下記の記事によると、「首長の不信任決議後の議会解散に疑問」を呈し、「地方自治法の見直しを求める声」が上がっているそうだ。
地方自治法に対する関心が高まるのは、珍しい。
まず、ざっくりとおさらいをしておこう。
普通地方公共団体の長も、議会の議員も、住民の直接選挙によって選ばれた住民代表だから、長も議会も対等独立の関係にある。これを二元代表制、首長制、大統領制と呼ぶ。
議会は、長に対する不信任議決をすることができるが(地方自治法第178条第3項)、二元代表制の観点から、要件が厳格であって、議員の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の同意が必要だとされている(地方自治法第178条第3項)。
議会が長に対する不信任議決をした場合には、議長は、直ちに不信任議決を長に通知しなければならず、通知の日から10日以内に長が議会を解散しない限り、長は、失職し(地方自治法第178条第1項)、長の選挙が行われる。
つまり、不信任議決をされた長には、失職又は議会解散の二者択一が迫られるわけだ。失職を選択して、再選されれば、長の主張が民意であるとして、政治的に優位な立場に立ち、長と議会の対立は、エンドレスになる。
このように長には、長に対する不信任議決(地方自治法第178条第3項)又はこれを行ったとみなすことができる場合(地方自治法第177条第4項)の対抗手段として、議会解散権が認められており(地方自治法第178条第1項後段)、長が解散権を行使すると、全ての議員が任期満了前にその職を失う。
議会が解散された後、議員選挙が行われ、初めて招集された議会で、議員数の3分の2以上の者が出席し、その過半数の者の同意により、再度の不信任議決がなされ、議長からその旨の通知があったときは、長は、通知を受けた日に失職し(地方自治法第178条第2項)、長の選挙が行われる。
つまり、議員選挙によって最新の民意を反映させた議会が勝つわけだが、失職した長が再選されれば、長と議会の対立は、エンドレスになる。
このように二元代表制から、長と議会の関係が正常ではない場合には、住民自治の観点から、選挙を通じて住民の手で修復されるわけだ。
さて、伊東市の田久保真紀市長や南城市の古謝景春市長は、不信任議決をされて、議会を解散して、市長の座にとどまったわけだが、これに対して世論が怒りの声をあげている。
現行法上は、致し方ない。
ではどうするか。ここからは立法論になってしまう。
上述したように、不信任議決の要件は、かなりハードであって、二元代表制への配慮は十分だから、不信任議決があれば、長に議会解散権を与えずに、長が失職することにしたらいい。
この点は、元鳥取県知事の片山氏と同意見だが、片山氏は、「長が不服なら議会の決定を最終的に司法がチェックする仕組みに変えるべきとする」のだが、政治問題を司法が解決するのは相応しくなく、実際機能しないと考える。
そこで、失職した長が再選された場合には、最新の民意を重視して、長に議会解散権を与えたらいい。再選されたことにより、長は、自分の主張を民意が支持してくれたということで、政治的に優位な立場に立つので、議会との対立が正常化する可能性もあるから、議会解散権を行使するかどうかは、長の裁量に委ねるとよい。
なんにせよ選挙には税金が費やされるわけだが、これは、くだらない長や議員を選んだ住民が悪いわけで(バカを担いだ後援会の連中が一切責任を負わないというのも、変な話だ。)、民主政の必要悪として住民が甘受しなければならない。
みなさんは、どのようにお考えだろうか?
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