「国側は、憲法24条が「両性の合意のみ」で婚姻が成立すると定めている趣旨について「男女を表すことは明らかだ」と反論。婚姻制度の目的は「一人の男性と一人の女性が子どもを産み、育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与えること」であり、同性婚は該当しない」と主張したそうだが、至極もっともな意見だ。
19世紀ドイツの法学者イェリネックが提唱した国家三要素説によれば、国家が成り立つためには、①国民、②主権、③領域(領土・領海・領空)の三つが必要だ。これは、国際法でも認められている。
国家は、永続することを前提としている以上、国家三要素の一つである「国民」が子々孫々未来永劫続くように、男女の婚姻制度を設けて、男女が子供を産み育てる共同生活を送る関係に法的に保護を与えることは、国家を成り立たせるために当然に必要なことであって合理性を有するのに対して、そもそも子孫を残せない同性同士のカップルをこの婚姻制度によって法的に保護すべき合理的理由はないから、同性同士の婚姻を認めないことは、合理的理由に基づく区別であって、決して差別ではない。
もしこれが差別だというのであれば、国や自治体が行っている子育て支援すらも、子供がいない未婚者・夫婦、子育てを終えた老夫婦など、子育て支援を受けられない者に対する差別ということにもなりかねない。
ところで、世界195か国のうち、少なくとも71か国が同性愛を犯罪として禁止している。
すなわち、「現在、世界には195カ国が存在すると言われており、そのうち193カ国が国連に加盟しており、2カ国が正式加盟国ではないオブザーバー国家となっています。このうち、71の国・地域では、合意の上で行われる同性間の私的な性行為を犯罪としており、そのうち43の国・地域では、「レズビアン」「同性との性的関係」「重大なわいせつ行為」を禁止する法律を用いて、女性同士の合意に基づく私的な性行為を犯罪としています。
また、11の国・地域では、合意の上での私的な同性間の性行為について(少なくとも理論上は)死刑を法定刑として定めており、少なくとも6カ国では、実際に死刑が執行されています。
その上、15の国・地域では、いわゆる「女装(cross-dressing)」「なりすまし(impersonation)」「変装(disguise)」を、法を用いてトランスジェンダーの人々の性自認や表現を犯罪として扱っています。」
我が国では、伝統的に同性愛を積極的に推奨こそしないが、かといって他国のようにこれを禁止せずに、ずっと黙認し、上手に棲み分けをしてきたのであって、これは先人の知恵だ。
同性愛を禁止している国ならばともかく、我が国が「性的指向に基づく不当な差別」をしているというのは、言い過ぎではなかろうか。
確かに、同性同士のカップルには、婚姻関係にある夫婦と異なり、法定相続人や手術の同意者になれないなどの違いがあることは否めないが、同性カップルに対して遺言を禁止していないのだから、遺言を活用すべきだろうし、同性カップルだけでなく、身寄りのない人や成年被後見人をも含めた医療行為の同意制度のあり方を再検討することによって解決することが十分可能だ。
最後に、この問題に関連して、「2015年、国際連合サミットで2030年までに達成をめざす世界目標として、持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。その時、当時の国連事務総長パン・ギムン氏は、「LGBTはSDGsのすべての項目に関わる問題であり、『誰も置き去りにしない』というSDGsのモットーに含まれている」と述べ」たそうだ。
少なくとも同性カップルは、子孫を残せないのだから、「持続可能な世界」の実現とは無関係ではなかろうか。それとも、同性カップルも養子を迎えることができるという意味で、SDGsと関わるのだろうか。
頭の悪い私にも分かるように説明してほしいものだ。
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