として、リンクを貼っておこう。
「下林典正 理学研究科教授、浜根大輔 東京大学技術専門職員、永嶌真理子 山口大学若手先進教授、森祐紀 高輝度光科学研究センター研究員、松本崇 株式会社リガクグループマネージャー、アマチュア鉱物研究家の大西政之氏と田邊満雄氏からなる研究チームは、日本鉱物科学会により日本の「国石」に選定されている「ヒスイ」の中から、新種の鉱物(新鉱物)を発見しました。 同チームは、日本の石文化を象徴する国石・ヒスイから発見されたこの新鉱物に対して、日本神話に登場する天照大神の名を冠し、「アマテラス石(学名:Amaterasuite)」と命名しました。アマテラス石は国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会によって正式に承認されました。」(太字:久保)
「アマテラス石は、日本の国石であるヒスイから発見された新鉱物であり、二面性を示す特異 な結晶構造を有しています。その命名にあたっては、こうした背景を踏まえた検討が行われま した。
最終的に、日本神話に登場する天照大神の名が候補として挙げられました。天照大神は日本 を象徴する存在であり、象徴性という点で日本の国石であるヒスイと重なります。また、神霊 が持つ「荒魂」と「和魂」という二面性は、鉱物に見られる結晶構造の二面性に通じます。こ うした要素を総合的に踏まえ、日本の石文化への敬意もこめて、新鉱物は「アマテラス石(学 名:Amaterasuite)」と命名されました。この名称は、国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委 員会により正式に承認されています」(下線・太字:久保)
より詳しい命名の経緯については、下記の「5. アマテラス石/Amaterasuite(2024-056)」を参照。
なお、古代の人々は、神霊(しんれい。神のみたまの意)は、和魂(にきたま。後世では「にぎたま」)と荒魂(あらたま)の複合によって作用する、と信じていたらしい。
和魂は、通常の穏和な作用であるのに対して、荒魂は、激しく活動的な作用であって、静と動を表す。
和魂と荒魂は、一つの神霊として統一され別個の働きをしないが、時と場合に応じて分離して一個の神格として働くものと信じられていたらしい。
そのため、住吉(すみのえ)神(底筒男命(そこつつおのみこと)、中筒男命(なかつつのおのみこと)、表筒男命(うわつつのおのみこと)の三神の総称)は、和魂が摂津(現在の大阪府)の住吉大社に、荒魂が長門(現在の山口県)の住吉神社に、それぞれ祀られているそうだ。
荒魂が人智を超えた力を発揮すると、もののけ(物の怪)の出現と捉えられたり、たたり(祟り)と捉えられた。菅原道真のたたりを鎮めるために建立されたのが北野天満宮だ。靖国神社も、非業の死を遂げた英霊が荒魂として荒ぶることがないように、鎮魂するために建立されたのだろう。
神道・神話とは無縁そうな科学者が、「アマテラス粒子(Amaterasu particle)」や今回の「アマテラス石(学 名:Amaterasuite)」と命名するのが面白い。
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