事情判決をしなかった理由は? <追記>

 下記の記事にある東京地裁の判決は、法律論としてはその通りだと思う。

 ただ、記事にもあるように、すでに保育園は廃止され、保育士も削減されている以上、行政事件訴訟法第31条第1項の事情判決をしてもよかったのではないかと思うのだが、記事からは分からないけれども、事情判決を許さない事情があったのだろうか。


cf.行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)

(特別の事情による請求の棄却) 

第三十一条 取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。 

2 裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。 

3 終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。


<追記>

 小金井市が控訴しなかったため、当該判決が確定した。

 ところが、小金井市は、判決の効力が及ぶのは原告だけなので、当該条例は有効だから、原告の子どもについてはさくら保育園への入園を認めるが、判決によって条例自体が無効になるわけではないので、園児の募集は再開しないそうだ。


  確かに、法的には小金井市の言う通りだ。

  東京地裁が事情判決をしておけば、原告に損害賠償をするだけで済み、原告の子供が同級生のいない状態でひとりだけで入園することを避けることができたのだが。

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