義務を課したり権利を制限したりするには条例で。

 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、原則として、条例によらなければならない(地方自治法第十四条第二項)。   

 従って、住民に義務を課したり権利を制限したりする法令や条例がない場合には、行政契約(ex.公害防止協定)又は行政指導しかないし、また、もし強制すれば、公務員職権濫用罪(刑法第百九十三条)になる。

 住民は、訓令・通達・要綱等の行政規則に法的に拘束されないので、行政規則で定めている通りに住民に行動してほしいのであれば、その内容を条例に定めなければならない。


 ところが、沖縄県那覇市は、住宅宿泊事業法にも条例にも定めがないのに、要綱に基づいて民泊の届出をする際の事前相談を義務付け ていると観光庁に名指しで指摘された(平成31年3月29日観光庁「住宅宿泊事業の届出手続に係るフォローアップ調査結果 の公表」)。那覇市は、平成30年にも観光庁から同じ指摘を受けたにもかかわらず、改善していない。

 大変珍しいケースなので、忘れないようにここに書き留めておく。


 下記のチラシは、那覇市のHPから一部転載したものである。原本にはお問い合わせ先が明記されているが、ここにはその部分を削除したものを載せている。



cf.1那覇市における住宅宿泊事業の実施運営に関する要綱

(事業実施前の事前準備)    

第3条 事業を営なもうとする者は、適正な事業の運営を計画するに当たり、次に掲げる事項に留意する。     

1 事前相談       

新規届出に先立って、事業の概要及び届出に必要な書類のほか、次の2から6までに掲げる事項について、本市の届出窓口(保健所生活衛生 課)において、事前相談を受けること

(以下、省略:久保)


cf.2京都市「住宅宿泊事業の届出にかかる事前協議について」から一部抜粋           

「本市では,市民の方に不備のある届出や虚偽となる届出をしていただかないため,また,よりスムーズに届出を行っていただくため,届出をさ れる皆様におかれましては,受付窓口において事前協議をしていただくようお願いしております。」 ←行政指導なので、OK

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