先日、下記の記事によると、「人種や肌の色、国籍など、外国ルーツの特徴・外見を持つことだけを理由として、警察官が職務質問するのは、人種差別を禁止した憲法14条などに反して違法であるとして、男性3人が1月29日、国や東京都、愛知県を相手取り、国家賠償法に基づいて、それぞれ損害賠償330万円を求める訴訟を東京地裁に起こした。」
職務質問は、警察官職務執行法第2条第1項に定められている。警察官は、無制限に職務質問できるわけではない。
その対象者は、
①異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者、
又は
②既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者
に限られる。
見た目が外国人だからという理由だけでは職務質問することはできないし、また、日本国民か外国人かを問わず、上記①又は②の対象者に該当しさえすれば、職務質問することができる。
職務質問は、任意捜査なので、嫌だったら拒否できるが、拒否するとますます疑惑が深まるので、素直に応じた方が早く解放される。
私も、高校時代に一度だけ職質を受けたことがある。夜、高校からの帰り道、駅の自転車置き場に置いていた自転車のライトの電線が何者かによって切られていたため(たぶん自転車を引っ張り出そうとした際に、電線をひっかけてしまったのだろう。)、やむを得ず無灯火で帰宅していたところ、お巡りさんに呼び止められたが、事情を説明し、自転車に書いていた名前と生徒手帳の名前が一致したので、すぐに解放された。
cf.警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)
(質問)
第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4 警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。
話を戻すと、上記記事にもあるように、見た目が外国人である日本国民が日本国民であることを簡単に証明する方法としては、現時点ではパスポートしかない。常時、パスポートを携帯しておけば済む話だが、気の毒に思わなくもない。
そこで、マイナンバーカードに国籍を明記するのがよかろう。住民票のある外国人もマイナンバーカードを取得できる以上、初めから国籍を明記しておけばよいものをと思う。
私がこの記事で一番気になったのは、この訴訟が「差別は社会構造の問題だ」とするCRT(Critical Race Theory)批判的人種理論に基づく活動の一環ではないかという点だ。ただの疑念に終わればよいのだが。
CRTは、「自由主義」を騙(かた)る「平等主義」であるliberalismリベラリズムから派生した理論であって、アメリカ社会を分断に陥れた元凶の一つだ。
CRTについては、下記の記事が要領よくまとめているので、ご覧いただきたい。
この記事にも触れられているように、アメリカでは、CRTに基づいた多種多様なトレーニング(職員研修)が連邦政府職員に強要されていたが、2020年、トランプ大統領は、賢明にもこのCRTが国家を分裂させるものであるとして、CRTに基づくトレーニングを禁止する大統領令を出した。
しかし、バイデン大統領は、大統領に就任するや、直ちにこの大統領令を撤回した。そこで、共和党が強い州では、公立学校におけるCRTに基づく教育を禁止するようになり、全米の半数近い州では禁止されている。
日本弱体化を切望している連中は、アメリカ社会を混乱に陥れているCRTを周回遅れで日本に持ち込もうとしているのではないかという疑念があるのだ。
CRTに従えば、「大多数の日本人は、いわば特権階級であって、日本に住む外国人等の少数者を不当に差別している!」、「多数派の日本人は、その存在自体が差別であり、原罪なのだと自覚しろ!」、「多数派の日本人が作った社会・制度は、構造的に不平等であり、悪だから、改善しろ!」ということになる。
このようにCRTは、実に馬鹿げた理論なのだが、同じliberalismから派生した馬鹿げた「ジェンダー理論」は、すっかり大手を振って日本を闊歩し、「心は女だ」と言って43歳の男が女湯に侵入するようになってしまったから、決して油断してはならない。
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