2024.11.05 08:20キリスト教に代わる代表制民主政の危機 以前このブログで、神と教皇への絶対的服従を求める恐怖支配こそがキリスト教会(カトリック)の本質だ、と述べた。 カトリックの関係者を敵に回しかねない発言をしたわけだが、ど素人の私が何を言っても、何の影響力もない。
2024.07.22 15:05「伝統」と「反逆」 日常的に「伝統」という言葉が用いられているが、「伝統」の対義語は、なんであろうか? 『weblio類語辞典』によれば、「伝統」の対義語は、「革新」だとされているが、「保守」の対義語が「革新」であって(『反対語便覧』三省堂)、「革新」は、「伝統」の対義語ではない。 「革新」とは、古い習慣、制度などを改めて、新しく進歩すること。改進。」をいう(『精選版 日本国語大辞典』小学館)。 「保守」とは、旧来の習慣、制度、組織、方法などを重んじ、それを保存しようとすること。また、その立場。ほうしゅ。⇔革新。」をいう(『精選版 日本国語大辞典』小学館。太字・下線:久保)。 実は、意外なことに「伝統」は、英語traditionの翻訳語として比較的最近になって用いられる...
2024.05.24 03:40societyソサエティー「社会」 英語societyソサエティーは、「社会」と訳されている(※1 ※2)。この「社会」という言葉を見聞きしない日はない。 だが、果たして我々は、「社会」を正しく理解しているのだろうか。 光文社の「第5回 ソサエティーとコミュニティー」を参考に、英語societyソサエティーと似て非なる英語communityコミュニティーを補助線として、考えてみることにする。
2024.04.20 06:40風前の灯 下記のBBCの記事にあるように、英国下院は、2009年1月1日以降に生まれた人が生涯にわたってたばこ製品を買えなくする「紙たばこ・電子たばこ法案」を383対67の賛成多数で可決した。 法案は、与党である保守党スナク首相が目玉政策として主導したものなのだが、実に馬鹿げている。 なぜならば、この法案は、国家が未成年者をpaternalisticパターナリスティック(父権的。子供が自己加害をしないように厳格な父親が子供を守るが如く、本人を守るために本人の権利を制限することを意味する。)に保護するだけでなく、成人後もパターナリスティックに保護しようとするものであって、自由に対する過度の規制であるし、又2009年1月1日以降に生まれた人と2008年12月31日...
2024.03.01 03:50「古典の授業が無駄」? 下記の記事によると、テレビによく登場する古市憲寿氏が、「『古典の授業が無駄』といった議論に反射的に反論するひとって、授業時間が有限だということを忘れがちだよね」、「そりゃ時間が無限にあれば古典でも何でもすればいいけど、それはたとえば外国語よりも有益なのか。あと反論するひとたちが、どれだけの古典に関する教養を持っているかを知りたいところ」と述べたそうだ。
2024.02.10 00:02生者の傲慢な寡頭政治 まず、ここではdemocracyデモクラシーの訳語として、民主主義ではなく、民主政を用いる。デモクラシーは、Ideologieイデオロギーではなく、デモス民衆のクラシー支配を意味する政治体制だからだ。 現代国家の民主政のモデルは、英国だ。英国議会には、我々から見ると、不思議な伝統や慣習が多く残っていている。 例えば、みなさんもご記憶に新しいと思われるが、State Opening of Parliamentステート・オープニング・オブ・パーラメント議会開会式だ。君主がウェストミンスター宮殿(議事堂)の貴族院で演説を行う際、与党の院内副総務クラスのベテラン議員一人が人質としてバッキンガム宮殿に送られ、君主が無事に帰宅するまで拘束される。この伝統は、数世...
2020.12.23 22:38金子堅太郎先生 今日は、クリスマス・イブ。クリスチャン以外の人は、独り静かに、キリスト教よりも遥かに古い日本のお国柄に思いを致すのも一興ではなかろうか。 そこで、金子堅太郎(かねこ けんたろう)先生のお話をしようと思う。
2020.06.13 19:41伝統的な教育の復権を1 慣習の意義 下等動物には、本能に基づく行動様式が先天的にインプットされており、誰に教えられることなく、本能に基づいて行動する。 これに対して、我々人間には、本能はあっても、反射運動等を除き、本能に基づく行動様式が生来的にインプットされていないため、後天的な学習によって本能を制御しなければならない。もし学習によって本能を制御できなければ、自他を傷つけ、社会に混乱をもたらし、人間の皮を被った獣として社会的制裁を受けることになる。 我々人間には本能に基づく行動様式がないことから、これに代わるものとして自然発生的に生まれたものが慣習だ。 慣習は、言語と同様に、何らかの抽象的な原理・原則から演繹されたものでもなければ、特定の誰かが一方的に決めたものでもなく、...
2020.05.03 04:12国が滅ぶ <追記> Stay homeと言われると、犬扱いされているようで不快な気分になる。単なる要請なのだから、Pleaseを付けろよと思ってしまうのは、いわゆるコロナ疲れなのだろうか。苦笑
2019.06.14 04:02星の瞬きは何を語るか 現在、過去、未来を自分の体を基準に並べると、現在は足元に、過去は背後に、未来は眼前に広がっていると考える人が多いのではなかろうか? <現代人> 背後 足元 眼前 過去→現在→未来 ところが、高校時代に読んだ呉茂一訳のホメーロスの注によると、古代ギリシャ人は、現在は足元に、過去は眼前に、未来は背後に広がっていると考えていたそうである。 <古代ギリシア人> 背後 足元 眼前 未来←現在←過去 これは、奇(く)しくも日本語と共通している。例えば、「100年前」と言えば、過去を表し、逆に、「100年後」と言えば、未来を表すからである。 古代ギリシア人も日本人も、次のような身体的時間感覚を持っていたと言えるのではなかろうか...