以前、ネットで、テレビドラマ『太陽にほえろ!』(昭和47年(1972年)〜昭和61年(1986年)に日本テレビ系列で放送された。)の出演者が実年齢に比べて貫禄があると話題になっていた。
確かに、今の若い人が下記の写真を見ると、実年齢よりも老けて見えるかも知れないが、当時は、これが当たり前であって、年相応の風貌だった。
人生の半分以上が平成になった今、この画像を見るともう年齢などどうでもよくなります。https://t.co/YtWs5R3B0I pic.twitter.com/9bTzVF7zFq
— あうしし丸’20 (@au440) May 18, 2016
ところが、今は、テレビを付けると、若く見られなければならないという強迫観念を植えつけようとするかの如く、この商品を使えば若返りますよとばかりに様々なCMで溢れている。若く見られたいという儚き願望に囚われた精神年齢の低い大人が買い求めているのだろうか。
実年齢よりも若く見えると言えば、次期検事総長と目されていた東京高検検事長の黒川弘務氏だ。63歳だそうだ。
余人をもって代え難しとして、閣議決定によって従来の法解釈を変更して定年延長されたのに、感染拡大による緊急事態宣言中に、新聞記者らと賭けマージャンをしていたと文春に暴露され、批判を浴びている。
このニュースに接して、ふと思い出したことがある。司馬遼太郎氏が、小説『坂の上の雲』において、配下の将兵がロシア軍と激闘を繰り返し、多くの戦死傷者が出ているのに、まるで安全な司令部で仲間たちと漢詩を作って遊んでいたかの如く、乃木大将を無能な指揮官として批判的に描いていたことだ。
この小説がきっかけで、我が国における乃木大将の評価はすっかり低くなってしまったが、日露戦争当時から乃木大将は世界的に高く評価され続けている。
ネットで画像検索してみた。62歳で殉死した乃木希典(のぎ まれすけ)陸軍大将のお写真があった。
司馬遼太郎氏は、『坂の上の雲』で、史実に反して、203高地を児玉大将が指揮して攻略したかの如く描いている。そこで、陸軍参謀総長大山巌陸軍元帥に請われて国務大臣を辞し、日露戦争時に陸軍参謀本部次長兼台湾総督兼満州軍総参謀長を務め、54歳で亡くなった児玉源太郎陸軍大将のお写真も載せよう。
陸軍ばかりでは申し訳ないので、バルチック艦隊を打ち破った東郷平八郎海軍元帥が58歳の時のお写真も載せよう。
いずれも日露戦争の英雄だけあって、皆さん、威厳に満ちていて、品が良く、男らしい引き締まったお顔をしておられる。国の存亡を賭け、ロシアに必勝するため、余人をもって代え難しと数多の将軍の中から人選されただけはある。実に良いお顔だ。
このようにお写真を眺めていると、エイブラハム・リンカーン大統領の言葉を思い出す。
ある人がこの人を閣僚にしてはどうかと推挙したら、リンカーン大統領は「顔が好きではない」と言って断った。
「しかし、顔は生まれつきだから、責任はなかろう」と言われたリンカーン大統領は、
「男は40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て」(Every man over forty is responsible for his face.)
と語ったそうだ。
リンカーン大統領が言いたかったことは、おそらく次の通りだろう。
顔は生まれつきだから、本人には責任がないはずだが、男は40歳を過ぎると、その人がこれまで歩んできた人生、思想、品性、知性等が顔に現れるのであって、それは自己責任だ。だから、若いうちから内面を磨けと。
<追記>
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