外国人でも党員になれるって?

 ネットで話題になっていたので、備忘録として書いておく。


 公明党では、国籍の有無を問わず、党員になれるそうだ。知らなかった。

 調べてみたら、自民党、立憲民主党、日本維新の会、日本保守党、参政党及び共産党は、党員になるのに日本国籍を有することを要件にしている。日本国籍を有することをきちんと確認しているかどうかは、別問題だが。

 社民党とれいわ新選組は、国籍要件が不明だった。※

※  社民党のHPでは不明だったが、社民党茨城県連合のHPには、「社民党は、日本国籍を有する18歳以上の方だけでなく、日本に3年以上定住する外国人の方でもご入党いただける政党です。」とあった。よく調べてみたら、社民党HPの社会民主党党則第4条第1項に同様のことが明記されていた。


 マクリーン事件判決からすれば、外国人が党員になることは許されないと考えるのだが、如何だろうか。


 マクリーン事件判決(最判昭53.10.4)

 「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民 のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、政治活動の自由についても、わが国の政治 的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認め ることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶものと解するのが、相 当である。」(太字:久保)

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

検索結果一覧表示画面へ戻る 昭和50(行ツ)120 在留期間更新不許可処分取消 昭和53年10月4日 最高裁判所大法廷  判決 棄却 民集 第32巻7号1223頁 東京高等裁判所  昭和48(行コ)25 昭和50年9月25日 一 外国人のわが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利と憲法の保障の有無 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断と法務大臣の裁量権 三 出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無についての判断と裁判所の審査の限界 四 わが国に在留する外国人と政治活動の自由に関する憲法の保障 五 外国人に対する憲法の基本的人権の保障と在留の許否を決する国の裁量に対する拘束の有無 六 外国人の在留期間中の憲法の保障が及ばないとはいえない政治活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がないとした法務大臣の判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものということはできないとされた事例 一 外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない。 二 出入国管理令二一条三項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断は「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすることが許されないものではない。 三 裁判所は、出入国管理令二一条三項に基づく法務大臣の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断についてそれが違法となるかどうかを審査するにあたつては、右判断が法務大臣の裁量権の行使としてされたものであることを前提として、その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により右判断が全く事実の基礎を欠くかどうか、又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により右判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかであるかどうかについて審理し、それが認められる場合に限り、右判断が裁量権の範囲を超え又はその濫用があつたものとして違法であるとすることができる。 四 政治活動の自由に関する憲法の保障は、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国

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 また、政治資金規正法により、何人も、外国人や外国法人から、政治活動に関する寄附を受けてはならないことになっている(同法第22条の5)。外国勢力が政治活動や選挙に影響を与えて国益を損なうのを防ぐのが狙いだ。故意に寄附を受けた政治団体の担当者は、罪が確定すれば、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処せられ(同法第26条の2第3号)、公民権停止となる(同法第28条)。

 そして、「この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう」とあり(同法第4条第3項)、党費は「寄附」に当たらないので、政党が党員から党費を受け取ることは、政治資金規正法には違反しないことになる。

 しかし、政治資金規正法は、外国人が党員になって党費を支払うことを想定していない。したがって、政党が外国人党員から党費を受け取ることは、形式的に見れば、適法だが、実質的には、この法の抜け穴(盲点)を悪用した同法第22条の5の脱法行為ということになる。

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