夏生まれだが、連日の猛暑にはうんざりする。そこで、雪国の話をしよう。
亡父は転勤族だったので、幼き頃より引っ越しばかりしていたが、雪国に住んだことはない。
皆さんは、雪国にどのようなイメージを持っていらっしゃるのだろうか?
私は、「眠ったら死ぬ」だ。
眠ったら死ぬという雪国のイメージを決定付けたのは、中学生の頃に読んだ、新田次郎著『八甲田山死の彷徨』(新潮社)と、この小説を原作とした映画『八甲田山』だ。
来るべき日露戦争を想定して、厳寒の積雪期に軍を安全かつ迅速に移動させることができるのか、そのためには如何なる装備をすべきなのか等を検証するため、陸軍は、青森歩兵第五聯隊の神田大尉と弘前歩兵第三十一聯隊の徳島大尉に、それぞれ中隊を率いて八甲田山の雪中行軍演習をするよう命じた。
弘前歩兵第三十一聯隊が1人の犠牲者も出さずに任務を完遂したのに対して、青森歩兵第五聯隊は210名中199名もの死者を出してしまう。実話だ。
自然の脅威だけでなく、組織と個人、合理性と非合理性の不条理を描いた山岳小説の傑作だと思う。
昭和52年(1977年)に、高倉健氏(弘前歩兵第三十一聯隊徳島大尉)と北大路欣也氏(青森歩兵第五聯隊神田大尉)のダブル主演で映画化され、大ヒットした。
北大路氏の台詞「天は我々を見放した」は、流行語にもなった。
映画公開の翌年だったか、親に頼み込んで、テレビ初放映された映画を観た。雪国を知らぬ私にとって、小説だけではイメージしにくかった雪山の恐ろしさを見事に映像化していた。
劇中で歌われる「雪の進軍」という軍歌をテレビで一度聞いただけで暗記してしまったぐらい印象に残る映画だった。
組織の中で働いていらっしゃる職員さんがご覧になられると、学ぶことがきっと多いはずだ。ご自身が前人未踏の課題を与えられた徳島大尉や神田大尉の立場だったらと想像すれば、ご自身の身に引き付けて様々な教訓を得られ、今後の指針とすることができると思う。
ところで、昔、豪雪地である新潟県出身の教え子の女の子に訊いたことがある。
関西では、ショッピングカートを引っ張ってお買い物をする女性がいるが、新潟では、ソリを引いてお買い物をするのか、新潟の暴走族は、冬になると、スノーモービルで暴走するのか、新潟の人は、スキーで通勤するのか、と。
半分冗談のつもりで訊いたのだが、思い切り笑われて、呆れられた。。。苦笑
新潟県出身で今太閤と呼ばれた田中角栄首相のおかげで、新潟の道路は除雪が徹底して行われているので、自動車を利用するそうだ。いわゆる利益誘導だ。
しかし、今朝、このブログに八甲田山のことを書いているときに、このエピソードを思い出し、新潟県内の自治体の例規集を見てみたら、私の素朴な疑問は、あながち間違ってはいなかったようだ。
職員さんが通勤する際に使用する交通の用具に関する例規を参考までに少し列挙しておく。新潟県のみならず、北海道等にも同様の規定があった。
cf.1新潟県の魚沼市職員の通勤手当に関する規則 (平成16年11月1日 規則第42号)
(交通の用具)
第9条 条例第10条第1項第2号に規定する交通の用具は、次の各号に掲げるものとする。ただし、国又は地方公共団体の所有に属するものを除く。
(1) 自動車、原動機付自転車その他の原動機付の交通用具
(2) 自転車、そり、スキー及び舟艇。ただし、原動機付のものを除く。
cf.2新潟県の妙高市一般職員の通勤手当に関する規則( 昭和43年4月1日規則第6号)
(交通の用具)
第9条 条例第12条の3第1項第2号 に規定する交通の用具は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 自動車、原動機付自転車その他の原動機付の交通用具
(2) 自転車、そり、スキー及び舟艇。ただし、原動機付のものを除く。
cf.3新潟県の粟島浦村職員の通勤手当の支給に関する規則( 昭和48年4月1日 規則第2号)
(交通の用具)
第9条 条例第11条第1項第2号に規定する交通の用具は、次の各号に掲げるものとする。ただし、国又は地方公共団体の所有に属するものを除く。
(1) 自動車、原動機付自転車その他の原動機付の交通用具
(2) 自転車、そり、スキー及び舟艇。ただし、原動機付のものを除く。
う〜ん、新たな疑問が浮かんだ。
「そり」は、馬や犬に引かせるのだろうか?庁舎に到着後、その馬や犬は、駐車場に置いておくのだろうか?通勤手当は、餌代を考慮に入れるのだろうか?
原動機付きでない「舟艇(しゅうてい)」というのは、手漕ぎのボートやヨットを意味すると思うが、朝から疲労困憊しそうだ。天候不順の場合には、どうなさるのだろうか?
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